CSS3が日本語の禁則処理、傍点、縦書きなど対応へ、ドラフト公開

2010年10月4日

スタイルシートの新たなWeb標準として現在策定が進められているCSS3に対して、日本語に対応した禁則、傍点(圏点)、縦書き仕様などの機能が追加されたドラフトが公開されました。

9月28日にPublickeyで公開した記事「電子書籍フォーマット「EPUB」で縦書きとルビのサポート、来年5月には仕様完成の見通し」では、EPUBでの縦書きやルビ、傍点などの仕様を策定中であることを紹介しましたが、EPUBはXHTMLやCSSをベースにした仕様であるため、仕様策定の作業はEPUBとCSSのそれぞれのグループが協力してCSS3に対して機能を追加する方法で行われていました。

これが最終的にCSS3の仕様として策定されれば、Webブラウザ上での禁則処理、傍点、縦書きなどの組み版処理が充実することになります(ルビはまだ作業中ですが)。大げさではなく、世界中のWebブラウザに対して日本の日本語文化に対応した表示が可能になると同時に、CSS3を採用する電子書籍フォーマットのEPUBでも同じ機能が実現することになります。

仕様策定の作業などを行っていたアンテナハウスの村上真雄氏による、9月30日の2つのツイートでドラフトの公開が告げられています。

CSS3 Textドラフト http://dev.w3.org/csswg/css3-text/ 禁則 line-break、行調整 text-justify、圏点 text-emphasis 等ご注目を。Editorsに名前が出てる上の2人ががんばってくれてます。less than a minute ago via Tween

CSS3 縦書き仕様はこちら http://dev.w3.org/csswg/css3-text-layout/ 仕様の名前が Text Layout から Writing Modes に変わっています。論理方向については議論中ですが、たぶん論理プロパティでいくことになるでしょうless than a minute ago via Tween

禁則やゴマ点

村上氏のツイートを見ても分かるように、今回作成されたドラフトは2つあります。

禁則(Line Break)、傍点(Emphasis Marks)などが追加されているのが「CSS Text Level 3 W3C Working Draft 5 October 2010」です。

禁則処理はおもに「4.1. Line Breaking Restrictions for CJK Scripts: the 'line-break' property」(CJKとは中国、日本、韓国のこと)に追加されているようです。

line-breakの値としてデフォルトのnormalのほかに、strict、newspaperなどが設けられ、日本語での禁則ルールなどが記述されています。ざっと訳してみたところ、次のような機能のようです。

strictでは以下の条件での改行禁止。normalでは許可。
- 小さなかな文字の前
- ひらがな、カタカナの長音記号(ー)の前
- ハイフンの前

normal、strictでは以下の条件での改行禁止。newspaperでは許可。
- 々のような繰り返しの文字の前
- ・!%$のような約物の前

傍点は「8.2.1 Emphasis Mark Style: the 'text-emphasis-style' property」に追加されています。

text-emphasis-sytleが追加され、値としてdot、circle、double-circle、triangle,sesameが用意されています。最後のsesami(ゴマ)を選ぶと、以下のようなゴマ点を文字に付けることができるようです(ゴマ点が青で表示されています。ドラフトから図を引用)。

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縦書き

縦書きについては別のドラフトとなっており、「CSS Writing Modes Module Level 3 Editor's Draft 1 October 2010」として公開されています。

縦書きを実現する方法としてWriting Modesが追加され、「4. Block Flow Direction: the ‘writing-mode’ property」で、writing-modeとして以下の4つが設定できるようです。

CSSのワーキンググループで一度は不採用となっていた

Publickeyでは6月に「CSS3で縦書きスタイルを、電子出版の未来のために。日本発で提案中」という記事で、CSS3において縦書きのための提案が行われていることを紹介しました。

実はこのときの縦書きの提案はその後、CSSのワーキンググループで不採用となっていました。個人的にはこの時点で、Web標準であるCSS3に縦書きが組み込まれる機会が遠のいてしまったのだと非常に残念に思っていました。

しかし、CSSワーキンググループへの働きかけには別の作戦が用意されていました。前述の記事にも書いた、以下の作戦です。

W3CのCSS3に対する働きかけと同時に、村田氏と村上氏の挙げる標準化戦略には、International Digital Publishing Forum(IDPF)のEPUBワークグループのサブグループとしてCJKサブグループを設立することが含まれています。これについて台湾、中国、韓国、そしてIDPFに対して村田氏から提案が行われており、今年の8月には日本での会合を予定しているとのことです。

この作戦通り、IDPFによるEPUBワーキンググループの国際化のためのサブグループEGLS(Enhanced Global Language Support)のコーディネータにJEPA(日本電子出版協会)から派遣された村田真氏が就任。EGLSからCSSワーキンググループに働きかけたことによって、今回のCSS3に対する日本語対応の仕様策定作業が行われたというのが、僕が理解しているこれまでの動きです。

不採用となった状況を数カ月でひっくり返し、CSSワーキンググループからドラフトの公開まできたこれまでの経緯を考えると、関係者の尽力には本当に頭が下がります。

今回のドラフトのEditors欄を見ると、誰がこのドラフト作成に関わったかが分かります。以下の3名の名前が記されています。

Elika J. Etemad(Invited Expert)
Koji Ishii (Antenna House)
Shinyu Murakami (Antenna House)

Antenna Houseとは、前述の村上氏が所属している日本のソフトウェアベンダ、アンテナハウスです。

Elika j. Etemad氏はCSSのワーキンググループに属しているCSSのエキスパートで、今回のCSS3ドラフト作成のために9月中旬から日本に来て作業をしていました。村田氏は昨日10月3日に次のようにつぶやいています(fantasaiとはElika J. Etemad氏のニックネームです)。

日本人ではないのに、縦書きのために日本に来てホテル住まいで頑張ってくれているfantasaiにこそ、我々は頭を下げないといけません。もし、日本政府からお金が出なかったら、みんなで募金をしましょう。@kidayasuo #epub_eglsless than a minute ago via TweetDeck

政府は日本の「文字文化の独自性、固有性を発揮できるフォーマット」としてシャープの「XMDF」とボイジャーの「ドットブック」を基にした中間フォーマットを国際標準規格にすべく推進すると決定しており、EPUBやCSS3での日本語対応よりも優先度を高く置いています(参考:電子書籍の政府での議論が心配だ)。

しかし国際標準であるCSSやEPUBに対しての日本語対応で、早くも具体的な成果をあげているここで紹介した活動に対しても、ぜひ支援を実現してもらいたいものです。

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タグ : CSS3 , Web標準



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