Fusion-ioのCEOに直接聞いた、フラッシュドライブの破壊的な能力と仕組み、そして将来

2012年3月15日

Fusion-ioは、サーバ内蔵型のフラッシュストレージという新しい技術と市場をほぼ単独で切り拓いてきたベンダです。同社の製品であるPCIeカードに搭載された小さなフラッシュストレージは、ディスクドライブ何十台分、何百台分もの性能と容量を実現しており、サーバのI/O性能を劇的に引き上げます。

そのため、大規模データベースなどを運用している事業者から引き合いが非常に多く、昨年の秋頃はあるデータセンター関係者が「Fusion-ioが人気で取り合いになっている」とこぼしてましたし、あるソーシャルゲームプロバイダは、Fusion-ioはサービス提供に欠かせないと断言していました。

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そのFusion-ioの創業者でCEOのデイビット・フリン氏が、日本での新製品発表に合わせて来日。インタビューをする機会を得ました。

FacebookとAppleが大口顧客

──── Fusion-ioの製品は具体的にどのような使われ方をしているのでしょうか?

フリン氏 フラッシュストレージはサーバの能力を劇的に向上させます。例えばニコニコ動画を運営するドワンゴでは、動画のキャッシングサーバの台数を4分の1にしました。ミクシィは、数百台あったデータベースサーバを数十台近くまで、約10分の1に減らしました。ドリコムではクエリ処理が20倍高速になり、サーバ台数が4分の1に削減されました。

そのほかにも多くのお客様がいますが、特にFacebookとAppleは大口顧客で、実に売り上げの半分以上を占めています。

──── 主に対象となるアプリケーションなどはありますか? また、データベースの高速化以外の部分での利用用途はあるのでしょうか?

フリン氏 データベースだけでなく、サーチ、分析などデータ処理のプロセス全般で能力向上の効果があります。MongoDBやHadoopなどもFusion-ioでノードの処理能力が5倍から10倍程度大幅に向上します。

データベースの種類は市場シェアを反映しており、多くのWebサイトではMySQLが、エンタープライズのハイエンドではOracle、ミドルサイズではSQL Serverの利用が多いようです。

実は来週、ロンドンでマイクロソフトのSQL Server 2012のローンチイベントに出席し、基調講演でマイクロソフトの重役と一緒に登壇する予定です。マイクロソフトにとっては、私たちの製品とSQL Serverを一緒に使うことで、オラクルに対抗できうるということになるのでしょう。

安価なMLCを用いて高性能高信頼性を実現

──── Fusion-ioの高速性、信頼性はどのような仕組みで実現されているのでしょうか?

フリン氏 高速性については、インターフェイスをPCI Expressにしたことよりも、むしろ従来のディスクドライブで使われていたSATAやSAS、RAIDコントローラをなくしたことの方が大きい要素です。OS側でもディスクサブシステムを通らない点が、同じように重要です。ここではディスクのヘッドをコントロールするために遅延が発生してしまいますが、そういったものも不要にしています。

こうしたハードウェア、ソフトウェアのレイヤを取り去って、ダイレクトにナノセカンドのレベルでアクセスできるようにしました。複雑性を排除し、シンプルにすることを念頭に設計したことが、Fusion-ioのマジックだといえます。

──── しかしNANDチップそのものは、それほど高速でもないし、信頼性も高くありませんね?

フリン氏 Fusion-ioは創業当初からMLC(マルチレベルセル)型NANDチップを使っています。MLCはSLC(シングルレベルセル)と比べて信頼性が低く、実際に競合他社は最近までエンタープライズ向け製品にMLCを使うことはありませんでした。

しかしFusion-ioの製品では、カード上に多数実装されているNANDチップの1つを取り去っても動作し続けるように冗長性を持たせてあり、小さなストレージアレイのようになっています。1つのチップが壊れたとしても全体の動作には影響がなく、自己修復能力を備えています。

こうした仕組みが高信頼性と高性能を、より安価で信頼性が低いMLC型のNANDチップで実現しているのです。

──── それを独自のコントローラチップが実現していると。

フリン氏 そうです。私たちのビジネスの95%がMLC型のNANDチップで、昨年一年でおよそ50ペタバイトを出荷しており、十分な実績があります。

──── フラッシュストレージを用いてメモリに永続性を持たせるという「Auto Commit Memory」も発表されています

フリン氏 これによってアプリケーションがデータを保存するのに、OSを通さなくても、メモリにデータをコピーをするだけで書き込みができるようになるので、10億分の1秒という単位で非常に高速にデータを保存できるようになります。

これをソフトウェアデベロッパーが容易に使えるようなライブラリを提供する予定です。しかし、タイムスケールが大きく変わるのでデベロッパーはそうしたことを考慮していく必要がでてくるでしょう。

データを保存することがこれまでよりずっとシンプルになり、コードも小さくなり、動作も非常に高速になっていくでしょう。すでにNDAを結んだいくつかのソフトウェアベンダーと協力しています。

不揮発性メモリがサーバにとって重要なコンポーネントに

──── 最後に、フラッシュストレージ分野の将来性、可能性についてどう考えていらっしゃるか、教えてください。

フリン氏 iPhoneの中でもっともコストがかかっているのはNANDフラッシュです。なぜなら、ユーザー体験を向上させるコンポーネントとしてもっともコストを掛ける価値のあるものだからです。

同じように、サーバに内蔵したフラッシュストレージも、サーバの能力を拡張するという点で、コストを掛ける価値が大いにあるものです。どんな種類のアプリケーションであっても、フラッシュストレージは処理能力を向上させます。

ですから私の予測は、今後数年間で不揮発性メモリがサーバにとって最もコストをかけるべきコンポーネントになるだろう、ということです。

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タグ : SSD , サーバ , ストレージ



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