「Software-Defined Network」はネットワーク業界をどう変えていくのか?(前編) ~ Open Network Summit 2011

2011年11月28日

ネットワーク業界が大きな転機を迎えています。新しい概念「Software-Defined Network」によってネットワーク機器も、ネットワークの機能も、ネットワークの運用も変わろうとしているためです。

それはまるで、コンピュータがメインフレームからオープンシステムへの時代になったのと同じような変化がネットワーク業界に起きることだと、スタンフォード大学のNick McKeown氏は主張しています。

なぜこのような変化が起きるのか、そしてその変化とは何か。スタンフォード大学で10月18日に行われたイベント「Open Networking Summit 2011」の同氏の講演「How SDN will Shape Networking」(SDNはネットワーキングをどう変えていくか)を、公開されているビデオを基にまとめてみました。

ネットワーク業界もオープンな時代へ突入する

スタンフォード大学のNick McKeown氏。

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Software-Defined Network(SDN)でネットワーク業界がどう変わるのか、まずここから話していきたい。そのあとで、SDNによってネットワーキングがどうなるのか、4つのポイントをあげながら話していくつもりだ。

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198年代当初、コンピュータを買うとすれば、特定のベンダから垂直統合されたハードウェアとOS、アプリケーションを買うほかなかった。

しかしその後マイクロプロセッサが登場し、オープン化が進んで多くのOSが作られ、多数のアプリケーションが作られた。イノベーションのサイクルが早くなり、業界は大きく成長した。

ネットワーク業界にも明らかに同じことが起きようとしている。現在のネットワーク機器はメーカー独自のハードウェアとコントロールプレーン、独自機能によって垂直統合されている。

これがスイッチングチップが市販されるようになり、その上に複数のコントロールプレーンが乗ることになるだろう。そして最終的にはその上に多くのアプリケーションが登場するだろう。イノベーションが早いサイクルで起きるようになると期待されている。

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SDNはそのための役割を担うと私は大いに信じているが、そのために必要なのがパケットフォワーディングのオープンインターフェイスで、それがOpenFlowとなる。もちろんほかの技術でも代替可能だが。

そしてそのうえに多くのネットワークOSが登場するだろう。

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分散システムを備えたネットワークOSの登場

この変化がネットワークを持つ組織や運用に対してどんな影響を与えるのか。例としてOSPF(Open Shortest Path First、ルーティングプロトコルの1つ) を取り上げてみる。

OSPFの仕様は245ページある。一方で、その内部で使われているダイクストラアルゴリズムはわずか4ページで説明できる。残りのかなりの部分は、ネットワーク上の分散システムとしてどうやって一貫性を保ち、あるいは全体のマップを作ることに費やされている。

つまりルーティングプログラムを作るとき、もしくはネットワークの上に何か機能を追加するときには、必ず分散システムを作るところからはじめなければならないのだ。

現在のルータの仕組みを見てみると(下図の左)、カスタムハードウェアの上にOSがあり、その上に分散システムがあって、その上にOSPFのようなプロトコルを乗せている。

一方、SDNはまったく新しいものではなく(下図の右)、要するに従来の仕組みを、新しい抽象化とインターフェイスを用いてリファクタリングしたものだ。

ネットワークの上に分散システムを備えたネットワークOSを用意し、その上にプロトコルを乗せる。ここで大事なのは分散システムがすでに提供されていることであり、そのおかげで新しい機能を追加するのが容易になる。

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ネットワークOSのインターフェイスがOpenFlow

Network OSとパケットフォワーディングのあいだにはインターフェイスがあり、そこでOpenFlowが使われている。ここではそのOpenFlowについて少し話そう。

OpenFlowではFlow Tableによってフォワーディングの抽象化が行われている。これをスイッチに配置する。

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Flow Tableで実際に行われているのは、ヘッダ情報のマッチ(比較)と、それに対するアクションを実行することだ。これは現在のネットワークのあらゆる動作を抽象化している。L2、L3、ACL、ファイアウォール、すべてのレイヤのすべての動作がマッチ+アクションで記述できる。

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しかもアクションはシンプルで、このミニマリズムこそOpenFlowのポイントだといえる。OpenFlowはプロトコルに依存せず使え、後方互換性があるため既存のネットワーク内で動作する。

ここまでの結論として、SDNはここで示したような領域、データセンターでもクラウドでも企業内でも、WANでも、ホームネットワークなどでも利用価値があるだろう。

またスイッチやルータなどの製品や、ソフトウェアなどでも利用されるだろう。

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次の記事「「Software-Defined Network」はネットワーク業界をどう変えていくのか?(後編) ~ Open Network Summit 2011」に続きます。

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カテゴリ サーバ / ストレージ / ネットワーク
タグ  OpenFlow , SDN , ネットワーク


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