SAPの新ERP「S/4HANA」、データベースはHANAのみ。HTML5ベースのUI、クラウドとオンプレ両対応

2015年2月4日

欧SAPが同社の次期フラッグシップ製品となるERP「SAP Business Suite 4 SAP HANA」(SAP S/4HANA)を発表しました。詳細については、オンライン発表イベントを報じた1つ前の記事「[速報]欧SAP、R/3後継となる次期ERP「SAP S/4HANA」発表。HANAインメモリデータベース専用に新規開発」を読んでいただくとして、ここではS/4HANAの発表で気になるいくつかのポイントに注目したいと思います。

S/4HANAの特長

S/4HANAは、同社のフラッグシップである統合業務アプリケーションソフトであるR/3、現在のSAP ERPの後継となるソフトウェア。

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S/4HANAの特長は以下の通り。

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パブリッククラウド版の紹介ですが、スライド右の「Key Benefits」をざっくり訳すと、次のようになります。

S/4HANAは、パブリッククラウド版、マネージドクラウド版、オンプレミス版の3つがあります。基本的な特長は同じで、マネージドクラウド版ではさらに「ECC6.0互換機能」すなわちR/3の互換機能があり、オンプレミス版ではそれらに加えて自由なカスタマイズが可能になります。

HANAデータベース専用となったS/4HANA

S/4HANAの1つ目のポイントは、S/4HANAはHANA専用であることです。HANAは最初からERPのバックエンドデータベースとして最適な機能と性能を実現するために設計し開発されたものであり、HANAのインメモリ処理とカラム型データベースによってトランザクション処理とリアルタイムなアナリティクス処理が1つのデータベースで実現でき、それがそのままS/4HANAの大きな特長となっています。

SAPにとって、OracleやDB2などERPのバックエンドデータベースをオープンに選択できることよりも、HANAによって実現されたイノベーションを製品として届けることの方が優先されたと言えるでしょう。

SAPは2010年にHANAを市場に投入したときから、慎重にHANAの実績を積んできました。2013年に、はじめてERPのバックエンドとしてHANAを使い始めます。

こうして慎重にHANAの推進を進めてきたとはいえ、S/4HANAでHANAのみに対応したことによる影響は2つ予想されます。1つは顧客の反応です。S/4HANAを採用する顧客は使い慣れて実績もあるOracleデータベースからHANAへと移行しなければなりません。ERPの移行に合わせて、そうしたことが抵抗なく行われるのかどうか。そして既存のSAP R/3やSAP ERPの顧客にはそれらの強化や保守などについてどのようなロードマップが示されるのか。

もう1つは、当然ながらオラクルとの関係です。SAPとオラクルは以前からERPの分野で競合していますが(これはオラクルがデータベースからERPへと守備範囲を広げてきたためですが)、S/4HANAへの移行はすなわち自社の顧客を失うことにつながるわけで、同社が今後どのような反応をするのか。顧客とオラクルの両方の反応による影響に注目したいと思います。

(追記:新バージョンについてミスリードを招く部分があり、本文とタイトルを修正しました) (追記2: 既存のSAP Business Suiteは10年後の2025年までサポートされることはSAPから発表済みです。)

HTML5のUIによるERPはどれだけ受け入れられるか

もう1のポイントは、同社のHTML5によるUIフレームワーク「Fiori」の採用です。

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発表イベントの中で同社CEOのBill McDermott氏が、これまでのSAPの最大の弱点はUIだと認めているように、同社のERPのUIはもっぱら使いにくいという評判が多くありました。

それをこのFioriで打ち消すことができるのか。そしてエンタープライズアプリケーションという比較的保守的な文化の中でHTML5のUIがどこまで自然に受け入れられるのかという点。そして、さまざまなHTML5のUIフレームワークがあるなかで、Fiori以外の選択肢が発生するのか、といった点などに注目したいと思います。

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タグ : ERP , HANA , HTML5 , SAP , クラウド



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