IaaSとPaaSの違いはなくなろうとしている

2011年2月7日

Amazonクラウドが先月発表した新サービスの「Beanstalk」は、いままでIaaSベンダだったAmazonクラウドをPaaSベンダへと進化させるものです。

Beanstalkの登場で、IaaSとPaaSというこれまであったクラウドの区別は意味がなくなってしまうのではないか、という見方があります。

マーケットの成熟につれてIaaSとPaaSの境界線はぼやけていく

Is the IaaS/PaaS line beginning to blur? | ZDNet

米調査会社フォレスターリサーチのJames Staten氏がブログForrester Researchにポストしたのが「Is the IaaS/PaaS line beginning to blur? | ZDNet」(IaaSとPaaSの境界線はぼやけ始めたのか?)というエントリ。

Staten氏は、PaaSは開発言語やデータベースがあらかじめ用意されておりプラットフォームとして使いやすくできているが、PaaSベンダにロックインされる心配がつきまとう。ロックインされないためにはIaaSを用いて自分でプラットフォームを構築することになるが、それでは手間がかかる。このようにPaaSとIaaSの利点と欠点を指摘したあと、次のように書いています。

So how do IaaS providers widen their market? Becoming a PaaS layer makes them easier, but then lock-in concerns arise. How can you maintain the control of IaaS without requiring your customer base to become proficient in traditional IT ops tasks?

これを少し分かりやすく補いながら訳すとこうなります。

IaaSプロバイダはどうやってマーケットを広げるのか? PaaSレイヤを提供するのは簡単だが、そうすると顧客にはロックインされるという懸念が持ち上がる。顧客が管理の主導権を持てるというIaaSの利点でを維持したまま、どうやってPaaSの利点である、熟練を要する運用業務を顧客から不要にする、ということを提供できるだろうか

そしてStaten氏は続けます。

The answer is in providing tools that ease deployment by making best practice infrastructure choices and set up IaaS services for availability and scale for you.

その答えは運用を容易にするツールの提供だ。それはIaaS上に用意された、優れた(ベストプラクティスな)インフラで、可用性とスケールを実現するものだ。

This is precisely what AWS Elastic Beanstalk does for Tomcat-based applications today (more types will be supported as this offering matures).

これがまさにAWS Elastic BeanstalkがTomcatを用いて行ったことである。

Staten氏の説明を要約するとすれば、PaaSのロックインを避けるために、IaaSの上に顧客自身がTomcatのような標準的ツールでPaaSを構築できるツールを提供する。それがAmazonクラウドがPaaSへ進出する際にとった戦略だ。ということでしょう。

そしてBeanstalkのようなアプローチはAmazonクラウドだけでなく、RightScaleやCloudKickのようなサードパーティからも登場しているし、逆にPaaSであるWindows AzureはIaaSとなるVMRoleを提供し始めた、といったことを指摘したうえで、こう書いています。

As these markets continue to mature we will see further and further blurring of the lines here

こうしたマーケットの成熟につれて、(IaaSとPaaSの)境界線はどんどんぼやけていくことだろう。

Amazonクラウドはグーグルやマイクロソフトと競合し始める

IaaS and PaaS to disappear by 2012 | CloudTweaks.com - The Cloud Computing Community

クラウドに関連した情報を提供しているCloudTweaksは、もっとはっきりとしたタイトルの記事「IaaS and PaaS to disappear by 2012」(IaaSとPaaSは2012年までになくなっていく)をポストしています。ここでのタイトルの「なくなっていく」とは、両者のサービスは混じり合い違いがなくなっていく、という意味であることが本文を読むと分かります。

ここでもBeanstalkの登場がIaaSとPaaSの境界線を消していくものとして取り上げられています。

With the release of Amazon BeanStalk you can see that Amazon is truly going to mix IaaS and PaaS, and go head-to-head in competition with Google and Microsoft.

Amazon BeansTalkの登場で、私たちはAmazonがまさしくIaaSとPaaSをミックスし、グーグルやマイクロソフトと競合すること見ることになる。

つまりAmazonクラウドはPaaSベンダとして他社と競合し始めると書いています。

In short, by 2012 the concept of IaaS and PaaS will disappear, and IT professionals will discuss the more generic feature offerings of each cloud vendor.

2012年までにIaaSやPaaSといった考え方は消えてしまい、ITプロフェッショナルたちはそれぞれのクラウドが提供する一般的な機能について議論するようになるだろう。

IaaSベンダであるAmazonクラウドが、IaaSの弱点である「ユーザーが自分で環境を構築する手間がかかる」点を補うためにPaaSへ進出したわけですから、今度はPaaSベンダがその弱点である「ロックインされる心配」を解消するためになにか手を打ってくるはずです。

Windows AzureのVMRoleや、セールスフォース・ドットコムのVMforce、それにグーグルのGoogle App Engine for Businessなどはそれに該当するのかもしれませんが、まだ本格的に立ち上がっているとは言えず、顧客のロックインの懸念の解消にも至っていません。さらに踏み込んだ取り組みが期待されるところでしょう。

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タグ : Amazon , Google App Engine , Salesforce.com , Windows Azure , クラウド



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