NANDフラッシュメモリは微細化の限界へ。Flash Memory Summit 2012のまとめ

2012年9月3日

ハードディスクと同じように、電源が切れてもデータを保持できるフラッシュメモリ。エンタープライズの領域での活用も始まり、圧倒的に高いアクセス性能や低発熱などの特性が、これまでのコンピューティングの常識を大きく変えようとしています。

Flash Memory Summit and Exhibition - August 21-23, 2012 - Santa Clara Convention Center

そのフラッシュメモリをテーマにした専門のイベント、Flasy Memory Summitが8月21日から3日間、米サンタクララで開催。その様子をいくつかの記事からまとめました。

NANDフラッシュメモリは微細化の限界が業界の共通認識

いま主流のNANDフラッシュメモリは、微細化がそろそろ限界に来ている。これが現在のフラッシュメモリ業界の共通理解であり、それをどう解決するか、その先にどのような選択肢があるのか、というのが基調講演のテーマとしてクローズアップされていました。

【PC Watch】 【Flash Memory Summit 2012】【半導体メモリ編】SK Hynixが展望する半導体メモリの未来

【PC Watch】 【Flash Memory Summit 2012】【半導体メモリ編】SK Hynixが展望する半導体メモリの未来

NANDフラッシュメモリの微細化はそろそろ限界に近づいていることが業界の共通認識としてあり、さらに密度を高めるためにメモリセルの三次元化が模索されていること、三次元化の先には新しい仕組みを持つ不揮発性メモリあると報告されています。

(注:昨年の記事を間違って参照していましたので修正しました)

【後藤弘茂のWeekly海外ニュース】 DRAMとNANDフラッシュが終わり、新不揮発性メモリの時代が来る

【後藤弘茂のWeekly海外ニュース】 DRAMとNANDフラッシュが終わり、新不揮発性メモリの時代が来る

これもFlash Memory Summitでの基調講演などを基に、現在のフラッシュメモリの技術的な概要と今後の展望を紹介した記事。

前述の記事と同様に、NANDフラッシュメモリにおける急激な微細化によって、メモリセルのゲートに蓄積される電子の数が減っていくため、そろそろ微細化は限界が近づいていることを説明。

NANDフラッシュの先にある新不揮発性メモリの候補としてSTT-RAM、PCRAM、ReRAMがあり、それぞれ特性は異なるものの、共通しているのはNANDフラッシュのような電荷を蓄える仕組みから、抵抗値を変える仕組みへの移行であることを紹介しています。

ハードディスクに比べて、フラッシュメモリの寿命を気にする利用者が多いのは事実でしょう。そうした利用者に不安に対処すべく、いかにフラッシュメモリの寿命を延ばすかについての議論も行われたようです。

Extending Memory Lifespan Attempts To Breath New Life Into TLC Viability - FMS Update - The SSD Review The SSD Review

Extending Memory Lifespan Attempts To Breath New Life Into TLC Viability - FMS Update - The SSD Review The SSD Review

The SSD Reviewの記事。Smart Storage Systemsは、一般に1セルで2ビットを記録するMLCよりも寿命が短いと言われる、1セルに3ビットを記録するTLC(Theree Level Cell)を改良したTLC-EE(Enhance Endurance)を紹介。マイクロンはeMLC(Enterprise MLC)は耐久性が向上しているが、寿命を延ばすのに重要なのはむしろコントローラにあると指摘。

NANDフラッシュ自体の書き換え寿命は微細化が進むほどに短くなっていきますが、そのチップ自体の寿命を延ばす技術と同時に、コントローラなどの周辺技術の進化によってさまざまな改良が施されていることが分かります。

イベントで注目された製品から、市場のいまを見る

製造技術の面では微細化の限界が近づくといわれる一方で、市場や製品のレベルではスマートフォンやSSDなどコンシューマでの製品展開による大量生産と価格低下がエンタープライズへと波及し、さらなる市場拡大が目前です。

このイベントで「Best of Show Awards」を受賞した製品を見ると、エンタープライズの分野でのフラッシュストレージ製品は、単にハードディスクドライブをフラッシュメモリで置き換えるだけではなく、フラッシュメモリの特性を活かしたさまざまな付加価値が模索されているのが分かります。

特にデータ圧縮技術が多く使われているのが目を引きます。高速なアクセス性能とデータ圧縮機能は相性がよいようで、多くの製品で、圧縮による性能低下を気にせずに容量が増やせることをアピールしています。

Nimbus Data Systems S-Class Flash Memory

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2.5TBから最大10TBのストレージ容量と10Gbpsイーサネット、あるいは40Gbpsのインフィニバンドを備えたフルフラッシュのSAN/NASストレージ。

PureStorage Flash Array

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5.5TBから最大22TBのストレージ容量で、デデュープなどの圧縮機能と組み合わせて100TB程度の実効容量を備えたフルフラッシュストレージ。圧縮後は容量当たりの単価がハードディスクより安いのがポイント。10Gbpsイーサネットあるいは8Gbpsのインフィニバンドで接続。

Skyera SKY 44

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12TBから最大44TBのフルフラッシュストレージ。圧縮機能で5倍程度の実効容量を提供する。

Micron Crucial m4 mSATA Solid State Drive

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Ultrabookのような小型のマシンに適したmSATA接続の内蔵用小型SSD。32GBから最大256GB。

DensBits Technologies Ltd. DB3610

TLC(Three bits level Cell)、MLC向けのフラッシュメモリコントローラー

Proximal Data AutoCache

PCIe接続フラッシュストーレジを用いて、VMwareなどの仮想環境のI/Oボトルネックを改善するためのキャッシュソフトウェア。

コンピュータのメモリのあり方が変わっていくか

NAND型フラッシュメモリのMLCチップをいちはやくエンタープライズ向に製品化したFusion-ioのCTO、ニール・カーソン(Neil Carson)氏は、フラッシュメモリがコンピュータのメモリのあり方を変えていく可能性を指摘しています

現時点で、ストレージはデータのアトミシティ(原子性)、一貫性、トランザクションといったことを実現してくれます。同じことが不揮発性メモリを使うことでアプリケーションから操作できるようになり、メモリをストレージのように扱えるようになると思います。これはアプリケーションプログラマにとって非常にエキサイティングなことだと思います。

これまでメモリに入れたデータはスイッチを切れば消えてしまうものでした。しかしフラッシュメモリ、あるいはその後継の不揮発性メモリが普及した暁には、こうした常識は過去のものになっているかもしれません。

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カテゴリ サーバ / ストレージ / ネットワーク
タグ  SSD , サーバ , ストレージ , フラッシュストレージ


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