[速報]デルの3PAR買収に「待った! 1.3倍で俺が買う」とヒューレット・パッカード

2010年8月23日

1週間前の8月16日(現地時間)に発表された、米デルによるストレージベンダ3PARの買収に、米ヒューレット・パッカードが待ったをかけました。

HP Proposes to Acquire 3PAR for $24 per Share in Cash

ヒューレット・パッカードは、デルの買収予定価格よりも約3割増しで3PARの株式を買うと発表しました。デルは3PARの株式を1株あたり18ドルで購入する予定でしたが、ヒューレット・パッカードは1株あたり24ドルを設定しています。

3PARの経営陣は株主に対する責任として、より高い価格で申し入れをしてきた企業と買収交渉をすることになるでしょう。

なぜ突然ヒューレット・パッカードが3PARを?

なぜヒューレット・パッカードが3PARの買収に乗り出してきたのでしょうか。プレスリリースではその理由を非常に手短に述べています。

We've seen great momentum with our Converged Infrastructure strategy, and 3PAR accelerates that strategy, particularly in cloud and scale-out markets.

私たちは、焦点の定まったインフラストラクチャ戦略によって勢いを増しており、3PARはとりわけクラウドやスケールアウト市場においてその戦略を加速させてくれるでしょう。

このように、かなりあっさりしたものです。

デルが3PARを買収する目的は、同社のストレージラインナップとして不足していたハイエンドなストレージ製品のラインナップを補い、かつ同社のストレージの製品開発力を強化するためだと、先週の記事「[速報]デルがストレージベンダの3PARを買収、ハイエンドストレージの製品ライン充実へ」で書きました。

それに比べると、ヒューレット・パッカードは同社のサーバラインナップに足並みを揃えるように、ローエンドのDAS、NASからミドルレンジのiSCSIやFibre Channel対応ストレージ、そしてハイエンドストレージまで、ストレージの製品ラインは揃っています。

ですから、ヒューレット・パッカードにはデルほど、ストレージベンダの大型買収をする切迫した理由があるとは思えないのです。それが上記のように、リリースの内容にも表れていると思います。

デルの邪魔をしたかったのか?

ではなぜヒューレット・パッカードは突然3PARの買収に乗り出したのでしょうか? 2つの仮説を立てることができます。

1つはデルと同様に、今後のクラウドや仮想化の発展をにらんで、そうした技術と製品開発力に長けている3PARを買収することにより、自社の製品ラインの充実と技術の強化を目指した、というもの。

しかしもう1つの仮説の方が有力だと思います。それは、デルのストレージ分野が3PAR買収によって強化されるのを邪魔したかった、という理由です。

(追記 8/24:ヒューレット・パッカードのハイエンドストレージは日立からOEMで提供されているのでは、という指摘をいただきました。たしかにそこを見落としていました。デルのハイエンドストレージがEMCのOEMであるのと事情は似ていることになります。デルが3PARの買収によってハイエンドのストレージを充実させたかったのと同様に、ヒューレット・パッカードも3PARの買収によってハイエンドの自社製品ラインを充実させたい、という1つめの仮定も十分にありえそうです)

(追記2 8/24 コメント欄でも詳しいご指摘をいただいています。HPの弱さは仮想化ストレージで、そのために3PARは重要だ、ということです。)

先週、デルが3PARの買収を発表したときに、ストレージベンダ大手のEMCでGlobal Marketing CTOをしているChuck Hollis氏が、自身のブログにポストしたエントリ「My Take -- Dell To Acquire 3PAR」で次のように書いていました。

For Dell, that uber-competitor would likely be HP. Dell and HP continue to compete fiercely for desktops. Dell and HP continue to battle for server share. And, one could argue that HP has done well for itself in both contests.

デルにとって、いちばんの競争相手はHPだろう。デルとHPはデスクトップPCで手荒い競合をしているし、サーバ市場を巡って戦い続けてもいる。そしてHPはどちらでも優勢だと言われている。

Indeed, one could look at some of the recent Dell acquisitions (e.g. Perot) and make a case that part of the deal rationale was to better compete against HP.

まさに、デルの最近の買収(ITサービス企業のPerot Systemsなど)はこのためだとみることができる。そして今回の(3PAR買収の)ケースも、HPに対抗するために考えられたものだといえるだろう

デルはヒューレット・パッカードとの競合に勝つために3PARの買収を計画した、というのが、Hollis氏の説明です。

そしてデルのストレージ分野が強化されることによって、デルのサーバベンダとしての競争力がいっそう高まることになります。それは、ヒューレット・パッカードにとっては脅威が増すことを意味します。

だったら、デルが買おうとしている3PARを買えなくしてやればいい。ヒューレット・パッカードが突然3PARの買収に乗り出したのは、同社がこのように考えて、デルがストレージの分野の強化を未然に防ぐことが理由ではないか、と考えることができるのです。

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タグ : DELL , ストレージ



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