遅延しているJava EEの前進を訴える「Java EE Guardians」、日本Javaユーザグループが支援を発表

2016年6月16日

Java EE Guardians」と呼ばれる活動が5月末頃からJavaコミュニティで始まり、注目されています。

Java EE Guradiansは次世代に向けたJava EEの仕様策定の動きが鈍くなっていることを懸念し、Java EEの前進を促進するため、Oracleを含むJavaコミュニティの人たちに対してこの問題について関心を持ってもらおうと呼びかけています。

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Webサイトでの宣言は次のようなものです。

We are a group of people interested in moving Java EE forward. We are very concerned about Oracle’s current lack of commitment to Java EE and we are doing everything we can to preserve the interests of the Java EE community. Our purpose is advocacy, raising awareness, finding solutions, collaboration and mutual support. We believe that together – including Oracle – we can prove that this is the dawn of a new era for an ever brighter future for Java, Java EE and server-side computing.

私たちはJava EEを前進させようという関心を持つ人たちの集まりです。私たちはいま、Oracleが現時点でJava EEに対するコミットメントを欠いているのではないかという大きな懸念を持っています。そこでJava EEコミュニティによる関心を集めるため、できうる限りのことをしようとしています。

私たちの目的は、提唱であり、興味を引き起こすことであり、解決策を見つけることであり、コラボレーションと相互支援です。私たち- そこにはOracleも含みます - は互いに、これがJavaやJava EEやサーバー再度コンピューティングにとって明るい未来への黎明期であることを証明できると信じています。

日本Javaユーザグループも支援を発表

多くのJavaコミュニティや企業、James Gosling氏などの著名人がこの活動への賛同を示すなかで、日本Javaユーザグループ)(JJUG)も、6月14日にこのJava Guardiansへの支援を発表しました

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ポストされた記事「Java EE Guardiansへの支援表明と活動紹介」では、次のように説明されています。

ご存知の通り、Javaに関する仕様策定はJCP(Java Community Process)を通じて行われています。Javaのサーバサイド仕様であるJava EEは、現在、Java EE 8の仕様策定に向けて議論が行われています。しかし、Java EE 8の仕様策定は遅延を始めており、そこで中心的な役割を果たすべきOracleの活動量が落ちている状態です。

JJUGで注目しているMVC 1.0においても、仕様策定を推進するスペックリードであるOracle社の人物がメーリングリストへ返信していない状態が続いています。同様な状況が他の仕様においてもうかがえます。

Java EE Guardiansは、こうした状況を懸念して結成され、James Gosling氏をはじめとした多くの人々やユーザーグループが活動への支援を表明しています。

この記事とともにJJUGのWebサイトが紹介している、多田真敏氏によるスライドには、Java EE Guardiansをどう支援できるか、その方法が次のように紹介されています。このスライドにJava EE Guardiansのより詳しい解説が載っています。


日本マイクロソフトでJavaのエバンジェリストをしている寺田佳央氏も自身のブログに「Java EE Guardians への参加について」という記事をポストし、「本メッセージは私の所属する会社・組織・団体、もしくは過去の所属企業といった物とは関係なく、Javaの将来を危惧する、Javaを好きなエンジニアからのメッセージとしてお捉えください。」と断った上で次のように書いています。

本件に対する我々のメッセージを、日本オラクル経由でオラクル本社に届けるためには、2つ方法があるのではないかと思っています。一つはコミュニティが声をあげ、それまとめる。そして、もう一つはオラクルのお客様が日本オラクルに対してメッセージを届けるということかと思います。

Java EE Guardiansの活動は、OracleにJavaコミュニティの意見をしっかりと伝える役割を果たすだけでなく、今後のJavaに関わる意思決定にも前向きな影響を与えることが期待されます。

そしてJava EEの進化が軌道に乗れば、それは今後のJavaだけでなく、Java EEと市場で連携あるいは競合する多くのソフトウェアにもよい影響を与えることでしょう。Oracleが今後どのように反応するのか、注目したいと思います。

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