OpenStackは商用品質に達しており、互換性、相互運用性、ネットワークにフォーカスする。OpenStack Summit 2012

2012年10月23日

NASAとRackspaceがオープンソースのクラウド基盤開発プロジェクトとして2010年に始めた「OpenStack」。その年次イベント「OpenStack Summit 2012」が先週10月15日から18日の3日間、サンディエゴで開催されました。

この記事では2日目の基調講演に登場したRackspaceのTroy Toman氏の講演内容の後半で、OpenStackの現在の品質、そして今後についての内容を紹介しましょう。

(本記事は「クラウド基盤を継続的デリバリで毎週アップデートするRackspace。OpenStack Summit 2012」の続きです)

OpenStackは商用品質に達している

Rackspace Hosting、Troy Toman氏。

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8月にOpenStackによる正式なクラウドサービスを開始してから、すでに100万回以上サーバを起動しており、120万回ものNova APIのリクエストが行われた。OpenStackベースのクラウドは、私たちの以前のクラウド基盤よりずっと優れていることを、いくつかの指標を計測したうえで判断している。

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その1つ、これまでのAPIの可用性は99.97%だ。これはダウンタイムではなくメンテナンスタイムも含んでいる。OpenStackはまだ本番システムに使えるかどうか迷っている人もいるかと思うが、この数字が品質を物語っているだろう。

また、もうすぐBlockストレージを提供する予定だ。ハードディスクとSSDで性能を選択できるようにする。また、いまはQuantumベースのネットワークを使っているが、Niciraのソフトウェアを使ってVPNベースでプライベートネットワークを構築できるサービスも提供する。

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この先のOpenStack

この先のOpenStackについて話そう。もちろんOpenStackはオープンソースであり、デザインサミットやディベート、レビュープロセス、コミュニティ運営など、開発を進める上でのオーバーヘッドはある。よっぽどRackspaceだけで開発した方が簡単だ。

しかしオープンソースとして開発することで、Rackspaceだけでは到達できない広がりやよりよいものが実現されていく。私たちは今後さらにオープンソースへコミットしていく。

OpenStackの下で、どうエコシステムを作って実現していくか、そういった点が大事になってくる。

Rackspaceとしては以下のことをしていくつもりだ。

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私たちが持つテストをもっと高度にしていき、もっと広いユースケースに拡大していく。また、このテストの方法をコミュニティに戻すことで、コミュニティも利益を得ることができるだろう。

また、もっとオープンなクラウドを広げていかなければならない。そうすることでさまざまなクラウドが、パブリックもクラウドも連係していくことができるようになる。

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APIの互換性(訳注:下位互換性のことか?)には引き続きフォーカスしていく。ここはSDKも助けになることだろう。

またイメージの相互運用性も大事だ。ほかのクラウドでサポートしているイメージと交換できると便利だろう。

さらに真のクラウドネットワーキング、例えば2つのクラウドを結ぶときにサブネットやIPアドレスのコンフリクトなどをどう解決するか、といった仕組みもこれから作っていかなければならないだろう。

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