グーグル、「データはグーグルのクラウドに保存する方が、PCに保存しておくより安全」

2011年3月16日

グーグルのエンタープライズ部門のトップDave Girouard氏がフォーチュン誌のインタビューに登場し、次のように答えています。

Google enterprise chief: Data is safer on our cloud than your PC - Fortune Tech

Fortune: What's Google doing to address concerns about storing data in the cloud?

フォーチュン:クラウドにデータを保存することの懸念を、グーグルはどのように解決しようとしているのでしょう?

Girouard: Our belief is that your data is safer inside Google than it is inside your own computers.

Girouard氏:データはグーグルのクラウドに保存する方が、ご自身のコンピュータに保存するよりも安全だ、というの私たちの信念です。

グーグルだけでなくあらゆるクラウドベンダにとって、クラウドにデータを保存することに対する企業の懸念をいかに払拭するかは最大の課題です。グーグルはクラウドの方が安全だと主張することで懸念を解消しようとしていますが、それはなぜなのか? 続きを見てみましょう。

A simple example is we now have for every Google Apps user what's called two-factor authentication. That means in case someone gets your password you can actually block that by requiring a special code you get off your mobile device to access your account.

単純な例として、私たちはすべてのGoogle Appsユーザーのために「2段階認証」(two-factor authentication)を提供しています。これは誰かがあなたのパスワードを盗んだとしても、あなたのモバイルデバイスから取得できる確認コードによって侵入をブロックすることができる、というものです。

グーグルの企業向けクラウド戦略の軸はGoogle Apps

グーグルのクラウド戦略がほかのクラウドベンダと明確に違う点が、これらの発言から読み取れます。グーグル以外のほとんどすべてのクラウドベンダ、AmazonクラウドもマイクロソフトもVMwareもセールスフォース・ドットコムもIBMもヒューレット・パッカードも、企業のサーバをターゲットにし、データセンターのクラウドへの移行を狙っています。

ところがグーグルが企業向けのクラウド戦略で注力しているのはGoogle Appe Engineではなく、明らかにGoogle Appsです(Google App Engine for Businessはまだ十分なサービスが揃っていません)。メールクライアントやオフィスアプリケーションなどをWebベースのものに置き換えることで、自動的にその背後にあるメールサーバ、業務関連データの保存先をクラウドにしてしまう、という戦略です。

しかしそれはOffice市場の巨人、マイクロソフトと正面からぶつかることを意味します。グーグルはどう戦うつもりなのでしょうか? Fortune誌はその点も訊ねています。

What do you see as the advantages of Google's cloud-based services versus Microsoft's?

グーグルのクラウドベースのサービスは、マイクロソフトに対してどのようなアドバンテージを持つとお考えですか?

We have the advantage of being born of the cloud. We are a 100% web company. We're not trying to retrofit anything of the past. Microsoft is a great company but their applications were built in the world of a single PC and a single user. What that amounts to is we can go faster.

私たちのアドバンテージは、生まれながらのクラウド企業であるということです。100%ウェブカンパニーであり、過去にとらわれることがありません。マイクロソフトは素晴らしい企業ですが、彼らのアプリケーションはPC上のシングルユーザーの世界で開発されたものです。

We are pure web. We only have one email system. We only have one code base and it allows us to be more nimble. We are putting features out to our customers that were only conceived of a few months ago or maybe even a few weeks ago. So we don't have a to wait for the next big bang upgrade.

私たちが提供しているメールシステムは1種類しかありません。それは1つのコードベースであり、より迅速に展開可能です。数カ月前、数週間前に実現した新機能をすぐに顧客に提供できるのです。次の大きなアップグレードを待つ必要がありません。

アプリケーションのルールそのものを変えようとしているグーグル

グーグルはマイクロソフトに対してGoogle Apps対Microsoft Officeという局地戦をしかけるだけでなく、戦場そのものを変えようとしています。具体的には、あらゆるアプリケーションをWeb化することで、アプリケーション市場のルールを根底から変えようとしているのです。これにより自社に有利な状況を作り出そうとしています。

グーグルはそのためにHTML5を推進し、Webの高速化を率先して行い、Chromeのような高速なブラウザの開発によってWebの進化を速めてきました。

これに対し、Internet ExplorerによってWebブラウザの大きなシェアを持つマイクロソフトは、主要WebブラウザベンダのなかでHTML5への対応を最後まで明確にしてきませんでしたが、2009年11月にInternet Explorer 9の発表とともにHTML5への対応を発表し、いまでは積極的にHTML5に準拠することを明らかにしています。しかしマイクロソフトはS+S(ソフトウェア+サービス)戦略も掲げており、サービスのクライアントにネイティブアプリケーションを位置づけることで、Webアプリケーション化を押しとどめようともしています。

いまのところグーグルは、PCのアプリケーションだけでなくモバイルデバイス用アプリケーションも含め、あらゆるアプリケーションをWeb標準で構築するという大きな流れを作り出すことに成功しています(もちろんグーグル単独で仕掛けた流れではありませんが)。果たしてグーグルはこの流れに乗って企業向けのクラウド戦略で成功できるのかどうか、企業向け市場が変わるのは時間がかかるため、結果が出るまでにはまだ数年かかるはずです。

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タグ : Google , HTML5 , Microsoft , Office , Web標準



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