EPUB 3のISO国際標準化作業で、日本が資金難による離脱の可能性。JEPAが支援募金を呼びかけ

2012年10月5日

電子書籍の標準フォーマットとしてIDPF(International Digital Publishing Forum、国際電子出版フォーラム)によって昨年10月に策定されたEPUB 3は、縦書きやルビといった日本語対応を含む多くの多言語対応の実現などがあり、急速に普及し始めています。

EPUB 3は事実上の業界標準(デファクトスタンダード)の地位を得ました。そして現在、このEPUB 3をISO/IEC(国際標準化機構/国際電気標準会議)、つまり世界各国の代表から構成される機関が定める公的標準(デジュールスタンダード)にする動きが始まっています。

EPUB 3がISO/IECの標準になることで各国政府の調達要件を満たしやすくなり、また教科書や図書館などの標準規格を重視する分野への採用が進むと考えられています。

日本政府の支援がすぐに受けられず

EPUB国際標準化支援 募金 - jepa

日本はこれまでIDPFでのEPUB 3策定に当たり、その重要な部分であった「Enhanced Global Language Support」グループのコーディネイターに村田真氏が就任するなど大きな貢献をしてきてました。そして今回のISO/IECでの国際標準化作業でも引き続き共同議長を担当するなど重要な役割を果たしています。

しかし現在、この作業のための資金が枯渇しようとしており、日本電子出版協会(JEPA)がEPUB国際標準化支援のための募金を呼びかけています

これまでのIDPFにおけるEPUB3に関連する活動資金は主に日本政府の予算でまかなわれていました。しかし今回のISO/IECでの標準化作業については、EPUB 3の国際標準化に熱心な韓国が「fast-track submission」と呼ばれる迅速な手続きで国際化が承認される方法を国家提案したため、時期的に日本政府からの支援がすぐには受けられない状況となっています。

資金不足は、日本から国際会議への出張ができなくなったり、仕様策定作業が停滞するといった影響を及ぼすことになり、また日本から標準化作業への参加ができなくなれば、標準に対する影響力の低下といったことも懸念されます。

日本電子出版協会は、EPUBのISO/IEC国際標準化に賛同し支援を希望される法人、組織などに向けて50万円からの募金を呼びかけており、集まったお金は全額、EPUBのISO/IECで標準化作業費および交通費、出張旅費にあてられるとのことです。

以下に、募金の呼びかけについての文章を引用します。

民間標準化団体International Digital Publishing Forumが策定した電子書籍データ形式EPUB 3は、日本語組版に対応しています。その制定では、日本電子出版協会の技術主任が国際化サブグループのリーダを務め、総務省の平成22年度「電子出版環境整備事業」も大きく貢献しました。

現在、EPUB 3のISO/IECでの国際標準化が進められています。これは、教育や図書館での採用を加速することが予想されます。ここでも日本は重要な役割(SC34/AHG4の共同委員長)を担っています。しかし、韓国からの国家提案という形で急な策定となったため、日本政府の支援がすぐには受けられず、日本側メンバーの国際会議への出張や仕様策定作業の資金が不足しています。このままでは早期に撤退するしかない状態です。

韓国政府は、2009年からEPUBを使った電子教科書をKERIS(韓国教育学術情報院、教育部(文部省)管轄の政府機関)が推進しており、政府調達の関係でデジュール(ISO/IEC)標準を推進しています。さらに、EPUBとeラーニングの連携についてもフォーラムとデジュール標準の両方で活発に活動しています。

日本電子出版協会は、問い合わせがあれば「個別に説明に伺います」と、募金の呼びかけで書いています。問い合わせ先などは「EPUB国際標準化支援 募金」のページを参照してください。

(追記 2013/1/23:「国際標準(デジュールスタンダード)」を「公的標準(デジュールスタンダード)」に修正しました)

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タグ : EPUB , Web標準



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