ザッカーバーグ氏の「HTML5に賭けたのは失敗」発言には続きがある。長期的にはHTML5への期待も語る

2012年9月14日

Facebook CEOのマーク・ザッカーバーグ氏が、米TechCrunchのイベント「Disrupt」のステージで「HTML5に賭けたのは失敗」と発言し、話題になっています。

FacebookのザッカーバーグCEO、「HTML5に賭けたのは失敗」 Androidアプリも間もなくネイティブに - ITmedia ニュース

これまでFacebookはiOS向けのアプリをHTML5ベースで開発していましたが、起動が遅い、反応が重いなど不評でした。そこで方針を転換。8月にリリースされた新バージョンは性能を重視してネイティブアプリケーションとして開発されました。

ザッカーバーグ氏はこの、HTML5で開発するという方針を指して「HTML5に賭けたのは失敗」と発言したわけです。

ザッカーバーグ氏の発言のここだけを見れば、FacebookはこれからHTML5を捨ててネイティブアプリへ注力するように受け取れます。しかしザッカーバーグ氏のこの発言には続きがあります。そこまで聞くことで、本当は何を言いたかったのかがはっきりしてきます。

彼の発言を、TechCrunchで公開されているビデオから追ってみましょう(ビデオはこの記事末に埋め込みました。英文はTobie Langel氏のブログに掲載されていた文言を、ビデオで確かにそう発言していることを確認した上で転載させていただきました)。

ザッカーバーグ氏の発言

株価が低迷しているという話題に続き、10分54秒付近から問題の発言が始まります。

When I’m introspective about the last few years I think the biggest mistake that we made, as a company, is betting too much on HTML5 as opposed to native… because it just wasn’t there.

過去数年を振り返って反省するとき、企業としての最大の間違いだったのは、ネイティブの反対としてHTML5に大きく賭けすぎたことだ。なぜなら、単にその時期ではなかった。

これが問題の発言部分。ザッカーバーグ氏はHTML5へ賭けたのが失敗だった理由として、「because it just wasn’t there.」(なぜなら、単にそこにそれがなかった)と言っています。「なぜなら単にその時期ではなかった。」と意訳してみました。

ザッカーバーグ氏は続いて、HTML5が悪いのではない、HTML5にはエキサイトしていると発言します。

And it’s not that HTML5 is bad. I’m actually, on long-term, really excited about it.

それはHTML5が悪いのではない。私は実際のところ、長期的に考えて、本当にわくわくしている。

One of the things that’s interesting is we actually have more people on a daily basis using mobile Web Facebook than we have using our iOS or Android apps combined. So mobile Web is a big thing for us.

1つ興味深いことは、日々の利用者ではより多くの人がモバイルWeb経由でFacebookを、iOSとAndroidアプリを足したユーザー数以上に利用している。つまり、モバイルWebは私たちにとって大事なのだ。

iOSやAndroidのアプリよりも、モバイルのWebブラウザ経由でくるユーザーの方が多いので、Webは引き続き重要なんだよ、ということを言っています。

まとめると、ザッカーバーグ氏の発言は、戦略ミスを認めた上で、引き続きHTML5が重要であることも補足しています。

FacebookがふたたびHTML5にチャレンジする日がくる

現状でネイティブアプリケーションに比べてHTML5ベースのアプリケーションに動作速度の課題があることは明らかです(WebViewの遅さが足を引っ張っています)。そこを分かって「HTML5はまだ時期尚早だった」「速度面での課題を読み違えたか」など、発言の背景をちゃんと分析されてザッカーバーグ氏の発言を受け止めた方々は多く見られましたが、一方で、Facebookはアップルに屈してネイティブアプリを選んだ、やっぱりこれからはHTML5よりネイティブアプリなのか、といったやや的外れに思える反応も見受けられました。

いずれにせよ、Facebookが悩み苦しんだ「ネイティブか?、HTML5か? どっち?」は、いま多くの開発者が悩んでいることでもあるでしょう。HTML5には期待できるが、特にレスポンス重視のアプリでは時期尚早というFacebookが出した答えは、まさにいまの現実だと思います。

ザッカーバーグ氏は、ネイティブアプリよりもユーザーが多いというWebブラウザ経由のユーザーが重要であることを指摘しています。また、HTML5ベースのアプリケーションの動作速度が改善されていくことも十分予想されます。いずれ再び、同社がHTML5で新しいことにチャレンジするタイミングはやってくるはずです。


このエントリーをはてなブックマークに追加
follow us in feedly

タグ : Facebook , HTML5 , モバイル



≫次の記事
WebIntentsとSocket APIでブラウザから家電が操作できる。HTML5 Conference 2012
≪前の記事
モバイル専用クラウドの「Parse」、サーバサイドJavaScriptを実現。BaaSが大きく前進

Loading...

Blogger in Chief

photo of jniino Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。新しいオンラインメディアの可能性を追求しています。
詳しいプロフィール


Publickeyの新着情報をチェックしませんか?
Twitterで : @Publickey
Facebookで : Publickeyのページ
RSSリーダーで : Feed



Publickey 最新記事 10本

Publickey Topics 最新記事 10本


PR - Books


fig

fig

fig

fig



blog comments powered by Disqus