Googleは「モバイルファーストからAIファーストへ」。その理由は、いずれデバイスという概念は消え去り、インテリジェントなアシスタントになるから

2016年5月2日

Googleは4月28日付で「This year’s Founders' Letter」(今年の創業者からの手紙)をオフィシャルブログで公開しました。

Official Google Blog: This year’s Founders' Letter

Googleは昨年8月に「Alphabet」とその傘下企業群という形に組織構造を変更したため、今年の手紙はGoogle CEOとなったSundar Pichai氏が本文を書いています。

この手紙ではGoogleの今後の方向性が明確に示されています。それは機械学習やAI(人工知能)への傾倒です。

Googleは創業当初からこの分野へ積極的に投資しリードしてきた存在ですが、今年の手紙の中でPichai氏は「We will move from mobile first to an AI first world.」(私たちはモバイルファーストからAIファーストの世界へ移るつもりだ)と、その変化を明確にしました。

その背景にある考え方はどのようなものでしょうか。手紙はいくつかの章に分かれているので、章ごとのサマリを紹介しましょう。

モバイルファーストからAIファーストへ

Knowledge for everyone: search and assistance

GoogleがAlphabetとその傘下企業へと組織形態が変わったことで、Googleのミッショッンは「すべての人に情報と知識を」と明確になったとしています。

そして現在の検索の大多数はモバイルデバイスからであり、音声による検索も増加中で、今後は写真の検索などのニーズも増えてくるだろうと指摘。

利用者のシチュエーションを理解し、検索をさらにスマートなアシスタントとして適切なタイミングで適切な方法で提供していく方向性を示しました。

The power of machine learning and artificial intelligence

Googleのさまざまなサービスの背後には長期的な機械学習やAIへの投資があり、最近のブレークスルーにより囲碁のチャンピオンにも勝利するようになったと。

そしてこの勝利は文字通りゲームチェインジングなものであり、より知的で私たちの日常生活を支援するサービスや、さらには気候変動やがん検診といった大きな課題へ取り組むための大きな一歩だとしています。

More great content, in more places

かつてインターネットのコンテンツはWebページが中心でしたが、モバイルへの転換とYouTubeやGoogle Playといったサービスの強化で、インターネットで動画や音楽、ゲームなどのコンテンツが楽しめるようになってきており、今後もその方向性で推進していくと。

Powerful computing platforms

コンピューティングは机の上にあるコンピュータからモバイルフォンへ、そしてタブレットなどへ広がり、さらに腕時計や自動車、バーチャルリアリティなどへ広がり続けているとした上で、AIファーストの時代へ移ると、次のように書いています。

Looking to the future, the next big step will be for the very concept of the “device” to fade away. Over time, the computer itself—whatever its form factor—will be an intelligent assistant helping you through your day. We will move from mobile first to an AI first world.

将来に目を向ければ、次の大きなステップはデバイスという概念が消えていくということだろう。いずれコンピュータ自身は(それがどのような形態だろうと)日々私たちを支援するインテリジェントアシスタントになっていく。私たちはモバイルファーストの世界からAIファーストの世界へ移っていくつもりだ。

Enterprise

クラウドはよりセキュアでコスト効果が高いものになり、最新のテクノロジーの利点をとりこみやすくなっており、さらに運用の自動化、機械学習、よりインテリジェントなオフィスの生産性ツールとなっていくと説明。

Googleは企業向けにGoogle Cloud Platform (GCP)、Google Apps、Chromebooksなど幅広くサービスを展開し、多くの顧客を獲得してきており、業務支援の分野には大きなビジネスチャンスがあると考えているとのこと。

今後さらに機械学習やAIでサポートされたサービスをさらに強化していくとしています。

Building for everyone

Googleはテクノロジーを誰にでも使えるようにと考えており、それは安価なモバイルデバイスや検索やVR(仮想現実)によって、ケニアに住む農夫が小麦の価格を検索したり、教室にいる子供たちがVRで教会のチャペルの中を見たりすることなどで実現しようとしていると。

そして最後は次の文で結ばれています。

For us, technology is not about the devices or the products we build. Those aren’t the end-goals. Technology is a democratizing force, empowering people through information. Google is an information company. It was when it was founded, and it is today. And it’s what people do with that information that amazes and inspires me every day.

私たちにとってテクノロジーは私たちが作った製品やデバイスというだけではありません。そこに終わりはありません。テクノロジーは民主化の力であり、情報を通じて人々を支えています。Googleはインフォメージョンカンパニーであり、それは創業のときからいままでずっとです。そして人々が情報に接することで起きることに、私は日々驚かされ、触発されています。

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Junichi Niino(jniino)
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