数千のKubernetesクラスタ群の運用管理に対応する「Rancher 2.4」正式版リリース。ローリングアップデートやセキュリティスキャンを実現

2020年4月21日

Rancher Labsは4月1日、Kubernetesおよび関連ソフトウェアを統合した「Rancher 2.4」のリリースを発表しました。

Rancherとは、同社のKubernetesディストリビューションである「Rancher Kubernetes Engine」(RKE)およびKubernetesのクラスタ管理、そこで実行されるアプリケーションのワークロード管理のための運用管理ツールなどをまとめたパッケージです。

RKEだけでなくAWS、Microsoft Azure、Google Cloudが提供しているKubernetesサービスのEKS、AKS、GKSやオンプレミス上のKubernetesなど、Cloud Native Computing Foundation標準に準拠したKubernetesに対応しており、マルチクラウド環境に対して統合的なKubernetesの運用管理を可能にすることが特徴です。

また、Rancherを構成するソフトウェアはすべてオープンソースで開発されていることが、もう1つの大きな特徴といえます。

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数千のKuberntesクラスタをサポート

新バージョンとなるRancher 2.4では、大規模クラスタ群の運用管理に対応するなどの機能強化が行われています。

Rancher LabsはRKEだけでなく、いわゆる「エッジ」と呼ばれるような小規模な環境向けの軽量Kubernetesディストリビューションである「K3s」をリリースするなど、さまざまな場所で多数のKubernetesクラスタが運用される将来像を持っています。

Rancherはそうした状況に対応するべく、将来的には100万クラスタであっても集中的な運用管理が行えるツールになっていくとしています。

Rancher 2.4ではその過程にあるバージョンとして、数千ものKubernetesクラスタの運用管理に対応しました。

ローリングアップデートとセキュリティスキャン

Rancher 2.4では可用性とセキュリティも高めています。

RKEのワーカーノードに対するローリングアップデートが可能になり、アプリケーションのダウンタイムなしにアップデートできるようになりました。

またCIS(Center for Internet Security)に登録されている100以上の脆弱性に関するスキャンをKubernetesクラスタに対して実行する機能も搭載。脆弱性の早期発見と対策も実現します。

Hosted Rancherも登場

Rancher Labsは、Rancher 2.4の発表と同時にホスティングバージョンのRancherである「Hosted Rancher」を発表しました

Hosted Rancherによって利用者はKubernetesクラスタの集中管理をRancher 2.4で行う際に、自分でRancherソフトウェアのインストールや運用管理といった作業なしに行うことができるようになります。

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