HTTP 2.0はグーグルのSPDYがベースになる? 議論開始の提案がIETFで

2012年1月27日

「新しいバージョンのHTTPについての作業を開始する機が熟したのではないか」。HTTP 1.1仕様の改版を議論しているIETFのHTTPbisワーキンググループのメーリングリストに1月24日、このようなメッセージが議長のMark Nottingham氏から投稿されました

現在議論されているのは、RFC2616で規定されたHTTP 1.1仕様のバグや問題の修正などで、基本的にこれまでのHTTPと互換性があることを前提にした仕様です。これが2月にラストコールとなることから、そろそろ次のHTTPについての議論をスタートさせよう、と呼びかけが始まったのです。

HTTP 2.0の議論を含む新しい憲章案も

メッセージは、「We're getting close to Working Group Last Call.」(ワーキンググループの作業もラストコールに近づいてきた)と始まります。もうすぐ4年あまりの作業が終わりなるだろうと。

That's clearly changed in the intervening time; two major browsers have implemented SPDY,

この間に明確な変化があった。2つのメジャーなブラウザがSPDYを実装したのだ(訳注:Chromeに加え、Firefox 11からSPDY対応予定)。

Nottingham氏はやや唐突な感じでSPDYのことを取り上げます。そしてこう続けます。

I've been talking to a number of folks -- including those implementing SPDY, as well as HTTP implementers and the W3C TAG -- about this recently. There seems to be broad agreement that the time is ripe to start work on a new version of HTTP in the IETF, and that it should happen in this Working Group.

これまで多くの人々と、最近になってこのことについて話をしてきた、SPDYの実装をしている人、HTTPの実装をしている人、W3C TAなど。そしてIETFで新しいバージョンのHTTPについての作業を開始する機が熟したのではないか、という合意が広がっているように感じた。そしてそれをするならこのワーキンググループでやるべきだろうと。

SPDYとは、グーグルがより速いWebを実現するためにHTTPを高速化した新プロトコルです。以下の記事を参照してください。

メッセージの後半では、HTTPbisワーキンググループで次のバージョンのHTTP、つまりHTTP 2.0の議論を始めるための新たな憲章案も付記されていました。やや長めですが、引用します。

HTTP/2.0
--------

There is emerging implementation experience and interest in a protocol that retains the semantics of HTTP, without the legacy of HTTP/1.x message framing and syntax. The Working Group will leverage this to create new major version of HTTP. Although work on this new version will begin in parallel with completion of work on HTTP/1.1, the Working Group will prioritize HTTP/1.1 work until it is complete.

Particular goals of this effort include:
* Significantly improved perceived performance for common use cases (e.g., browsers, mobile)
* More efficient use of network resources; in particular, reducing the need to use multiple TCP connections
* Ability to be deployed on today's Internet, using IPv4 and IPv6, in the presence of NATs
* Maintaining HTTP's ease of deployment
* Reflecting modern security requirements and practices

全部を訳すと長くなってしまうのでざっくり説明すると、HTTP 2.0は下位互換性は気にせず、大幅な性能向上とネットワーク利用効率の向上などをゴールとする、という内容です。

憲章案には(当然ながら)SPDYの名前はでてきませんが、Nottingham氏がメッセージの最初の方にSPDYの名前を挙げたことや、この憲章の内容から、HTTP 2.0のベースとしてSPDYを念頭においていることは明らかなようです。(追記 1/27 : Nottingham氏から少し補足するような「こちらの方がバランスがよい見方かも」という発言もありました。

賛同は示しつつも反応はいまひとつ

この案に対して、メーリングリストではさまざまな反応がありました。いくつかを拾って読んでみたのですが、あまりSPDYに反応している人はいないようで、1.2ぐらいのマイナーバージョンアップはどうだろうとか、いきなり2.0はたくさんやるべきことがありすぎるなあと感想を漏らすなど、全体に新しいバージョンへの賛同は示しつつも、方向性についてはなんとなくまとまっていない印象です。

HTTPはWebの根幹をなす技術の1つですから、メジャーバージョンアップとなればこれから長い議論が待っていることは間違いありません。SPDYは現時点で議論のたたき台としては(ほかに適当な実装が見あたらないことからも)悪くない選択肢のように思いますが、参考程度とするのか仕様のベースとなるのかなど、まだ先行きが予想できる段階ではありませんね。

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タグ : HTTP , SPDY , Webブラウザ , Web標準



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