Open Container Initiativeによるコンテナランタイムとコンテナイメージの最初の標準化作業が完了、「OCI v1.0」発表

2017年7月20日

コンテナの標準仕様を策定するための団体「Open Container Initiative」は、コンテナに関する最初の標準仕様の策定を完了し、「OCI v1.0」として発表しました

OCI v1.0は、コンテナランタイムの標準仕様である「Runtime Specification v1.0」と、コンテナイメージフォーマットの標準仕様である「Format Specification v1.0」の2つから構成されます。

この標準仕様に対応することで、コンテナランタイムがポータブルになるとともに、コンテナイメージもポータブルであることが保証されるようになります。コンテナ型仮想化のエコシステムの発展にとって重要な基盤ができたといえるでしょう。

2015年にOpen Container Initiativeが創立

Open Container Initiativeは2015年6月に、Docker、CoreOS、Google、IBM、Red Hat、AWS、VMware、HP、EMC、Pivotal、マイクロソフト、The Linux Foundationなどが主要なメンバーとして創立された団体です。

当時はDockerがコンテナの事実上の標準であった一方で、CoreOSがそれとは異なるコンテナ仕様の標準化を進めようとしているなど、コンテナのエコシステムの将来像が不安視されつつありました。

そんな状況の下、6月に開催されたDockerのイベント「DockerCon 2015」において、DockerやCoreOSなどの企業を含むOpen Container Initiativeの発足とコンテナ標準化への取り組みが発表されたのです。

下記はOpen Container Initiative(発表時には「Open Container Project」と呼ばれていた)の発表後に、CoreOS共同創設者Alex Polvi氏が、Docker CEOのBen Golub氏と肩を組んだ写真をツイートしたもの。仲違いしていた両者が、これから一緒に標準仕様を策定していくことを示そうとしたのでしょう。

あれから2年が経過し、今回ようやくその標準化作業の最初のバージョンが完了したことになります。

下記は現時点でのOCIメンバーです。

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次の作業は実装に関する認証プログラム

Open Container Initiativeは、OCI v1.0の発表に続いて次の作業に取りかかっています。次に発表される予定なのはCertification Working Groupによる、「OCI Certification Program」で、コンテナ実装がOCI v1.0に対応していることを認証するためのツールやプログラムが登場すると説明されています。

この認証プログラムも、コンテナランタイムに対応した「OCI Certified Runtime」と、コンテナイメージに対応した「OCI Certified Image」で構成される見通しです。

認証プログラムにはOpen Container Initiativeのメンバーであるかどうかに関わらず、どの組織や個人も申し込むことができ、テストを受けて結果を受け取ります。

標準仕様に対応したことが認証された実装については、Open Container InitiativeのWebサイトなどで公表される予定です。

また、ランタイムやイメージ以外の標準仕様、例えばイメージに対する署名や配布など、標準仕様の分野を広げていくことも今後検討されていくことでしょう。

そしてコンテナの標準仕様が整備されていくことで、今後さまざまなコンテナ実装の登場やエコシステムの広がりが実現し、コンテナ関連の技術やビジネスがさらに発展していくことになると考えられます。

参考

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