組織全体でGitHubを使うようになるまで(後編)~ エンジニアでなくてもGitHubは便利に使える。Cookpad TechConf 2017

2017年1月24日

エンジニアのツールだと思われていたGitHubを組織全体でどうやって使うようにしたのでしょうか? 21日に都内で行われたイベント「Cookpad TechConf 2017」のセッション「組織全体でGitHubを使うようになるまで」で紹介されたその内容を、ダイジェストでまとめました。

(本記事は「組織全体でGitHubを使うようになるまで(前編)~ 使い方が分からない? 使うのが怖い? Cookpad TechConf 2017」の続きです)

「みんなの場」だから、エンジニアも振る舞いを変える必要がある

GitHubは最初はエンジニアがコミュニケーションをする、そいういうツールでした。

けれども、チーム全員がGitHubでコミュニケーションをしようと決めたのだったら、そこはエンジニアの場じゃなくてみんなの場なんですね。だから自分たちも振る舞いを変える必要があります。

fig

エンジニアのコミュニケーションスタイルとそうでないひとのコミュニケーションスタイルってちょっと違ったりするじゃないですか。

エンジニアは難しい技術用語を使うとか、事実で殴り合うような物騒なコミュニケーションをしていることがあるので、「みんなの場」としては、そこをもうちょっと丁寧にとか、誰が受け取るのかとか、小さいことですが、そういうことを積み重ねていくと。

こういうことをやった結果、みんなが使ってくれるようになりました。

チームに23人のうちエンジニアが6人で、それ以外の人たちもばんばん使ってくれていますし、社長も使っています。

で、当初は問題になっていたログが残らないとか、作業への割り込みが発生するとかが解消されました。

さらに率直な自分の感想として、すごい働きやすくなったなと思います。

fig

このスライドを作るために、ちょっとユーザーサポートの人にインタビューをしたのですが、「便利になりましたね」って言ってくれて。その人は家庭のタスク管理にアプリを使ってるらしいんですが、「もしGitHubが無料だったら家でもGitHub使いたいです」と言ってくれました。本当に便利だと思ってくれてるんだなあ、やってよかったなあと思いました。

それからサポートエンジニアから「こういう対応をお願いします」とIssueが投げられると、投げた人はそのあとの過程も気にして見るんですね。見ると詳細は分らなくても、こうしたことをやってるんだなあと、だったら自分たちでこういうこともできるんじゃないかなあと、隣のチームへの関心が沸いてくるという、思いがけない効果がありました。

fig

エンジニアでなくてもGitHubは便利に使える

まとめです。エンジニアじゃなくてもGitHubは使えます。使えるだけでなく便利に使えます。

それから全員でひとつのコミュニケーションツールを使うことで、コミュニケーションが活発になるんですね。ツールをまたぐとか分断されることがなくなるので、それまでになかった小さなフィードバックが上がってくるようになったり、横から口が出せなかったのが出せて、提案が出てくるようになったりしました。

自分のチームのことだけでなく、大きい意味で見たときに一緒にサービス開発をしている人に対する関心が生まれて、より豊かなコミュニケーションができるようになりました。

全員でひとつのコミュニケーションツールを使うと、非常に働いていて楽しいですし、良いものが作れるようになると思うので、みなさんもよければ、ひとつのツールを使ってみていただければと思います。

fig

Q&A

会場から エンジニア以外の人にとって英語の壁はなかったのですか? (注:GitHubの画面は英語のため)

回答 実は僕も心配していましたが、実際に使ってみるとそんなに気にならないらしくて、設定を触るときは「助けて」と声が掛かるのですが、普段は「Issues」をポチとやって、あとはそんなに苦労していないみたいですね。

会場から Issueの管理だとほかのツールもあると思うのですが、GitHubを選んでほかを選ばなかった理由は? それからGitHubのIssueだと、エンジニアが書いているコードが見えるんじゃないかなと思うのですが、コードが見えるとほかの人がこわがったりしないのかな、というのはどうでしたか?

回答 あんまり比較検討してGitHubがベストだと決めたのではなくて、身近にあったからというのが一点と、もうひとつはエンジニアはGitHubのIssueでコミュニケーションしちゃうので、そこで分断して見えなくなるところができるのがイヤだったのでGitHubにしました。

もうひとつ、コードについても、はじめは控えていたんですよ。Issueでコードを出すと壁ができるみたいなのがあるかなと。だけど慣れてきたらエンジニアがまたなんかやってるなという感じで、あんまり壁は感じないみたいです。

公開資料

Cookpad TechConf 2017

あわせて読みたい

プログラミング言語 働き方 開発ツール GitHub




タグクラウド

クラウド
AWS / Azure / Google Cloud
クラウドネイティブ / サーバレス
クラウドのシェア / クラウドの障害

コンテナ型仮想化

プログラミング言語
JavaScript / Java / .NET
WebAssembly / Web標準
開発ツール / テスト・品質

アジャイル開発 / スクラム / DevOps

データベース / 機械学習・AI
RDB / NoSQL

ネットワーク / セキュリティ
HTTP / QUIC

OS / Windows / Linux / 仮想化
サーバ / ストレージ / ハードウェア

ITエンジニアの給与・年収 / 働き方

殿堂入り / おもしろ / 編集後記

全てのタグを見る

Blogger in Chief

photo of jniino

Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。2009年にPublickeyを開始しました。
詳しいプロフィール

Publickeyの新着情報をチェックしませんか?
Twitterで : @Publickey
Facebookで : Publickeyのページ
RSSリーダーで : Feed

最新記事10本