Dockerのための軽量OS「Red Hat Enterprise Linux Atomic Host」、Red Hatが発表

2014年4月18日

Red Hatは、Dockerコンテナの運用に最適化した軽量なOS「Red Hat Enterprise Linux Atomic Host」を、今年リリース予定の「Red Hat Enterprise Linux 7」と合わせてリリースすると発表しました

Red Hat Enterprise Linux Atomic Hostは、Red Hat Enterprise Linuxの派生OSであるため、Red Hat Enterprise Linuxと同レベルの信頼性、セキュリティ、使い勝手などを備えつつ、Dockerのコンテナの実行や運用に絞って軽量化することでオーバーヘッドを小さく、さらにパッチなどの運用の手間を小さくするとしています。

fig Red Hat Summit 2014のセッション「Application-centric packaging with Docker & Linux containers」の資料から

Dockerとの相互運用性の協業も

Red Hat Enterprise Linux Atomic Hostの開発は、「Project Atomic」と呼ばれるオープンソースプロジェクトがベースになります。Project Atomicは、CentOS、Fedora、Red Hat Linux横断のプロジェクト。

Red HatはDockerの開発元であるDocker.ioとの協業を深め、両社でコンテナの相互運用性などについて作業していくことも合わせて発表しています

エンタープライズにもDockerの波が来るか

Dockerは、いわゆるコンテナ型仮想化のもっともよく知られた実装の1つです。

ハイパーバイザを用いるサーバ仮想化がサーバそのものをエミュレーションするのに対し、コンテナ型仮想化はOS上のユーザー空間を分離する仕組みのため軽量なのが特徴。

Dockerのコンテナは、PHPやRubyなどの実行環境ごとコンテナイメージとしてパッケージされるため、例えば、ノートPC上のLinuxで開発したアプリケーションをDockerのコンテナイメージとして保存、それをクラウド上のLinuxのDockerに環境の違いを気にすることなくデプロイできます。つまり、Dockerはアプリケーションのポータビリティを実現するレイヤとして非常に注目されているのです。

いまDockerは主にオンラインサービス系のスタートアップなどで使われ始めていますが、Red HatがこのDockerに注目し、最適化したOSをリリースすることで(そして夏頃と予想されるその頃にはおそらくDocker 1.0に到達することと合わせて)、エンタープライズ市場でもDockerの機能に注目が集まるようになり、現在のハイパーバイザのように普通に使われつつ、アプリケーションの分離やポータビリティを実現する機能として活用される日が近づいてきているように思います。

Tags: Docker Linux コンテナ型仮想化 Red Hat オープンソース

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Junichi Niino(jniino)
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