米オバマ政権、すべてのネットサービスやクラウドに盗聴機能を義務づける法案を準備中

2010年9月29日

米オバマ政権が、FacebookやTwitterなどのソーシャルネットやSkypeなどのピア・ツー・ピア通信を含むすべてのインターネットサービスに対して、司法当局による通信傍受を可能にする技術の導入を義務づける法案を準備中だと、米国のメディアで一斉に報じられています。

ニューヨークタイムズによる報道を引用しましょう。

officials want Congress to require all services that enable communications — including encrypted e-mail transmitters like BlackBerry, social networking Web sites like Facebook and software that allows direct “peer to peer” messaging like Skype — to be technically capable of complying if served with a wiretap order.

政府関係者はアメリカ連邦議会が、BalckBerryのような暗号化された電子メールやFacebookのようなソーシャルネットワーキング、Skypeのようなピア・ツー・ピアを含むコミュニケーションを実現するすべてのサービスに対して、盗聴の指令に対して技術的に対応可能とするよう要求することを求めている。

この新たな法案は、インターネットの盗聴がこれまでの電話の盗聴のように簡単にはいかなくなったことで、テロなどの脅威が増していることに対応するために政府が用意しているもの、と伝えられています。

米国にはすでに1994年に成立した犯罪やテロの捜査のために通信を盗聴する現行法「Communications Assistance to Law Enforcement Act」がありますが、今回の法案はそこではカバーされていないソーシャルメディアなどあらゆるサービスを対象に、暗号解読も含むものにする意図があるようです。

報道の中でクラウドという言葉は使われていませんが、法案の主旨からしてクラウドによる企業向けのサービスも含まれることは間違いありません。

日本の企業にとっても無視できない動向

当然ながらこの法案に対して、「インターネットサービスの進化を電話の時代に逆戻りさせるものだ」(Center for Democracy and Technology, James X. Dempsey氏、ニューヨークタイムズ紙)。「この法案はすさまじく反プライバシーで、反セキュリティで、反イノベーションだ」(Electronic Frontier Foundation, Kevin Bankston氏、ワシントンポスト紙)などの強い反論が寄せられています。これから米国で議論を巻き起こすことになりそうです。

日本の個人や企業も米国のインターネットサービスへの依存度は低くありません。もしこの法案が可決されれば、米国内にあるインターネットサービスやクラウドを利用する場合には、それがいつでも米国政府機関によって盗聴されることを考慮しなくてはならなくなります。

これは個人による利用ではそれほど気にならいかもしれませんが、日本の政府機関、公共団体、政府や公共関連の仕事を受注する可能性のある大企業やその関連企業にとって、これをリスクとして考えるのかどうかという議論を含め、無視できない動向といえます。

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タグ : セキュリティ



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