エリソン氏が「オラクルもクラウド参入」と発表するのでは? という期待は外れ

2010年1月28日

サン・マイクロシステムズ買収後のオラクルの戦略が発表された1月27日(現地時間)のライブイベント。レポートは記事「[速報]オラクル、サン買収後のオラクルのビジョンを発表。「1960年のIBMと同じ」ソフトとハードの統合」に書きましたが、実はこのイベントで個人的にいちばん期待していたのは、ラリー・エリソン氏が「オラクルもクラウドに参入する」という発言をするのではないか、ということでした。

サンはAmazon EC2対抗のパブリッククラウドを計画していた

ラリー・エリソン氏はクラウド嫌いで知られています。そしてそれを反映してか、オラクルはこれまでクラウド戦略はおろか、マーケティングの中でもクラウドという言葉をほとんど使ってきませんでした。

一方でサン・マイクロシステムズは、いまクラウドのデータセンターで主流となっているコンテナ型データセンターを販売、昨年1月にはコロラド州にデータセンターを開設、そして3月には「Open Cloud Platform」を発表して、Solaris、MySQL、Javaなどの技術を活用し、Amazon EC2に対抗するようなパブリッククラウドの提供を計画していました。

クラウドに対してこれまでほぼ完全に沈黙してオラクルは、サン・マイクロシステムズを買収したことで一転、クラウドサービスのメジャープロバイダーを目指して進撃を始める。その大きな転換点となる戦略がクラウド嫌いなエリソン氏の口からドラマティックに語られるのではないか? ちょうどアップルがiPadを華々しく発表していたのと同じ頃、日本時間27日の深夜から28日早朝にかけて行われた米オラクルのライブキャストを、そんな期待を込めて見つめていました。

エリソン氏登場! しかしあっけなく期待は裏切られ...

しかし期待はあっけなく裏切られました。日本時間で午前6時過ぎ、見つめていたライブキャストの画面に登場したエリソン氏はすぐにQ&Aセッションに移ってしまい、特に発表らしきものはありませんでした。そしていつもの通りプレスやアナリストに対して「クラウドって何だ? そんなものは以前から似たようなのがあったじゃないか」と、クラウドに対して何ら目新しいことはないという自説を早口でまくしたてていました。

この日発表されたオラクルの戦略の中には、コンテナ型データセンターはもちろん、パブリッククラウドの展開も触れられていません。

しかしまったくクラウドについて語られなかったわけでもありません。イベントの中では、OSと仮想化の分野を担当するEdward Screven氏が同社のクラウド戦略を以下のスライドで紹介していました。

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クラウドの説明は、これともう1枚のスライドのみ。要するに「オラクルはサンを買収したことで、クラウドコンピューティングに必要なものはチップからOS、データベース、アプリケーションまで揃えていますよ」ということです。

これは、サン・マイクロシステムズを買収して「ハードからソフトまでを全部揃えたベンダとなった」というメッセージをクラウド向けに言い換えただけに聞こえます。つまり、クラウドに目新しいものはない、というエリソン氏の主張がここでも貫かれているようです。

エリソン氏を甘く見ていた

オラクルがなぜサン・マイクロシステムズを買収したのか。現在の企業システムを構築する方法として主流となったオープンシステムは、さまざまなコンポーネントを組み合わせてシステムを構築する必要があります。しかしいまではその組み合わせがあまりに複雑になりすぎたため、シンプルで優れたソリューションをワンストップで提供することに、大きな付加価値とともにイノベーションの可能性ができたためです。このことは昨年6月の記事「オープンシステムの幼年期の終わり」にも書きました。

オラクルは徹底的にこのワンストップソリューションの提供にこだわったということが、今回の発表で明らかになりました。「クラウドへの戦略転換があるかも?」という予想は、エリソン氏のこだわりをあまりにも甘く見ていたようです。


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タグ : Oracle , クラウド

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