Javaとクラウドの進化を示す、SpringSourceが発表した「Cloud Foundry」

2009年8月24日

仮想化ベンダからクラウドベンダへと変わろうとしているヴイエムウェアが、Javaフレームワークを開発するSpringSourceを買収したことは、以前の記事「VMwareによるSpringSourceの買収で、Javaがクラウド対応へ進化する」でお伝えしました。

SpringSource Cloud Foundry

VMwareとSpringSourceの両社はJavaをどうクラウドに対応させていくのでしょうか。早くもその一端がSpringSourceから8月19日に「Cloud Foundry」として発表されました。

Cloud Foundryは現在β公開となっており、8月23日現在まだ試用可能になっていませんでした。ここでは公開されている資料を基に、Cloud Foundryがどのようなものなのかを紹介します。

全自動で行うJava実行環境の構築と運用

Cloud FoundryのWebサイトを見ると、その特徴を表す「The Enterprise Java Cloud」という言葉が目に入ってきます。企業をターゲットにした、クラウド環境対応のJava実行環境、これがCloud Foundryが目指しているものです。

現状のCloud Foundryが持つ機能は、以下のようなものです。

つまり利用者は、ソフトウェアのインストールや仮想マシンの操作はおろか、Amazon EC2に対する操作も一切不要。Cloud FoundryのWebサイトから操作するだけで、クラウドに対応したJava実行環境が全自動で利用できるようになるのです(あらかじめAmazon EC2のIDとKeyの取得は必要です)。

あとは、手元のPCからJavaのアプリケーションをアーカイブしてあるwarファイルをCloud Foundryの管理画面からアップロードすれば、自動的に配備完了。管理画面で配備済みのアプリケーションを選択して実行すれば、動作し始めます。

アプリケーションの負荷が高まれば自動的にインスタンスが増加し、負荷が下がれば減少します。もちろん最大と最小のインスタンス数を指定しておけるため、コスト管理も可能です。

fig Cloud Foundryの管理画面。右上のアップロードボタンでwarファイルをアップロードできる(説明動画から)
fig Cloud Foundryの管理画面。配備済みのアプリケーションのうち、2つを実行中(説明動画から)

いまはCloud Foundryが対応しているのはAmazon EC2のみですが、今後VMwareのクラウド環境であるvSphereにも対応することになっています。つまり、同じことが企業内のプライベートクラウドで実現できるということです。

これにより、Javaの運用がよりシンプルで手間のかからないものとなり、企業の運用コストの低減に貢献することが期待されます。

自動化されたインフラがこれからのITの姿

Cloud Foundryの本質的な価値とは、Javaの運用環境を進化させたという点よりも、インフラの自動化を実現することにあると見るべきでしょう。インスタンスを実現する仮想ファイルの中味をJavaではなくRuby on RailsやPerlに変えれば、それぞれのプラットフォームで同じようなメリットが享受できるはずです。

Cloud Foundryが実現したのは、仮想化によって抽象化したハードウェアの上で、配備と運用の自動化を実現した新しいインフラの姿です。現段階ですでにアプリケーションのインストール、実行、スケールアウト、バックアップなどを実現していると説明されてますが、フェイルオーバー、ディザスタリカバリ、アップデートパッチの適応、ネットワークトポロジーの変更といった作業もこのツールの延長線上で実現され自動化していくことでしょう。

いわゆるプライベートクラウドの利点があるとすれば、それはスケーラビリティにあるのではなく、こうしたハードウェアを抽象化したことで実現するインフラの自動化にあり、それによって管理コスト、運用コストを低減することが利用者にとってのメリットとなるはずです。

だとすると恐らく、このCloud Foundryが見せてくれるインフラ自動化とその管理ツールと似たようなソフトウェアがこれから、「プライベートクラウドを実現する」という名の下に多くのベンダから登場することが予想されます。そしてそれらによってより抽象化し、高度化し、自動化されたITインフラが、これから企業内で運用される情報システムの姿の1つになっていくのではないでしょうか。

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タグ : Java , VMware , クラウド , 仮想化



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