Flashがオープンソース化できず、FirefoxがYouTubeのHTML5動画を再生できない理由。H.264

2010年2月8日

「Flashをオープンソース化できない主な理由は、H.264のようにアドビが所有していない技術が含まれているから」と説明するのは、アドビシステムズでオープンソース担当ディレクタのDave McAllister氏。

Open at Adobe

McAllister氏が自身のブログにポストしたエントリ「Following the open trail. 」で、こう説明されています。

The main reason we can't release Flash Player as open source is because there is technology in the Player that we don't own, such as the industry standard hi-def video codec, H.264.

われわれがFlash Playerをオープンソースとして公開できな主な理由は、Playerの中にわれわれが所有していない技術、高精細ビデオコーデックのH.264のような技術が含まれているからだ。

H.264はMPEG LAという団体が特許を所有する技術であり、アドビはライセンス料を支払ってそれを利用している立場です。

H.264はあらゆる人にとって料金所のような存在となる

H.264が特許技術であることを理由に、モジラはFirefoxでHTML5の動画コーデックにH.264を採用せず、オープンソースのOgg Theoraを採用しました。

CNETの記事「HTML 5のビデオコーデック--YouTubeの選択に異議を唱えるモジラ」では、Mozillaのエンジニアリング担当バイスプレジデントMike Shaver氏によるH.264についての意見が載っています。

「このライセンス料は、ブラウザ開発者やディストリビューターに影響するだけでなく、ビデオコンテンツを作成したいと考えるあらゆる人にとっての料金所のような存在ともなる。H.264が標準化されたウェブの一部として受け入れられたら、そのライセンス料は、新しいブラウザを開発する人、ウェブを新しいデバイスやプラットフォームで利用できるようにする人、コンテンツやアプリケーションの開発支援ツールを作成する人にとって、参入の障壁となる」(Shaver氏)

現在、グーグルのGoogle ChromeとアップルのSafariは動画コーデックとしてH.264を、FirefoxとOperaではOgg Theoraを採用しています(Google ChromeはOgg Theoraも採用)。

「H.264」ストリーミングのロイヤリティ無料期間が延長:ニュース - CNET Japan

同じCNETの先週2月5日の記事「H.264」ストリーミングのロイヤリティ無料期間が延長では、H.264を用いてネットでビデオをストリーミングする場合の利用料金を無料とすることがMPEG-LAによって2015年まで延長されたと報じられています。

以前、ネットでよく使われている画像フォーマットであるGIFに関わるライセンスを保有していたユニシスが、GIFのライセンス料をエンドユーザーにも課金しようとしたことがありました。H.264でも同じように、特許技術を製品に組み込むベンダだけでなく、それを利用するエンドユーザーにも課金される可能性があり、今回はその課金がネットのストリーミング用途では2015年まで無料になった、ということのようです。

前述のモジラのMike Shaver氏の発言「あらゆる人にとっての料金所のような存在ともなる」というのは、このことを指しているのでしょう。

グーグルによるオープンソース化に期待されること

しかしネットの動画ではいまのところH.264がもっともメジャーな技術です。先日、YouTubeがHTML5対応を実験的に開始しましたが、そこで用いられている動画コーデックはH.264です。つまり、現状のYouTubeのHTML5対応ページにある動画はGoogle Chromeでは見ることができてもFirefoxでは見ることができないという状況です。

ネットの動画はH.264が優勢のまま続くのでしょうか?

昨年の夏、グーグルがビデオ圧縮技術として知られるOn2という企業を買収したことが、TechCrunchの記事「Google、賢い買物―VP8ビデオ圧縮技術のOn2を$106Mで」などで伝えられています。

そしてこの記事の著者は、買収後にグーグルが同社の技術をオープンソース化してほしいという希望を述べています。

GoogleがOn2のVP7とVP8ビデオ・コーデックをオープンソース化し、無料で利用できるようにしてくれると素晴らしいのだが。そうなれば、これらのコーデックは事実上の世界標準の一つの地位を占め、企業が所有し、ライセンスしているH264コーデックの有力な対抗馬になることが期待できる。On2は以前からVP7は同一ビットレートでH264より効率がよいと主張してきた。

それは単にH.264のライセンス料を払う必要がなくなるだけでなく、グーグルにとってメリットがあるという点も指摘。

もうひとつ重要な側面が考えられる。GoogleがVP8コーデックをYouTubeのHTML5モードに利用した場合、膨大な数のユーザーがFLASHだけでなくHTML5にも対応するブラウザにアップデートするだろう。

@ITの西村賢記者も、記事「ネット参入に"料金所"は要らない、Mozilla」の中で、グーグルが優れた動画コーデックをオープンソース化するだろうという推測を書いています。

以下の理由から、私はHTML5のvideoタグコーデック問題はまもなく解決するのではないかと考えている。

 1つ目には、もしOn2買収に至らなければグーグルは自分たちで競合するコーデックを作るつもりだという印象を受けた、とOn2の経営陣が株主向けFAQ(PDF)で明かしていること。つまりOn2のVP8か独自コーデックかは別として、グーグルは本気ということだ。Webには圧縮効率が高くてライセンス・フリーの動画コーデックが欠けている。それを提供するつもりなのだ。

 2つ目は、同じくFAQに、On2買収後にグーグル製品へコーデックを統合する作業をするエンジニアの名前が示されていること。

AndroidやChromium OSを立ち上げてきたように、動画コーデックの分野でもグーグルがオープンソースのプロジェクトを立ち上げる日が来るのは近いかもしれません。

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タグ : Google , HTML5 , Mozilla , Web標準 , オープンソース



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