オールフラッシュストレージのViolin Memoryが倒産手続きのためチャプター11を提出。ビジネスはまだ継続中
オールフラッシュストレージの専業ベンダである米Violin Memoryは12月14日、倒産手続きに入るためチャプター11を提出したことを発表しました。
Violin Memory has filed a voluntary petition for reorganization under chapter 11 of the U.S. Bankruptcy Code in the Bankruptcy Court for the District of Delaware, and is seeking to hold an auction in early January for the business.
Violin Memoryは事業を見直すために自主的にチャプター11をデラウェアの裁判所に提出しました。当該事業のオークションは1月上旬に行われる見通しです。
(プレスリリースから)
Violin Memoryは2005年に創業したオールフラッシュストレージ市場における新興企業の1つ。同社はフラッシュストレージを構成するフラッシュメモリのチップコントローラからメモリモジュール、RAIDコントローラ、ストレージ管理システムなど、あらゆるコンポーネントを独自開発し、徹底的な高性能と高信頼性を追求した製品が特長でした。そのためエンタープライズ市場でも高性能高信頼性が求められるハイエンドなストレージ市場を狙った製品をラインナップしていました。
この製品戦略はそれほど大きな成功を収められなかったようで、以前から同社は不振が続いているとされてきましたが、2013年には日本市場にも参入し、また同年9月にはニューヨーク証券取引所への株式公開も実現するなど、積極的な経営姿勢を見せてきました。
しかしオールフラッシュストレージ市場の競合企業を見てみると、例えばFusion-ioは2014年にSanDiskに買収されていますし(SanDiskは2015年にWestern Digitalに買収)、Whiptailはシスコに買収され、Texas Memory Systemsは2012年にIBMに買収されました。
単独でフラッシュストレージ専業ベンダとして生き残っているPureStorageも、フラッシュストレージだけでなくシスコのUCSサーバと同社のストレージを組み合わせたコンバージドインフラストラクチャのリファレンスアーキテクチャを提供するなどしており、Violin Memoryが再建されたとしても、単独のオールフラッシュストレージ専業ベンダとして生き残っていくのは容易ではないでしょう。
特にハイエンドのエンタープライズストレージは企業の重要なデータを保存するための器であり、それを提供するストレージベンダには長期的なサポートを提供できるだけの安定性が顧客から求められます。現在の同社がそうした顧客からの評価に応えられるとは思えません。
1月に行われるとされるオークションでどこかが同社をまるごと買ってくれれば同社や同社の顧客にとってもベストな選択肢と考えられますが、有力なサーバベンダの多くがすでに自社でフラッシュストレージを展開していることを考えると、その可能性はそれほど高くないように思います。チャプター11は再建のための倒産手続きなので、このまますぐに同社がなくなってしまうわけではありませんが、知財など同社の資産がばら売りされていき、いずれは静かに市場から退場していくことになるのかもしれません。
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