VMwareをクラウド基盤に採用した新サービス、NTTコミュニケーションズが発表。VMware on AWSとの差別化は?

2017年10月31日

NTTコミュニケーションズはVMwareを基盤とする新クラウドサービス提供を発表。VMware on AWSなど今後登場する競合他社に対する同社独自の差別化要因は、ネットワークやマネージドサービスなどとなる。


VMwareはクラウド戦略として、クラウドベンダに対してVMwareのクラウド基盤ソフトウェアの採用を働きかけています。これによって、どのクラウドを利用したとしてもユーザーがオンプレミスのVMwareとシームレスにクラウドのVMware環境を利用できるようにしようとしています。

AWSの上でVMware Cloudを提供する「VMware on AWS」も、IBMとの戦略的提携による、IBM Cloudの「VMware Cloud Foundation」採用も、そうした戦略のうえにあるものです。

NTTコミュニケーションズがVMware基盤の新サービスを発表

VMwareとNTTコミュニケーションズは10月30日、両社の提携強化とともにNTTコミュニケーションズがVMwareのクラウド基盤ソフトウェアを採用したクラウドサービスを提供すると発表しました。

発表には翌日から開催されるVMware vFORUM 2017にあわせて来日したVMware CEO パット・ゲルシンガー氏も同席する、力の入ったものでした。

NTTコミュニケーションズとVMware、提携強化と新サービス発表 fig2左から、VMware CEO パット・ゲルシンガー氏、NTTコミュニケーションズ 取締役 クラウドサービス部長 森林正彰氏、VMware クラウドネットワーキング担当 CTO グイド・アッペンツェラー氏

NTTコミュニケーションズが提供するのは、「VMware Cloud Foundation」による専有型クラウドサービス、「VMware vCloud Director」を活用した共有型クラウドサービス、「VMware vCloud Availability for vCloud Director」を活用したウォームマイグレーションサービスなど。

2017年度第四四半期、すなわち2018年1月から3月のあいだに提供開始予定。

NTTコミュニケーションズとVMware、提携強化と新サービス発表 fig2

VMware Cloud Foundationとは、vSphere、vSAN、NSXなどで構成され、クラウドとしての統合管理ツールにSDDC Managerを利用するクラウド基盤ソフトウェア。

参考:[速報]VMware、統合クラウド基盤「VMware Cloud Foundation」発表。オンプレミスに加え、IBMがクラウドサービスとしても提供。VMworld 2016 US

VMware vCloud DirectorもvSphere、vSAN、NSXなどを用いつつ、クラウドサービスプロバイダ向けに仮想データセンターを実現する機能を提供するもの。

VMware vCloud Availability for vCloud Directorは、継続的にオンプレミスのバックアップをクラウドでとりつつ、万が一災害などでオンプレミスに生涯が発生したときには、クラウド側でバックアップデータを元にシステムを起動できるディザスタリカバリを実現するものです。

VMware on AWSとどう差別化するのか?

VMwareにとって、NTTコミュニケーションズが同社のソフトウェアを基盤に採用することは、オンプレミスでVMwareを使っても、VMware on AWSを使っても、IBM CloudでVMware Cloudを使っても、NTTコミュニケーションズの新サービスのどれを使っても一貫したVMwareの体験が提供されるわけで、同社のマルチクラウド戦略が前進するというメリットがあります。

一方のNTTコミュニケーションズは、VMwareのソフトウェアを基盤にしたクラウドサービスを充実させることで、まだ数多く存在しているオンプレミスでVMwareを利用している企業ユーザーを、自社のクラウドサービスへと取り込むことを目論んでいます。

しかしNTTコミュニケーションズにとっては、VMwareの戦略に乗って同社のソフトウェアをクラウド基盤とする、例えばVMware on AWSやIBM Cloud、今後同様にVMwareを基盤としてサービス展開をするであろう富士通などと基本的なほぼ機能が同じなかで、どうやって自社サービスを差別化していくのか、という課題もあります。

この点について、NTTコミュニケーションズ 取締役 クラウドサービス部長 森林正彰氏は説明の中で以下の2つを強調しています。

1つは競合他社と共存しつつ、同社の本業とも言えるネットワークによる差別化です。

「お客様にとっては、あるアプリではAWSを使いたいとか、Azureをバックアップに使いたいとか、いろんな要望があると思うので、われわれがそれをおつなぎしますと」

専用線だけでなくSD-WANやインターネットVPNなどを活用し、オーバレイネットワークを構築していくと説明しています。

そして2点目はマネージドサービスです。

「オペレーションはとても大事で、しかも難しいと思っている。この部分。お客様にクラウドソリューションを提供するとともにマネージドサービスを提供して、お客様のインフラをマネージしていく、というのをわれわれの売りにしたい」

同社はこうした差別化を国内外のクラウドで提供していくとしています。

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