Kotlin言語によるバックエンド開発強化へ、JetBrainsがSpringと戦略的提携
Kotlin言語を開発するJetBrainsは、Javaの代表的なフレームワークとして知られるSpring Frameworkの開発チームと戦略的提携を発表しました。
この提携により、Kotlinによるバックエンド開発がSpringによって強化されることになります。
JetBrains and Spring are starting a strategic partnership to make the Kotlin developer experience with Spring even better! Read here for more: https://t.co/2sfRy9iMiq
— SpringCentral (@springcentral) May 22, 2025
KotlinはJavaVM上で実装された言語として登場し、2017年にAndroidの正式な開発言語となったことで急速に注目度を高めました。現在ではAndroidだけでなくiOSやWindows、Webアプリケーションのフロントエンド、WebAssembly、そしてバックエンドなどの開発にも対応するマルチプラットフォーム対応を積極的に進めています。
参考:Kotlin 2.0正式リリース。新コンパイラ「K2」採用でコンパイル速度が約2倍、マルチプラットフォーム対応も加速へ
SpringでのKotlinサポートの強化点
これまでもSpring FrameworkでKotlin言語を利用することは可能でしたが、今回のJetBrainsとSpringとの提携により以下の強化などが行われます。
Null安全への完全対応
Spring Framework開発チームはKotlin対応を改善するために、フレームワーク全体のNull安全の強化に積極的に取り組んでいる。これが実現されることで、追加設定不要で自動的にKotlinコードの型安全性が強化される。
オフィシャルに提供される学習教材のKotlin対応
主要なSpringの学習教材がKotlin対応となる。
kotlinx.reflectによる高速化
JetBrainsは現在、リフレクションライブラリをさらに高速化したkotlinx.reflectを開発している。これにより依存性注入やシリアライゼーションといったリフレクションに強く依存するシナリオにおいて性能向上が実現する。
コンフィグレーション用DSLの進化
Springでの新しい「Bean Registration DSL」は、ラムダとDSLベースのBean定義を改善するための基盤となる。
これ以外にもSpringにおけるKotlinサポートの改善が進んでいるとのことです。
Kotlinは前述のとおり現在マルチプラットフォーム対応を積極的に進めています。今回の戦略的提携は、AndroidやiOS、Webといったフロントエンドを超えて、バックエンドにもKotlinのサポートを広げていくというJetBrainsのビジョンが反映されているといえるでしょう。
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