AWSがエッジクラウドへの投資を本格化。米国内に16のローカルゾーンを構築完了、今後2年間で全世界に30カ所以上を展開へ

2022年2月18日

グローバルに大規模なデータセンターを展開してきたAmazon Web Servicesが、新たによりユーザーの近くにデータセンターを構築する、いわゆるクラウドのエッジに位置づけられる「AWS Local Zones」への投資を本格化します。

同社が発表したプレスリリース「AWS Announces Global Expansion of AWS Local Zones」で、構築が完了した米国内の16のAWS Local Zonesの成功を受けて、今後2年間のあいだに新規に全世界に32カ所のAWS Local Zonesを構築することを明らかにしました。

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1桁ミリ秒のレイテンシを実現するAWS Local Zones

AWS Local Zonesは、コンピュート、コンテナ、ストレージ、ネットワークなど主にコンピューティングインフラ系のサービスを提供しつつ、ユーザーの近くにデータセンターを配置することで1桁台のミリ秒(1ミリ秒は1秒の1000分の1秒)の小さなレイテンシを実現できることを最大の特徴としています。

例えば一般的にテレビでは1秒間に30回画面を描画しているため、描画されている1コマは約0.03秒=約30ミリ秒のあいだ表示されています。これと比較すると、AWS Local Zonesのレイテンシが非常に小さいことが分かります。

AWSのアダム・セリプスキーCEOが下記のツイートで説明しているように、AWS Local Zonesはライブ配信や対戦ゲーム、ストリーミング、機械学習など、小さなレイテンシが要求されるアプリケーションで有用とされています。

Netflixは映像作家向けワークステーションをクラウド上に構築

こうしたユースケース以外にも、NetflixがAWS Local Zonesの興味深いユースケースを明らかにしています。NetflixはこのAWS Local Zonesを使って、映像作家やCGアーティストがローカルで使ってきた専用のワークステーションを、小さなレイテンシで利用できるAWS Local Zones上の仮想マシンで置き換えようとしています。

Historically, artists had specialized machines built for them at their desks; now, we are working to move their workstations to AWS to take advantage of the cloud. In order to provide a good working experience for our artists, they need low latency access to their virtual workstations. AWS Local Zones brings cloud resources closer to our artists and have been a game changer for these applications.

従来、アーティストは専用に構築したマシンを机の上で利用してきました。われわれは現在、このワークステーションをAWSに移行することで、クラウドを活用する取り組みを行っています。アーティストに快適な作業環境を提供するためには仮想ワークステーションに低遅延でアクセスできることが必要です。AWS Local Zonesはクラウドのリソースをアーティストに近づけることで、これらのアプリケーションのゲームチェンジャーとなっています。

レイテンシが1桁ミリ秒であればアーティストに快適な操作ができるワークステーションを実現できる、と判断しているわけです。

クラウドのリソースが小さなレイテンシで利用できることで、ローカルやオンプレミスで構築されてきたコンピューティングがクラウドへ移行していく圧力はさらに高まるのでしょう。

と同時に、このワークステーションの事例に代表されるような、いわゆるCDNベンダが提供するエッジコンピューティングを超える強力なコンピューティングリソースを低レイテンシで提供できる点が、このAWS Local Zonesの大きな特徴とも言えそうです。

日本国内にはいまのところ開設予定なし

今後2年で開設が発表されている32のAWS Local Zonesのリストは、アムステルダム(オランダ)、アテネ(ギリシャ)、オークランド(ニュージーランド)、バンコク(タイ)、ベンガルール(インド)、ベルリン(ドイツ)、ボゴタ(スペイン)、ブリスベン(オーストラリア)、ブエノスアイレス(アルゼンチン)、チェンナイ(インド)、コペンハーゲン(デンマーク)、デリー(インド)、ハノイ(ベトナム)、ヘルシンキ(フィンランド)、ヨハネスブルグ(南アフリカ)、コルカタ(インド)、リマ(ペルー)、リスボン(ポルトガル)、マニラ(フィリピン)、ミュンヘン(ドイツ)、ナイロビ(ケニア)、オスロ(ノルウェー)、パース(オーストラリア)、プラハ(チェコ)、ケレタロ(メキシコ)、リオデジャネイロ(ブラジル)、サンティアゴ(チリ)、トロント(カナダ)、バンクーバー(カナダ)、ウィーン(オーストリア)、ワルシャワ(ポーランド)。

残念ながら日本国内の設置は予定されていませんでした。

ちなみにAWS東京リージョンに日本国内からアクセスした場合のレイテンシは数十ミリ秒程度と言われています。日本国内における低レイテンシなコンピューティングのニーズが今後どのくらい発生してくるのか、気になるところです。

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Junichi Niino(jniino)
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