W3CとIDPFが正式統合。Web技術と出版技術を融合する将来に向け、ロードマップ作成に着手

2017年2月1日

HTML5などのWeb技術の策定を行うWorld Wide Web Consortium(W3C)と、EPUB 3など電子書籍フォーマットの国際標準を作成するInternational Digital Publishing Forum(IDPF:国際電子出版フォーラム)が、組織を統合する契約を締結したことを発表しました(W3CとIDPF正式統合 - 出版の未来形を描くロードマッピング - W3cのプレスリリース)。

両者は2016年5月に統合に向けた動きを正式に表明しており、統合の手続きと作業を進めてきましたが、それ以前から電子書籍フォーマットのEPUB 3は、HTMLとCSSなどW3Cが標準化しているWeb技術を基盤として仕様策定を進めてきたことが示すように、W3CとIDPFはゆるやかな協業関係にありました。

今回、組織統合の正式発表に際していくつかの企業から歓迎のコメントが寄せられていますが、日本で電子書籍技術を積極的に推進しているアンテナハウスの小林徳滋代表取締役社長のコメントは、統合に関する具体的な期待を示したものとして分りやすく書かれているので紹介します。

アンテナハウスはW3CとIDPFの完全統合を歓迎いたします。弊社は、2011年より、デジタル書籍制作Webサービス(CAS-UB)というワンソースからPDF、EPUB、Webを作るサービスを提供しています。EPUBとWebは内容を記述する形式としてHTMLを共有しています。しかし、Webの基本であるURIや通信プロトコルの面では統合が不十分であり、EPUBとWebが別の存在となっているのに不便を感じていました。W3CとIDPFの統合により、今後、EPUBのWebへの統合が進むことを期待しています。

W3CとIDPFの統合が実現したことで、オンライン、オフラインに関わりなく、Webと電子書籍は共通の技術基盤を共有して発展することが確実になりました。Webと電子書籍の境界はどんどんぼやけていくことになるのでしょう。

W3Cは、現在のEPUBのメンテナンスと今後のEPUBのサポート環境を整備するため、「EPUB(3.1)コミュニティグループ」を設立予定。また、次世代のEPUBの要求仕様を議論するために「Publicationsワーキンググループ」の設立を検討しており、さらに出版業界の議論の場として機能するコミュニティ「Publishingビジネスグループ」も新設されるとのことです。

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Junichi Niino(jniino)
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