クラウド事業者のためのオープンソースプロジェクト「OpenStack」

2010年7月20日

クラウドのプラットフォームとなる、スケーラブルな計算システムと分散オブジェクトストアなどのソフトウェアをオープンソースとして開発しようという「OpenStack」がスタートしました。

OpenStack Open Source Cloud Computing Software

OpenStackの中心となったのは、クラウド事業者のRackspace HostingとNASA(アメリカ航空宇宙局)。そのほか、デル、シトリックス、NTTデータ、インテル、AMD、RightScaleなど多くの企業が参加を表明しています。

OpenStackのWikiには、ミッションが次のように記されています。

to produce the ubiquitous Open Source Cloud Computing platform that will meet the needs of public and private cloud providers regardless of size, by being simple to implement and massively scalable.

シンプルな実装と大規模なスケーラビリティによって、どんなサイズのパブリッククラウド、プライベートクラウドのニーズにも合致した、オープンソースのクラウドコンピューティングプラットフォームを作り出すこと。

OpenStackによるソフトウェアはすべてがApache License 2.0で提供される予定で、「There will be no "Enterprise Edition".」と、高機能版のエンタープライズエディションといったものはない、とのこと。

RackSpaceのCSO Lew Moorman氏は、OpenStackによってクラウドの標準化とベンダロックインの排除、そしてイノベーションの加速を促進したい、とコメントしています。

OpenStackを構成するComputeとStorage、2つのプロジェクト

OpenStackでは、現在2つのプロジェクトが始まっています。「OpenStack Compute」と「OpenStack Object Storage」です。

OpenStack Computeは、NASAが開発し利用しているクラウドのNebulaをベースにしたもの。大規模なインスタンスの展開を可能にするIaaSの機能を備えています。内部でAMQP(Advanced Message Queuing Protocol)と呼ばれるメッセージング機構を利用し、インメモリデータベースのRedisも用いると説明されていることから、インスタンス間の連係によるスケーラビリティの実現も目論んでいると推測されます。

OpenStack Computeは10月中旬に最初のリリースが登場予定。

OpenStack Object Storageは、RackSpaceが商業サービスとして提供している「Cloud Files」のコードをRackSpaceがオープンソースとして提供したもの。

Cloud Filesはクラウド用に冗長構成された容量無制限のストレージで、1ファイルあたり最大5GBまでのファイルを保存可能。SSL経由で保存できるプライベートコンテナや、保存したファイルに自動的にURLが割り振られてネット経由で参照できるようになるパブリックコンテナ機能などがあります。AmazonクラウドのSimple Storage Service(S3)に似たサービスのようです。

OpenStack Object Storageのコードは現在デベロッパープレビューとして公開されており、9月中旬に最初のコードがリリースされる予定となっています。

Eucalyptusと何が違うのか?

OpenStackは、オープンソースのクラウド構築用ソフトウェアとして知られる「Eucalyptus」とどこが違うのでしょうか?

OpenStackのWebサイトでは、次のように説明されています。

If there are other open source cloud projects, why start a new one?

ほかにオープンソースのクラウドプロジェクトがあるとしたら、なぜ新しいプロジェクトを立ち上げるのですか?

We've been eagerly watching these projects emerge, but unfortunately weve found most of them incapable of dealing with the tremendous scale we require.

私たちは熱心にそれらをウォッチしてきましたが、残念なことに私たち(RackSpaceやNASA)が望むような大規模なスケーラビリティを扱えるものはありませんでした。

しかしNASAのNebulaクラウドは例外的に大規模なスケーラビリティに対応しており、NASAとRackSpaceが抱えている大規模なクラウドを管理運営するという悩みに合致したことから、この新しいプロジェクトを始めたのだと説明されています。

また、OpenStack Computeのところで触れたように、OpenStackのクラウドはIaaSを超え、インスタンスが連係してスケーラビリティを実現するPaaS的な機能を備えることが推測されます(NASAのNebulaはPaaS的なもののようですし)。そうした面もEucalyptusとは異なる側面になるかもしれません。

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タグ : オープンソース , クラウド



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