時代はRESTへ。SOAPの終わりを象徴する、Webサービス標準化団体のWS-Iが活動終了

2010年11月18日

SOAP、WSDL、UDDIなどを基盤とするWebサービスの標準化を行ってきた団体WS-I(Web Services Interoperability Organization)が、2002年からの約8年間の活動に幕を下ろしたことを正式に発表しました(参考:WS-I Completes Web Services Interoperability Standards Work(pdf))。

WS-Iは、WS-*と総称されるWebサービスのさまざまなプロトコル策定に取り組んできましたが、複雑すぎるといった評判がつきまとい、また策定そのものにも予想以上の時間がかかったことなどで、当初の想定ほど普及に至りませんでした。

そのSOAPに代わり、ここ数年サービス間をつなぐAPIとして存在感が高まっているのがREST(Representational State Transfer)と呼ばれるアーキテクチャスタイルです。

圧倒的な成長を見せるREST

ProgrammableWebのJohn Musser氏が、公開されている2000以上のAPIを調査したところ、この2年間でRESTベースのAPIが急速に充実しているという資料を公開しています

fig

さらに、最近登場したAPIの約45%はデータのやりとりにJSONを用いているとのことで、RESTベースのAPIでデータはJSON形式というのが急速に普及しはじめています(ただし、公開されているAPIの多くがコンシューマ向けサービスという点を割り引かなければなりませんが)。

WS-Iの活動が終了したとしてもSOAPやWS-*は多くの製品に組み込まれていますので、突然それらが使われるなくなる、ということはないでしょうし、エンタープライズITの分野では引き続きSOAPとWSDLの組み合わせが適切なケースも存在し続けるでしょう。

SOAPとWebサービスの登場は、疎結合やSOAといったいま主流となっているシステム間連係のあり方が広く知られることになる重要なできごとでした。しかしWS-Iの活動終了は、SOAPやWS-*が、SOAの主役である時代の終わりを象徴するかのようです。

なぜWS-*が成功できず、RESTが成功しているのでしょうか。それはWebのアーキテクチャにとってRESTがより自然なものであり、WS-*はそうでなかった、という見方が一般的です。Webがすべてを飲み込んでいく。WS-*もそれに逆らえませんでした。

関連記事

Tags: Web技術 Web標準

このエントリーをはてなブックマークに追加
ツイート
follow us in feedly





タグクラウド

クラウド / AWS / Azure / Google Cloud
コンテナ / Docker / Kubernetes
クラウドネイティブ / サーバレス
クラウド障害 / 運用・監視

プログラミング言語 / 開発ツール
JavaScript / Java / .NET / WebAssembly
HTML/CSS / Web標準

アジャイル開発 / スクラム / DevOps / CI/CD
ソフトウェアテスト・品質
ローコード/ノーコード開発

データベース / RDB / NoSQL / 機械学習・AI
Oracle Database / MySQL / PostgreSQL
Office / 業務アプリケーション

ネットワーク / HTTP / QUIC / セキュリティ
OS / Windows / Linux / VMware
ハードウェア / サーバ / ストレージ

業界動向 / 働き方 / 給与・年収
編集後記 / 殿堂入り / おもしろ

全てのタグを見る

Blogger in Chief

photo of jniino

Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。2009年にPublickeyを開始しました。
詳しいプロフィール

Publickeyの新着情報をチェックしませんか?
Twitterで : @Publickey
Facebookで : Publickeyのページ
RSSリーダーで : Feed

最新記事10本