FCoEによるストレージとIPネットワークの統合は容易には実現されない

2009年10月26日

ホストバスアダプタ、ファイバーケーブル、SANスイッチなどの専用ハードウェアで構成されていたSANを、イーサネットに統合する新たな仕様として注目されているのがFCoE(Fibre Channel over Ethernet)と、その物理層として10Gbイーサネットを拡張したCEE(Converged Enhanced Ethernet)です。

FCoESANベンダとしてトップを走るブロケードや、シスコ、ネットアップやEMCなどのストレージベンダもFCoE対応製品のリリースを開始しており、次世代のSANはFCoEベースになると期待されています。

そのFCoEが本当に普及するのか、それともつまづくのか。米オンラインメディアの「Network Computing」で2人の筆者による議論がありました。

FCoEは有力な選択肢

FCoE Becomes Just Another Protocol - Network Computing

FCoEはバックボーンネットワークの有力な選択肢になるだろうと主張するのが、FCoE Becomes Just Another Protocolを書いたGeorge Crump氏。

Crump氏はブロケードがバックボーンスイッチ用のFCoEブレードをリリースすることを挙げてFCoEは成熟しつつあるとして、FCoEはバックボーンにおけるもう1つの有力なプロトコルになるだろう(FCoE Becomes Just Another Protocol)と予想しています。

FCoE has its value, especially for virtualized environments, but for the most part it saves server expansion slots and lowers the amount of physical cable run.

FCoEはとりわけ仮想環境で有用であり、また多くの場合サーバの拡張スロットを節約でき、多くの物理ケーブルの引き回しも(イーサネットで統一できるため)減少する。

FCoEへの入れ替えは対応するケーブルや機器を必要としつつも、これまでのようなSAN用とLAN用に別々にケーブルを引き回す面倒を、FCoEによるイーサネットへの統一で減らすことができる。こうしたメリットをCrump氏は挙げ、これがFCoEの普及を推進するだろうと主張しています。

ただし、引き続きネイティブなFCが利用される場面もあるともCrump氏は書いています。今後登場が予想されるSSDで構成された高速ストレージの利用です。FCoEによって1本のイーサネットケーブルにLANとSANのトラフィックを載せると、SAN専用のFCよりもストレージに割り当てられる帯域幅が狭まる可能性があり、SSDによる高速ストレージの利点が活かせないためです。

SSD may also be the primary motivation for organizations to adopt 16GB fibre when it becomes available.

SSDは企業にとって16GBファイバーの利用を促進する大きな推進力になるだろう。

SSDストレージでは引き続きネイティブなファイバーチャネルが利用されると。

The result is for many environments there will be a mixture of FCoE and stand alone fibre and IP connectivity. This drives the need for FCoE to become another protocol that the storage manager adds to their connectivity tool belt.

結論として、多くの環境ではFCoEとFCとIP接続の混在環境になるだろう。そしてこれが、FCoEを企業にとってもう1つの有力なプロトコルへと位置づける推進力になり、ストレージ管理者は接続ツール群にそれを組み込むことになるだろう。

FCoEには陰謀が隠されている

FCoE Isn't Just Another Protocol - Network Computing

このCrump氏の意見に反論し「FCoE Isn't Just Another Protocol」を書いたのがHoward Marks氏。

Marks氏は、FCoEがあまりに多くの変更を必要とする点を突いています。

Not only does FCoE require the new and improved Ethernet with Data Center Bridging to eliminate packet losses due to congestion, it also requires that all FCoE traffic passes through the fiber channel forwarder (FCF) function of an FCoE switch.

FCoEは混雑によるパケットロスを防ぐためのイーサネットの拡張(CEEのこと)とData Center Bridge(CEEのスイッチ)だけでなく、すべてのFCoEトラフィックがFCoEスイッチのFCFを通らなくてはならないのだ。

こうしたさまざまな機器の必要性について、Marks氏はこう疑っています。

If I had a suspicious mind, I could think this was all a conspiracy by the Fibre Channel mafia to continue to control the SAN switch market while using successful Ethernet brand.

疑いを持っていえば、イーサネット機器ベンダに対して「ファイバーチャネルマフィア」がSANスイッチマーケットを引き続きコントロールしようと企んでいるのではないだろうか。

ストレージネットワークとIPネットワークは容易には統合されない

FCoEについて日本語で読める解説としては、@ITの連載記事「FCoEプロトコル速解」が詳しく、参考になります。この記事の筆者であるブロケードコミュニケーションズシステムズの小今井裕氏は、今年の2月に公開された記事の最後でこうまとめています。

最近、CEE/FCoEが登場することでSANもLANも一気に統合され、すべてのネットワークが簡単に1つになる、というような話を聞くこともある。が、決してそうではない。

CEE/FCoEはネットワーク技術というよりも、まずはI/O統合の技術であり、特にサーバ側のI/Oを統合する技術としての利用が先に進むだろう。サーバ側インターフェイスやネットワーク機器としての入れ替えはある程度想定はつくが、ストレージ側のインターフェイスまで変わるということになると、データ移行など考慮すべき点も多くなる。

これまでにも説明してきたが、ファイバチャネルを主流とするデータI/OとIPでは必要とされるネットワーク特性が異なり、さらに現状CEEはデータセンタ内で使用される技術であるので、ストレージネットワークとIPネットワークを1つのネットワークにすることは容易には実現されない。

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タグ : FCoE , IT業界動向 , ストレージ



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