次期MCP(Model Context Protocol)では非同期操作、ステートレス、公式のプロトコル拡張などサポート

2025年10月7日

Anthropicがオープンソースとして仕様を作成しているMCP(Model Context Protocol)は、今年(2025年)11月にアップデートを予定しています(MCPはこれまでにも、2025年3月、6月とアップデートが行われています)。

現在どのようなアップデートが検討されているのかが、MCP公式サイトのブログ記事「Update on the Next MCP Protocol Release | mcp blog」で説明されています。

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MCPは生成AIとツールの接続のためのプロトコルとして登場し、事実上の標準として普及しています。複数のAIエージェントを連携させるAgent2Agentプロトコルのベースにもなっています。

今回(2025年11月)のアップデートでは、こうしたさまざまな用途でMCPが利用されるようになったことで生じた課題への対応にフォーカスされています。

具体的には大規模なタスクや大規模展開に対応するスケーラビリティ、特定の用途にも対応する拡張性など、5つのフォーカス領域が発表されています。

2025年11月のMCPアップデートのフォーカス

非同期オペレーション
現在のMCPはほとんどのオペレーションが同期的に行われています。これはツールを呼び出した後、その処理が完了するまで処理が止まることになります。ちょっとした操作であればこれでも問題ありませんが、完了まで数分から数時間かかるような大規模なオペレーションを想定すると、これは改善されるべきといえるでしょう。

そのためMCPのエージェントワーキンググループではMCPに非同期オペレーション(SEP-1391: Asynchronous Tool Execution)を追加しようとしています。

ステートレスとスケーラビリティ
MCPサーバを企業が大規模に展開しようとする場合、現在のMCPではリクエストのあいだその内容を記憶しておくような実装が求められることが多く、サーバのインスタンス数を増やすようなスケーラビリティが困難になっています。

現在のMCPのトランスポートで採用されているStreamable HTTPはステートレスをサポートしていますが、サーバの起動とセッションハンドリングに課題が残っているため、MCPのトランスポートワーキンググループでは、ステートフルからのシンプルなアップグレードパスを保ちつつ、この改善に取り組んでいます。

サーバーアイデンティティ
MCPサーバで何が出来るかを知るには、実際にMCPサーバに接続してみなければなりません。この状況を改善するため、「Well-known URI」と呼ばれるメタデータを提供する標準的な仕組みを用いてサーバ自身がアドバタイズできるようにしようとしています。

公式のプロトコル拡張
MCPが広く利用されるにつれて、特定の業界やユースケース向けのパターンが出現しています。こうしたユースケース向けのMCPを再発明するのではなく、主要なプロトコル拡張についてドキュメント化を進めています。これにより医療、金融、教育などの特定ドメイン向けのシステム構築などで、この公式のプロトコル拡張を参照できるようになります。

SDKサポートの標準化
MCPのSDKごとに更新頻度や機能のレベルが異なっていることから、どのSDKを選択すれば良いのか迷うことがあります。そこで仕様の準拠速度、メンテナンス対応、機能の完全性などによるSDKのティアリング(分類)が導入されるようになります。

これらを含む次のMCPアップデート仕様は2025年11月11日にリリース候補版となり、2週間後の11月25日に正式版になる予定です。

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Junichi Niino(jniino)
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