「マイクロソフトはコンシューマ市場で敗者となる」アナリストの予想が話題に
「マイクロソフトはコンシューマ市場で敗者となる、ゲーム以外では」という米国のアナリスト Mark Anderson氏の発言が話題になっています。
この発言が行われたのは、Anderson氏が顧客向けに毎年行っている夕食会が開催された12月8日のニューヨーク、ウォルドルフ・アストリアホテルでのこと。
Anderson氏の発言は、マイクロソフトウォッチャーとして知られるMary-Jo Foley氏がブログ「Analyst: 'It is game over for Microsoft in consumer'」で取り上げ、ニューヨークタイムズのブロガー Steve Lohr氏も「Microsoft Is Losing Fight for Consumers, Analyst Says」で取り上げ、またウォールストリートジャーナル参加のバロンズでも、ブログ「Microsoft Losing Consumer Battle?」で取り上げています。
ゲーム以外はコンシューマ市場で敗者となる
Anderson氏は、2010年の予想の中でこう話したそうです。Steve Lohr氏のブログから引用します。
"Except for gaming, it is 'game over' for Microsoft in the consumer market," he said. "It's time to declare Microsoft a loser in phones. Just get out of Dodge."
ゲームを除いて、マイクロソフトのコンシューマ市場での戦いは「ゲームオーバー」となる。と彼(Anderson氏)は言う。携帯電話市場で敗者になると宣言すべきときだ。
スマートフォンはこれからパーソナルコンピュータを超えるようなソフトウェア開発の中心的な存在となるべく勢いを増しており、そこでマイクロソフトが負けることはかなり手痛い打撃となるだろう、とAnderson氏は予想しているとのこと。
コンシューマとエンタープライズの溝は広がる?
Anderson氏の発言をブログで取り上げたMary-Jo Foley氏とSteve Lohr氏が、もう1つ取り上げた彼の発言があります。それは、エンタープライズとコンシューマの溝が広がっているという彼の予想です。
今度はMary-Jo Foley氏のブログから引用します。
"The computer world is splitting apart, into two separate continents, consumer and enterprise," he said.
「コンピュータの世界はコンシューマとエンタープライズという2つの大陸に割けようとしている」と彼は言う。
Mary-Jo Foley氏は、もしこれが本当ならば、マイクロソフト、とりわけレイ・オジー氏の戦略にとってにとって致命的な悪影響を及ぼすだろうと書いています。Steve Lohr氏はAnderson氏のこの意見は多数意見とは異なっていると書いており、両氏とも暗に彼の意見からは距離を置くような表現をしています。
スマートフォンとPCは相互に影響し合う
マイクロソフトは確かに、スマートフォン市場ではiPhoneやAndroidと比べると勢いを失いつつあるようにみえます。しかし、それがコンシューマ市場全体に今後影響を与えるかといえば、そうは思いません。
先日公開した2つの記事で書いたように、スマートフォンとPCのアプリケーションは地続きになろうとしており、このトレンドは今後さらに広がると予想しますが、これはスマートフォン市場がPCを覆うのでも、PC市場がスマートフォン市場を侵食するのではなく、相互に影響を与えつつ進化していくものと見ています。
マイクロソフトがMacOS対応のOfficeをリリースしているように、iPhoneやAndroidのアプリケーション市場で競争することも十分にあり得ます。
と同時に、Anderson氏の見方とは異なり、クラウドの登場によってエンタープライズとコンシューマは相互に乗り入れようとしているようにみえます(Steve Lohr氏がいうようにこれは多数意見でしょう)。この点では、その中心にいるクラウドベンダは有利に戦いを進められるのではないかと予想します。