Javaの未来、RubyとJavaScriptの台頭

2011年1月27日

オープンソースによるJavaのフレームワークである「Seasar2」の作者にして、著名なJavaプログラマのひとりとして知られるひがやすを氏が「Javaに未来はないかなと。(略)個人的には少しずつJavaから離れていっています。」という発言をパネルディスカッションでしました。昨日の記事で紹介したので、お読みになった方も多いと思います。

Javaはエンタープライズ分野に限られるようになるか

Javaの将来像について、米調査会社ForresterのアナリストJohn Rymer氏とJeffrey Hammond氏が、同社のブログに「The Future Of Java」というエントリを先週末ポストしています。

彼らは、オラクルの戦略が次のようにJavaのエコシステムを変化させるだろうとしています。

Oracle’s strategy for Java will change the Java ecosystem that has existed for 11 years.

  • Javaの進化はオラクルが管理する
  • JCPは死ぬ。なくなりはしないが、オラクルとIBMが支配する
  • 競争はフレームワークへと移っていくだろう
  • クライアントでの存在感が薄れて行くにつれ、Javaを最初に学ぶ言語とする若い開発者は減少するだろう

そして結論は、Javaはエンタープライズ市場では引き続きうまくいくが、そこに限定されるだろいう、というもの。

Conclusion: Java's future in the enterprise is alive and well but limited.

クラウド、モバイルにも対応する見通し

Javaは、今年Java 7、来年はJava 8の登場が予定されており、2週間前にはJDK7のフィーチャーコンプリートが行われたため、堅実にJavaの進化は続く見通しになっています。

また、Google App EngineでJavaが利用可能になっており、Salesforce.comとVMwareが共同でJavaクラウドのVMforceを昨年4月に発表、AmazonクラウドもBeanstalkでJavaクラウドの提供を今月発表しているなど、クラウドにもJavaは対応し始めています。

また、JavaはAndroidのアプリケーション開発にも使えるなど、クラウド、モバイルといった新しいトレンドにも順調に対応しているように見えます。

Ruby、JavaScriptの台頭

しかしサーバもクライアントも、Java以外の言語の台頭が目立ちはじめています。それらの動向もまとめてみました。

Javaのクラウド化を進めたセールスフォース・ドットコムとAmazonクラウドは、Javaに続いてRubyのクラウド化を推進しています。セールスフォース・ドットコムはRuby on Railsのクラウドを運営するHerokuを買収。AmazonクラウドのBeanstalkもEngine Yardと共同でRuby on Railsの対応を進めてることを明らかにしています。

VMwareも、JavaのSpringフレームワークを中心とした同社のクラウドプラットフォームvFabricで将来RubyやPHPに対応することを明言していますから、VMforceがいずれRuby on Railsに対応する可能性は高いでしょう。オープンソースのミドルウェアとして知られるJBossもJavaだけでなくRuby、PHPなどに対応する予定です

クラウド時代のサーバサイドプログラミングでは、Rubyが急速に立ち上がろうとしています。

そしてもう1つ、先日の記事「2011年はサーバサイドJavaScriptの年になる」で紹介したように、JavaScriptの台頭が今年の大きなトピックになるでしょう。

いまや業務アプリケーションのクライアントにWebブラウザを用いることは一般化しており、HTML5の登場がそれを決定的にするでしょう。さらに、iPhoneやAndroidなどのモバイルデバイス用のアプリケーションも、業務アプリケーションレベルの機能であればObjective-Cなどは使わずとも、HTML/CSS/JavaScriptで十分開発可能な環境が整い始めています。

つまり業務アプリケーションのクライアント周りはPCでもモバイルでも、HTML/CSS/JavaScriptが主流になると予想できるのです。

こうなると、サーバサイドのプログラミングもJavaScriptで行いたい、という要望が高まるのは自然ななりゆきでしょう。同じ開発者がクライアントもサーバも開発可能になるため生産性も高まるでしょうし、コストも下げられるかもしれません。

僕は、HTML/CSS/JavaScriptがクライアントプログラミングの主流になるのはほぼ確定的であるのならば、そこからサーバサイドJavaScriptに火がつく可能性はとても高いのではないか、と予想しています。

ひがやすを氏は、Javaに代わってサーバサイドJavaScriptにこれから注力したい、とパネルディスカッションで語っていました。

Pythonだと当たり前すぎて自分としてはもっとハイリスク・ハイリターンを狙いたいというのが私の行動パターンなので、それだったらサーバサイドJavaScriptだなと思っています。

Tags: Java JavaScript Web技術 Ruby

このエントリーをはてなブックマークに追加
ツイート
follow us in feedly





タグクラウド

クラウド / AWS / Azure / Google Cloud
コンテナ / Docker / Kubernetes
クラウドネイティブ / サーバレス
クラウド障害 / 運用・監視

プログラミング言語 / 開発ツール
JavaScript / Java / .NET / WebAssembly
HTML/CSS / Web標準

アジャイル開発 / スクラム / DevOps / CI/CD
ソフトウェアテスト・品質
ローコード/ノーコード開発

データベース / RDB / NoSQL / 機械学習・AI
Oracle Database / MySQL / PostgreSQL
Office / 業務アプリケーション

ネットワーク / HTTP / QUIC / セキュリティ
OS / Windows / Linux / VMware
ハードウェア / サーバ / ストレージ

業界動向 / 働き方 / 給与・年収
編集後記 / 殿堂入り / おもしろ

全てのタグを見る

Blogger in Chief

photo of jniino

Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。2009年にPublickeyを開始しました。
詳しいプロフィール

Publickeyの新着情報をチェックしませんか?
Twitterで : @Publickey
Facebookで : Publickeyのページ
RSSリーダーで : Feed

最新記事10本