注目のエンタープライズテクノロジー10選。InfoWorld

2011年11月28日

InfoWoldが、エンタープライズ分野で注目が集まっている技術トップ10を記事「InfoWorld's top 10 emerging enterprise technologies」で公開しています。定番の技術から、なるほど、と思うものまで並んでいて参考になります。

InfoWorld's top 10 emerging enterprise technologies | Cloud computing - InfoWorld

オリジナルの記事は7ページにわたる力の入ったものです。ここでは10位から1位へとカウントダウンでポイントだけ紹介していきましょう。

10位 HTML5

HTML5はどの分野でも注目技術の定番といえるでしょうから、説明は省略します。10位に入っているのは納得です。

9. Client-side hypervisors

日本ではまだあまり注目されていない、クライアント側の仮想化が9位です。個人のデバイスをセキュアに仕事用と個人用とに分離するために使われるだろう、との予想。

Windows 8ではHyper-Vが標準で装備される予定とされていますし、日本では来年以降に注目されるかもしれません。

8. Continuous build tools

8位は開発現場で注目されるようになってきた継続的インテグレーションのための、継続的ビルドツール。元Hudson、いまはJenkinsと呼ばれるツールが有名です。

よりコラボレーティブなチームは、継続的ビルドツールを用いて全体を効率化することを望んでいる、というのがInfoWorldの分析。

継続的インテグレーションについては、記事「マーチン・ファウラー氏が語る、21世紀のソフトウェアデザインとしてのアジャイル開発(後編)。Agile Conference tokyo 2011」をどうぞ。

7. Trust on a chip

7位はチップレベルで組み込まれたセキュリティ、とでも言えばいいでしょうか。

The Trusted Platform Module (TPM) from the Trusted Computing Group (TCG) was the first popularly adopted hardware chip to assure trusted hardware and boot sequences. It was used by many leading companies, including Apple and Microsoft, and it forms the backbone of Microsoft's BitLocker Drive Encryption technology and forthcoming Windows 8 UEFI Secure Boot architecture.

Trusted Computing Group (TCG)による Trusted Platform Module (TPM)は、ハードウェアの信頼性とブートシーケンスのセキュアな信頼性を確保するために初めて広く採用されたチップだ。アップルやマイクロソフトなどの主要な企業で採用されており、マイクロソフトのドライブ暗号化技術のBitLockerやWindows 8 UEFIセキュアブート機構などに利用されている。

6. JavaScript replacements

エンタープライズ分野でJavaScriptの新技術がランクインするのは、そろそろ当たり前の時代になってきたようです。すでに多くの業務アプリケーションがWebアプリケーションとしてJavaScriptを用いてます。

InfoWorldがJavaScript代替技術としてあげたのは、Google Web ToolkitCoffeeScript、そしてグーグルが最近発表したDartでした。Google Web ToolkitはJavaからJavaScriptを生成、CoffeeScriptはJavaScriptを出力するコンパイラ、DartはJavaScriptを置き換えようという新言語(JavaScriptへの変換もできるようです)。

5. Distributed storage tiering

アクセス速度は速いけれども高価なフラッシュストレージと、アクセス速度は遅いけれども大容量のハードディスクを組み合わせて、アクセス頻度が高いデータをフラッシュに集めて全体のアクセス速度を効率的に改善したのが階層型ストレージ。すでに多くのストレージベンダが採用しています。

このフラッシュストレージをサーバ側にもってきてSANの延長として(つまりSANのキャッシュとして)まとめてソフトウェアで管理することで、より高速なディスクアクセスを実現しようというのが分散ストレージティアリングのようです。

The next step will be to overcome the latency introduced by the distance between SAN and servers.

次のステップは、SANとサーバの距離に起因するレイテンシを解決することだ。

だそうです。

4. Apache Hadoop

エンタープライズ分野でHadoopが注目の技術であることは、あまり説明の必要がないでしょう。

Hadoop breaks new ground by enabling businesses to deploy clusters of commodity servers to crunch through many terabytes of unstructured data

Hadoopはコモディティサーバをクラスタ化することで何テラバイトもの非構造化データを分析させるという新しい地平を開いた。

3. Advanced synchronization

「Advanced synchronization」は初めて聞く用語です。InfoWorldの記事では次のように具体例を挙げて紹介しています。

In October, Apple's iOS 5 debuted alongside iCloud, a cloud-based syncing service that keeps bookmarks, documents, photos, and "key value" data (such as state information) in sync across a user's iOS devices, Macs, and -- to a lesser extent -- Windows PCs. Microsoft's forthcoming Windows 8 takes the concept even further, keeping not just data but application state in sync across Windows 8 PCs and tablets and probably Windows Phone smartphones

10月に登場したアップルのiOS5とiCloudは、ブックマークやドキュメント、写真、そしてカギとなる情報を、iOSデバイスやMac、そしてWindows PCも含めクラウドベースで同期する。マイクロソフトがこれからリリースするWindows 8では、そのコンセプトをさらに推し進め、データだけでなくアプリケーションの状態も含めてPCやタブレット、そしておそらくWindows Phoneを含めて同期するだろう。

つまりクラウドをベースとして個人のコンピューティング環境を複数のデバイスにわたって同期させることを、Advanced synchronizationと呼んでいるようです。

例に挙がったアップルやマイクロソフトだけでなく、グーグルもChromeの環境をシンクする機能を提供していますし、例えばEvernoteやDropBoxのようなサービスも該当するでしょう。たしかにクラウドをベースとした同期というのは、これからのサービスの大事なポイントになるようです。

2. Software-defined networks

2位にあがったのが、Publickeyの直近の記事でも紹介しているSoftware-Defined Network。

SDN isn't network virtualization, though network virtualization will certainly be one of its by-products. Rather, SDN is a way to "program the network" -- that is, it allows cloud providers and ISVs to build new networking capabilities the rest of us can draw on.

SDNはネットワーク仮想化ではない、ネットワーク仮想化は確実にSDNによって得られるものの1つにはなるだろうが。むしろSDNは「ネットワークをプログラムする」方法である。クラウドプロバイダやISVが、我々が使えるような新しいネットワーク機能を提供してくれることになるだろう。

SDNについては以下の記事が詳しいので、あわせてご参照ください。

1. Private cloud orchestration

1位にあがったのが「プライベートクラウドオーケストレーション」。この用語からは、複数のプライベートクラウドを連係させるのかなと思ったのですが、どうやらそうではないらしいです。

企業が自社のクラウドを運営するには、仮想化や課金、構成管理、セルフサービス用のポータルなどさまざまな機能をまとめなければなりません。それを連係させることを、こう呼んでいるようです。

Currently, these technologies tend to be spread across various products and solutions. But one in particular has gained surprising momentum over the past year. It's an open source project known as OpenStack, which offers a core set of cloud orchestration services: virtual machine management, object storage, and image services.

現在、これらの技術はさまざまな製品としてばらばらに提供されている。しかしこの数年で非常に勢いを増してきたプロジェクトがある。オープンソースプロジェクトとして知られるOpenStackだ。

まだプライベートクラウドのために実運用できるレベルには達していませんが、たしかにOpenStackは今年急速に成長し、注目が集まったクラウド基盤のオープンソースプロジェクト。来年にはOpenStackがプライベートクラウドの基盤構築ソフトウェアの台風の目になる、とInfoWorldは予測しているのでしょう。

このエントリーをはてなブックマークに追加
follow us in feedly

カテゴリ 働き方 / 給与 / 学び
タグ  Hadoop , JavaScript , SDN , ストレージ , セキュリティ


次の記事
OpenFlowとネットワーク仮想化とSoftware-Defined Network。そしてネットワークOSの主導権争いが始まる

前の記事
「Software-Defined Network」はネットワーク業界をどう変えていくのか?(後編) ~ Open Network Summit 2011


カテゴリ



Blogger in Chief

photo of jniino Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。2009年にPublickeyを開始しました。
詳しいプロフィール

Publickeyの新着情報をチェックしませんか?
Twitterで : @Publickey
Facebookで : Publickeyのページ
RSSリーダーで : Feed



新着記事 10本


PR - Books


fig

fig

fig