[速報]コンテナ型仮想化のDocker 1.0がリリース。Dockerはコンテナエンジンからプラットフォームになると宣言

2014年6月10日

Linux上のコンテナ型仮想化の実装として話題を集めていたDockerが、正式版となる「Docker 1.0」のリリースを発表しました。6月9日(日本時間で今日6月10日)から2日間サンフランシスコで開催中のイベント「dockercon14」において発表されました。

OS上に複数のユーザー空間を作り出すコンテナ型仮想化は、物理サーバ上に仮想サーバを作り出すハイパーバイザ型の仮想化よりも軽量で起動も高速だという利点を備えています。

DockerはLinuxにおけるコンテナ型仮想化の実装として人気を集めており、Red HatがDockerのための軽量OS「Red Hat Enterprise Linux Atomic Host」の開発を表明。AmazonクラウドもAWS Elastic BeanstalkでDockerサポートを開始。Google Compute Engineは昨年12月からDockerをサポートしており、5月にはDebian 7をベースにDockerに最適化されたOSイメージの提供も開始しています。またDockerを実行環境とした分散環境のための軽量OS「Core OS」の開発も進んでいます。

Dockerの開発元であるDocker社は、これまでDockerが正式版に到達していないことを理由に本番環境での利用を推奨していませんでした。今回バージョン1.0に到達したことで、Dockerの本番環境での利用が正式に解禁されるとともに、同社による企業向けサポートやトレーニング、コンサルティングサービスの提供も開始されます

Dockerをベースとしたビルドからアプリケーション配布のためのワークフロー機能、Dockerによってパッケージされたアプリケーションのリポジトリなどを備えた「Docker Hub」の運用も開始されると発表されました

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Docker社はこれにより、Dockerがコンテナエンジンから、アプリケーションをビルドし配布し実行するためのオープンなプラットフォームになると宣言しています。

Dockerはプラットフォームになる

It’s Here: Docker 1.0 | Docker Blog

Docker社がDocker 1.0のリリースを表明したブログ「It’s Here: Docker 1.0 | Docker Blog」では、Docker 1.0の持つ意味について、企業向けの利用促進とプラットフォームへの進化について、次のように説明しています。

This release’s “1.0” label signifies a level of quality, feature completeness, backward compatibility and API stability to meet enterprise IT standards. In addition, to provide a full solution for using Docker in production we’re also delivering complete documentation, training programs, professional services, and enterprise support.

このリリース“1.0”というラベルは、品質、機能、後方互換性、APIの安定性などがエンタープライズにおける基準に到達したことを示すものだ。さらに私たちは、Dockerを本番環境で利用できるよう、ドキュメント一式、トレーニングプログラム、プロフェッショナルサービス、企業向けサポートなどのフルソリューションを提供する。

Second, this milestone signifies Docker’s coming into its own as an open platform for distribution apps. In particular, the community’s use of Docker in such a wide variety of use-cases and apps in every phase of the application lifecycle confirms this. So from today you’ll hear us talk about Docker as a platform, its components being Docker Engine, the container runtime and packaging tool, and Docker Hub, a cloud-based service for collaboration, content, and workflow automation.

もう1つは、Dockerがアプリケーションを配布するためのオープンなプラットフォームに到達したことをも示している。特にコミュニティにおけるDockerの利用例は、アプリケーションライフサイクルのあらゆる場面に広がっている。そしてこれからは、Dockerはプラットフォームであり、そこにはDocker Engineというコンポーネント、実行環境かつパッケージングツールがあり、クラウドベースのコラボレーション、コンテンツ、ワークフローオートメーションを提供するクラウドベースのサービスDocker Hubがある、という私たちの説明をみなさんが聞くようになるだろう。

ハイパーバイザによる仮想化の普及は、クラウドの発展やVMwareのような新たな企業の登場、仮想アプライアンスのようなアプリケーション配布の形態を生み出すなど、IT業界に大きな影響を与えました。Linuxのみ対応という制限の中でこの仮想化の技術をさらに軽量かつ高速に実現するDockerの普及は、その影響をさらに加速していくことになりそうです。

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