IBMとソニー、磁気テープのカートリッジひとつで330テラバイトに相当する記録密度の技術を実現。今後10年間にわたって磁気テープが進化する可能性を示すと

2017年8月3日

「少なくとも今後10年にわたって、カートリッジあたりの容量を2年ごとに倍増させる可能性が示せた」(IBM Research Mark Lantz博士)。

IBMは、ソニーストレージメディアソリューションズ株式会社が開発したスパッタリング磁気テープの試作品を用いて、磁気テープの記録密度の新記録となる1インチあたり201ギガビットを達成したことを発表しました(IBMの発表ソニーの発表)。

この記録密度は、磁気テープのカートリッジひとつで330テラバイトの情報が非圧縮の状態で保存できることに相当します(つまり3倍ちょっと圧縮すれば、カートリッジひとつ分の論理容量が1ペタバイトになるということです)。

磁気テープの新技術を開発 1カートリッジで330TB相当のデータ密度を実現。今後10年、磁気テープが進化する可能性を示せたと、IBM Research Mark Lantz博士

記事の冒頭にあるように、IBMの研究チームはこの新技術によって今後10年にわたって磁気テープの容量拡大の可能性が示せたとしています。

今回用いられたおもな新技術として、ソニーはテープ表面と磁気ヘッドの間に塗布する潤滑剤を新たに開発。この潤滑剤は、テープ表面と磁気ヘッドの走行摩擦を抑える低摩擦特性と高耐久性という二つの特性を実現。

また、磁性膜の結晶配向の乱れや大きさのばらつきが生じないように、不純物ガスの発生を抑える新たなプロセス技術を開発。1000メートルを超えるテープ長が必要なテープストレージカートリッジ製造の基礎となるプロセス技術を確立したとしています。

一方のIBMは、ノイズ予測検出原理に基づいた信号処理アルゴリズムや、7nm以上の精度でヘッドの位置決めができるサーボ制御技術、新しい低摩擦テープヘッドテクノロジーなどを用いたと説明しています。

磁気テープ技術の進化

磁気テープは過去60年にわたって使い続けられてきたストレージの一種で、大容量のデータを低コストで長期保存することに向いています。例えば、海底油田の調査のために何週間も海上で活動し続ける探査船では、センサーから出力される膨大な海底のデータの記録と過去何十年分ものデータの保管のために磁気テープが用いられるなどの事例があります。

今後データの重要性がより高まり、クラウドなどの分野でさらに大量のデータが保存されるようになることは確実です。そうしたデータのアーカイブに適した磁気テープは、今後も使われていくことになると見られます。


このエントリーをはてなブックマークに追加
follow us in feedly

タグ : IBM , Sony , ストレージ



≫次の記事
IBM Cloudのベアメタルサーバ、インテルのデータセンター向け「Optane SSD」を利用可能に。3D XPoint採用のSSD
≪前の記事
Mozillaが「Firefox Send」をテスト公開。ブラウザから最大1GBのファイルをアップロード、一度のダウンロードだけ有効なファイル転送サービス

カテゴリ



Blogger in Chief

photo of jniino Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。2009年にPublickeyを開始しました。
詳しいプロフィール

Publickeyの新着情報をチェックしませんか?
Twitterで : @Publickey
Facebookで : Publickeyのページ
RSSリーダーで : Feed



新着記事 10本


PR - Books


fig

fig

fig