ネットワーク機器はサーバ上の仮想機器(アプライアンス)、ネットワークはファブリックベースになる。ガートナーの予想
データセンターはこの先どのように進化していくのか。調査会社ガートナージャパンが主催した「ガートナー ITインフラストラクチャ&データセンターサミット 2011」が都内で開催されています(4月27日から今日まで)。
仮想アプライアンスとデータセンターの自動化
米ガートナーリサーチ リサーチディレクターのロブ・マクミラン氏は、「サーバ、ストレージ、デスクトップ、アプリケーションなど、あらゆるものが仮想化されていく」としたうえで、さらに物理的な機器として存在してきたルータ、ファイアウォール、IPS(Intrusion Prevention System、不正侵入対策システム)などさまざまな装置も、サーバの仮想アプライアンスへと変わっていくだろうと説明しました。
いままでは、サーバ担当とネットワーク担当、セキュリティ担当はそれぞれの役割を持ち、サーバ管理者がサーバを設定したら、ネットワーク担当やセキュリティ担当がそのサーバの役割に応じてルータやファイアウォール、セキュリティ機器などの設定を行っていました。
しかしそれらがサーバ上の仮想アプライアンスとなった場合、すべての設定や構成は連係しなければならなくなります。しかも仮想マシンは物理サーバ上を移動できるため連係は非常に手間のかかる作業になります。「こうした連係を人間系でやろうとすると、手間や時間がかかるだけではなく、ビジネスが要求するスピードに対応できなくなる。すべては自動的に連係するべきだ」(マクミラン氏)。
こうしたすべてが仮想化されたデータセンターでは、ポリシーベースの設定により構成が自動的に行われるようなインフラが必要だとしています。
ツリー状からメッシュ状のネットワーク構成に
マクミラン氏が予測するデータセンターのもう1つの進化は、ファブリックベースのネットワークです。
いまデータセンター内のネットワークに使われているイーサネットは、基本的にツリー構造しかとることができません。ループ構造を許さないため、必然的にデータセンターは、一般に複数の大きなツリーをつなげたようなネットワーク構成で、事業部ごとなどに分かれたサイロ構造のようになっています。
しかしこれでは全社の最適化を行うために事業部を超えてさまざまな仮想サーバやデータを自由に配置するのに、いちいちツリーの頂点を経由することが多いなど柔軟性に乏しく不自由で効率もよくありません。
そこで新たな「Trill(Transparent Interconnection of Lots of Links)」と呼ばれる技術を使うなどでイーサネットをメッシュ状に構成することが多くのネットワークベンダのスイッチで可能になってきています。このメッシュ状のネットワークがファブリック(織物)ベースのネットワークです。
ファブリックベースのネットワークでは、トラフィックがさまざまな経路で柔軟に流れるようになるため、ネットワーク上のデータの移動がこれまでより非常に高効率かつ柔軟になります。
ガートナーでは2012年から2014年にかけて、こうした大きな変化がデータセンターに訪れるだろうと予想しています。その理由として、どの大手ベンダーもファブリックというコンセプトに取り組んでおり、かつ、シスコの参入によってほかのベンダが動かざるを得なくなっていること、また、ネットワークおよびストレージにおける可動性の増大傾向に対する支持が強まっていることなどを挙げています。
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