DNSを理解し設定するための新たな定番本「実践DNS」

2011年6月17日

日本でもっとも真剣にドメインネームサービス(DNS)の設定と運用を考えている組織の1つが、JPドメイン名の登録管理やDNSの運用を行なっている日本レジストリサービス(JPRS)。

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本書はそのJPRSが監修し、社員3人が執筆したDNSの解説本です。編集を担当された渡辺俊雄氏からご献本いただきました。

入門者向け解説から詳細な設定、運用まで

DNS関連には「バッタ本」と呼ばれる定番の「DNS & BIND」(オライリー刊)を含め、すでに多くの書籍があります。その中で、本書の特徴は2つあるといえます。

1つは、インターネットでなぜドメイン名が使えるのか、これまでの成り立ちと基本的な仕組みについて入門書として読めるレベルで丁寧に解説していること。DNSの仕組み、信頼性の連鎖などDNSの基礎部分がしっかりと解説されています。

もう1つは、設定や運用の具体的な解説では、DNSサーバの代表的な実装であるBINDの最新バージョン、BIND 9に対応したものになっていること。

特に設定や運用に関しては、なぜそうした設定が必要で、どう設定すべきなのか、その仕組みから順に解きほぐしつつ解説しています。例えば「第3部 実践編 DNSの設定と運用 」を開くと、プロトコルとは何か? という説明から始まり、RFCを解説し、DNSでのUDPやDNSSECでのEDNS0がどのように使われているか(この辺から急に専門的になりますが)、DNSのプロトコルフォーマットを主なセクションごとに解説し、IPv6対応、国際化ドメインなど、えんえんと解説が続きます。

そしてようやく「第7章 キャッシュDNSサーバーの設定と運用」でnamed.confの設定にたどりつく、という具合です。設定と運用の解説については、専門書としてのレベルで非常に詳しく具体的に解説されています。

多くのWebサイト管理者にとって、DNSの設定は実のところLinux解説本の通りに設定した、あるいはホスティング業者やレンタルサーバ業者のマニュアルに沿って設定した、ということが少なくありません。しかしDNSの設定は、URLによってWebサイトが正しく表示されることの根幹をなしているわけで、Webサイトのスケーラビリティよりも、ディザスタリカバリよりも大事だといえます。

特に最近はWebブラウザによる先読みやキャッシュのためにDNSの負荷が高まっていたり、SPFによってメールの送信元認証を行うなど、DNSの重要性が以前よりも高まってきています。Webサイトの運営をしている方にとって、きちんとした入門から設定、運用までを解説してくれる本書は、いつも本棚に置いておき、必要なときに手に取る1冊として適切ではないでしょうか。

第1部 導入編 インターネットの基礎知識
第1章 インターネットではどうやって相手を特定するのか
第2章 重要性を増すDNS

第2部 入門編 DNSの基礎知識
第3章 急成長を可能にし、対応した仕組みの本質
第4章 DNSの概要
第5章 DNSにおける信頼性の確保と信頼の連鎖の構築

第3部 実践編 DNSの設定と運用
第6章 基本的な知識
第7章 キャッシュDNSサーバーの設定と運用
第8章 権威DNSサーバーの設定と運用
第9章 DNS運用技術

付録A ICANNとIANAの概要
付録B トップレベルドメイン名(TLD)一覧
付録C DNSキャッシュポイズニングとカミンスキーメソッドの概要
付録D DNSSECの導入前後における状況の変化
付録E 全自動ゾーン署名
付録F BIND 9.8の新機能

実践DNS ~ DNSSEC時代のDNSの設定と運用 実践DNS ~ DNSSEC時代のDNSの設定と運用
JPRS技術陣による全編書き下ろしで、DNSの本質を詳細に解説しています。DNSの基礎部分から具体的な設定、運用までしっかりと解説。DNS SEC時代の設定と運用のための一冊です
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カテゴリ サーバ / ストレージ / ネットワーク
タグ  ネットワーク , 書評


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