データストレージEXPOで、スケールアウト型ストレージに注目してみた

2010年5月17日

ストレージの技術トレンドの1つとして「スケールアウト型ストレージ」に注目しています。ちょうど先週、東京ビッグサイトで「データストレージEXPO」が開催されたので、そこで展示されていたスケールアウト型ストレージをいくつか紹介しましょう。

fig 大勢の参加者で賑わう「データストレージEXPO」会場

スケールアウト型ストレージとは?

そもそもスケールアウト型ストレージとは、ストレージを継ぎ足していくことによって柔軟に容量を増やしていけるストレージのことです。

一般にこれまでのストレージは、例えば1台の容量が100GBのストレージを利用していて容量が不足になった場合、もう1台のストレージを新たに追加したとしてもあくまでもそれは100GBのストレージが2台あるということです。1台で200GBのストレージと比べると、データを保存する際にどちらのストレージに保存するかのルール決めが必要だったり、バックアップの手間が2倍になり、またストレージをぎりぎりまで使い切ることは難しいので利用効率も悪いものになります。

スケールアウト型ストレージはこうしたストレージの物理的境界をなくし、物理的に複数台のストレージを仮想的に大きな1台のストレージとするための仕組みを備えています。

アイシロンとデルのスケールアウト型ストレージ

fig デモに使われていたIsilon IQ スケールアウトNAS

展示会場で最初に目に入ったスケールアウト型ストレージは、アイシロン・システムズの「Isilon IQスケールアウトNAS」でした。

ステージで行われていたデモンストレーションでは、Windows PCからZドライブにリモートでマウントしてある3台のIsilon IQが、自身のクラスタ機能で仮想的に1台のストレージとして見えています。そしてそれが稼働したままさらに2台のスイッチをオンにしてクラスタに追加。

Windowsをリブートすることもなく、PCで開いていたファイルを閉じることもなく、リモートのZドライブの容量がストレージの追加に応じて増えていく様子を見ることができました。

説明によると、Isillon IQは、NASとしてNFSやCIFS、FTPなどのプロトコルに対応するため、簡単にリモートドライブとして利用でき、最大144台までクラスタ化が可能。1つのデータはパリティ付きで分割され複数の筐体に分散保存されるため、パリティの付け方によっては最大4台の同時故障に対応できるとのこと。またデータを複数の筐体に分割して保存するということはリード/ライトも複数の筐体で分散して実行されることになるため、アクセス速度も非常に高速になるとのことでした。

もう1つ会場で目についたスケールアウト型ストレージが、デルの「EqualLogic iSCSI Storage」。こちらも筐体を追加していくだけで容量を追加していくタイプのストレージ。

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Isillon IQがNFSやCIFSなどのプロトコルを利用しており、画像や動画、オフィス用のファイルなど非構造化データの保存に向いているのに対し、EqualLogicはiSCSIに対応したストレージのため、データベースなど高いトランザクション性能を求められる場面での利用に向いているとの説明でした。

NASのプロキシともいえるF5の「ARX」

F5ネットワークスの「ARX」は、展示会の中でもっとも興味をひかれました。NASのプロキシともいえる装置です。

クライアントPCからリモートドライブとしてARXをマウント。ARXに複数のNASを接続すると、クライアントPCからはこれら複数のNASが単一のリモートドライブとして見えるのです。ARXにNASを追加するごとにリモートドライブの容量も増えていくことになるため、これもある種のスケールアウト型ストレージと見ることができるでしょう。

ただしARXの特徴はスケールアウトよりも、ARXが単一のリモートドライブに見せつつ、裏で自動的にストレージの操作を行える点にあります。例えばストレージ間でレプリケーションを行ってディザスタリカバリを実現したり、新型の高速なストレージを追加したときには古いストレージから新しいストレージへデータを移行したり、といった作業をユーザーに意識させることなく実行することができます。

fig F5ネットワークス「ARX」の機能。パンフレットから転載

ストレージのスケールアウト機能は、冗長化やバックアップ、性能向上などの機能とも密接に関連した機能となっています。今後はどのストレージベンダもスケールアウト的な機能をストレージの重要な機能として取り込んでいくことになるのではないでしょうか。

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タグ : ストレージ



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