EPUB 3リーダーのリファレンス実装「Readium」、オープンソースで開始
EPUB 3フォーマットの電子書籍を読もうとしたら、電子書籍リーダーごとに表示できる機能も見かけもばらばら、といったことにならないように、EPUB 3対応電子書籍リーダーのリファレンス実装(=見本となる実装)をオープンソースで開発するプロジェクト「Readium」が公開されました。
日本からはACCESS、イースト、ボイジャー、楽天/KOBOなどが参加しており、海外のベンダではアドビ、グーグル、ソニー、サムスン、バーンズ&ノーブル、オライリーなどが参加しています(アマゾンの名前がありませんが、アマゾンが標準化団体やプロジェクトに参加しないのはいつものことです)。
EPUB 3はIDPF(International Digital Publishing Forum、国際電子出版フォーラム)が策定した電子書籍フォーマットの国際標準。ReadiumはIDPFのプロジェクトとは独立していますが、IDPFの後押しを受けています。
EPUB 3レンダリングのリファレンスシステムを作る
Readiumの目的を、Webサイトから引用しましょう。
The project’s primary focus is a reference system for rendering EPUB 3 publications. We also want to make it possible to embed Readium or components thereof in other applications that support the EPUB format. As a reference system, the user experience will optimize for use by developers testing EPUB 3 content, not for use by consumers.
このプロジェクトの主な焦点は、EPUB 3出版物のレンダリングについてのリファレンスシステムにある。また、EPUBフォーマットをサポートするアプリケーションのために、組み込み用Readium、あるいはコンポーネントも実現したい。リファレンスシステムとしては、一般消費者向けではなく、EPUB 3コンテンツをテストするデベロッパー向けにユーザー体験を最適化する。
ReadiumはWebkitをベースとして開発を進めていきますが、Webkit自体の開発へもフィードバックをしていきたいとのことです。
EPUB 3の普及促進へ
関係者によると、EPUB 2ではアドビシステムズのAdobe Reader Mobile SDKがEPUBリーダーの事実上のリファレンスとされてきましたが、EPUB 3対応が遅れているため、より早期にEPUB 3の普及を促進する目的でオープンソースでのリファレンス実装が始まったとのことです。
リファレンス実装には国内ベンダのACCESSも深く関与しており、縦書きなど同社の開発したソースコードのマージ作業が進んでいるそうです。
Readiumプロジェクトが成功すれば、どの電子書籍リーダーでも一貫した見かけが提供されます。コンテンツを作る側はチェックの手間を小さくできますし、読み手も快適な読書体験が得られることになります。