パネルディスカッション:クラウド時代の情シスのあり方[後編]。Developers Summit 2014

2014年2月24日

東急ハンズの情報システム部門の責任者である長谷川秀樹氏と、数年前まで協和発酵キリンの情報システム部門の責任者だった現アイ・ティ・イノベーションの中山嘉之氏を中心に、クラウド時代の情報システム部門とはどうあるべきか、というパネルディスカッションが2月13日、14日に行われたDevelopers Summit 2014で行われました。モデレータはアトラクタの原田騎郎氏。

(本記事は「パネルディスカッション:クラウド時代の情シスのあり方[前編]。Developers Summit 2014」の続きです)

後編では、会場から質問者が登壇し、情報システム部門の悩みについて相談しています。

fig 画面左から、原田騎郎氏、中山嘉之氏、質問のために会場からステージに上がった楽天 川口恭伸氏、長谷川秀樹氏

現場からの仕事で圧迫されてしまう心配はないのか?

原田 会場から手が上がりましたので、ステージに上がってもらって質問してもらいましょう。

会場から(川口氏) 情シスのマネージャの中には、忙しすぎて現場に行けないと思っている人もいます。パソコンが分かる、システムが分かる人が社内の現場に行くと、そこで要望がどんどん現場から寄せられて仕事が増えてしまう、現場から圧迫されるんじゃないか、という疑問とか不安があると思うんです。

営業や会計の現場に行くべきというときに、この人たちをどう説得すればいいでしょう。

長谷川 僕は基本的にはうちのスタッフに仕事をはぎってこいと言ってます。特に、部署と部署の間のグレーな部分の仕事があったら持ってこいと。仕事を取ってきすぎると理論上はオーバーフローになるけど、実際にはたぶんいままで無駄やったことをやめて時間内にやっていけるようになると、僕はそう思ってます。

川口 長谷川さんの部下には、そう思わないマネージャもいると思うのですが、そういう考えは部下に感染しているのでしょうか?

長谷川 感染している人もいるし、長谷川はうるさいなあと思っている人も思いますが、40人くらいの部署なのでわーわーやってる感じですね。

中山 現場へ行くとパソコンの修理やお守りの仕事の依頼がどんどん来てしまって、本来のビジネス企画ができない、これってあるんですよね。もちろん、IT部門としてそれは最低限やる必要がある、けど、たくさんもらってくるなと。

それとは別に、半年後、来年に何を作ろうかというユーザー部門とのフリーディスカッションみたいなのをあえて設けて、明日の話とかいまのトラブルの話ではなくて、ちょっと先の話をしましょうと、そこには部門長もちゃんと出てくれと。

それを年に2回、10日くらい続けてやって、本当にやりたいことは何なのかについて話す。それとパソコンの現場対応や修理の話とは分けて考えましょう、というのをやりました。

作った社内システムをどうしたら使ってもらえるの?

会場から(野口氏、ステージに上がって) 作ったシステムをユーザーさんにどうやって使ってもらえばいいのでしょうか。うちはユーザーさんが売り場にいるので、バックヤードになかなか来てくれないとか、ITスキルがないとかで使ってもらえなかったりします。いいものを作ったら使ってくれる、というわけでもないですし。

長谷川 うちはエンジニアの9割が店舗出身なので、だいたいユーザーが何を考えているのが分かるのと、あと情シスがユーザー部門に提案して作る、というのがうちの場合にはゼロで、なんでかというとそれ以上にユーザー部門から『あれがいい、これがいい』というバックログがわんさか来るので、自分たちが『これがいい』と思い込んでやるという時間がない。

それはエンジニアがほとんど店舗出身者で仲間なので、仲間には言いやすいじゃないですか。これ使いにくいんでなんとかしてくれよとか、それでいろんなリクエストで作ってくれって言われて作っているので、広めていく活動はしたことないですね。いいサイクルで回っている気がします。

使ってくれって言って回ったのはGoogle Appsくらいですね。

中山 今の問題っていちばん深い問題だと思っていて、作るところまでは一生懸命やるけれど、そのあとのフォローってなかなか難しい問題ですよね。場合によっては作り上げるものと止めるものも含めて、システムの新陳代謝という問題もあって、そこもよくモニターするとかコミュニケーションしなくてはいけないですね。

長谷川 うちも現場から電話がかかってきて、これ分からないから教えて、というのに対応するんですが、それは情シス全体の2~3割になるようにコントロールしてます。みんな人がいいから小さな依頼をどんどん受けてしまうと、大きな改革が進まない。やることはたくさんあって、ほっとくとみんなそれをやってあげて、やってもらえた人はうれしいみたいな小さな幸せがあるけれど、残りの社員はどうなるんだ、というのがあるのでそこはコントロールしていて。長谷川は冷たい奴だなあと思われているみたいですし、そこは難しいですね。

中山 フィールドオペレーションも社員じゃないところへアウトソースしたことを思い出しました。そうしないと社員がやるべきことに手を付けられないと思い、一部を外へ出しました。

原田 私も経験があって、ユーザーから割り込みがあるとサボるのにちょうどいい言い訳になって、それでどんどん本業が遅れてしまう。それをどうガードするかは設計しないといけない、というふうに思います。

もうそろそろ時間になりますので、最後にお二方にコメントをいただきたいと思います。

長谷川 例えば情シスの10%とか5%でもいいけど、ベンダに丸投げするのではなく、自分でグリップして自分たちで完結するように、それくらいの人員を開発にしてみるのはどうでしょうと。全部そうするといまの仕事はどうなるねんというのがあるので。で、うまくいったら調子に乗ってもっと増やすのはどうかと思います。

中山 情シスは、私はやはり誇りを持ってやれる仕事だと思っていて、社内の中で重要なセクションであることは間違いないので、誇りを持ってやってもらいたい。そのためには中身が分からなくてはいけない。長谷川さんが言うように作るのは大事ですが、大きなシステムなので全部はできないにしてもRFPを書くのをやってみるとか。そのときに何がしたいかだけのWHATだけではなく、どうやるかというHOWも書いてRFPにする。そういうことを最後に言いたいと思います。

原田 私は普段、スクラムチームに「タイムボックスを絶対守れ」と言っている関係上、スケジュールに遅れるわけにはいきません。あと30秒ありますので、ここでパネルを終わりにしたいと思います。ありがとうございました。

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