イーサネットをさらに高速にする「Ultra Ethernet Consotium Specification v1.0」が正式公開。トランスポート層にRDMAを実装

2025年6月16日

Linux Foundation傘下のUltra Ethernetコンソーシアムは、イーサネットをさらに高速化する新仕様「Ultra Ethernet Consotium Specification v1.0」(UEC v1.0)を正式公開しました

IT分野においてイーサネットは最も普及しているネットワークシステムですが、データセンターにおける生成AIやHPC(High Performance Computing)のニーズの高まりによって、より高速なネットワークが求められています。

UEC v1.0はこうした高速なネットワークを実現するため、イーサネットをベースに作られた新しい仕様です。

AMD、アリスタネットワークス、ブロケード、Eviden、シスコ、HPE、インテル、メタ、マイクロソフト、オラクルの10社がステアリングメンバーとして仕様策定を行っています。

Ultra Ethernet Consortium Steering member

トランスポート層にRDMAを実装

UEC v1.0の最大の特徴は、トランスポート層においてアプリケーション間で直接メモリの内容をやりとりできるRDMA(Remote Direct Memory Access)を実装したことです。

これは「Ultra Ethenet Trasport」と呼ばれており、高速なデータ転送を実現します。

Ultra Ethenet Trasport

ネットワーク上の有効な経路を全て使ってパケットを分散転送する「Packet Spraying」をサポート。特定の経路にトラフィックが集中してデータ転送速度のボトルネックとなってしまうホットスポットの発生を緩和できます。

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Packet Sprayingによってばらばらな順番で届けられるパケットは、あらかじめタグ付けを行うことで、受け手が順番通りに組み立てられるようになっています。

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さらに混雑しているスイッチングハブにパケットが到着した場合、スイッチングハブはパケットを破棄するのではなく、パケットを最小で64バイトにまで切り詰め(トリミング)て小さくし、優先的に転送を行います。

これによりまず、パケットが小さくなることで混雑が解消されます。

さらにパケットの受け手は切り詰められたパケットを受け取り次第パケット内のデータが失われたことを知ることができるため、パケットが失われたことを示すためのタイムアウトを待つ必要がなくなり、必要なデータの再送をすぐに依頼できます。

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そのほか、通信帯域の素早い立ち上がり、ラウンドトリップタイムの削減など多くの高速化技術が組み込まれています。

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Junichi Niino(jniino)
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