大きな変化の途中にあるストレージ市場、大きなベンダが有利なのか?

2011年11月11日

大手ストレージベンダのEMCでグローバルマーケティングCTOを務めるChuck Hollis氏のブログ「Chuck's Blog」は、ストレージ市場に起きていることをHollis氏が率直に書いており、いつもチェックしているブログの1つです。

彼が先月14日にポストしたエントリ「The Shape Of The New Storage Market(新しいストレージマーケットの輪郭)も、ストレージベンダに籍を置く専門家の視点でいまのストレージ市場をどう見ているのかがよく伝わってくる記事でした。

The Shape Of The New Storage Market - Chuck's Blog

Hollis氏は次ようにストレージの技術的な進化をユニークなものだとしたうえで、いま起きている3つの大きな変化を指摘しています。

Networks don't retain information, nor do CPUs. To me, this means that storage growth is on a fundamentally different market growth trajectory than, say, bandwidth or processor speed.

ネットワークもCPUも情報を貯めるわけではない。私にとってこれが、ストレージの成長が根本的に異なるものである、バンド幅やプロセッサスピードと比べて、ということを意味している。

デバイスレベルの変化

1つ目に指摘しているのがストレージデバイスの変化です。

At the storage device level, I think most people realize we're in the midst of two fundamental storage media changes. Tape is rapidly being replaced by disk for backup and archive, and flash is the process of replacing both spinning disks and DRAM-based storage caches.

ストレージのデバイスレベルにおいて、多くの人が2つの根本的なメディアの変化のただ中にいることに気がついているだろう。バックアップのためのテープは急速にディスクへと置き換えられているし、フラッシュは回転するディスクとDRAMベースのストレージキャッシュを置き換えるプロセスにある。

さらに仮想化によってストレージアレイとサーバの境目はだんだんあいまいになってきていることも指摘しています。Hollis氏も例に挙げているのが、VMwareがストレージアレイをvSphere Storage Applianceというソフトウェアで実現したこと。ハードウェアとして独立した筐体のサーバやストレージという存在は徐々になくなっていくと。

以前Publickeyで「サーバはデータセンターの中を液体のように流れるような存在になる、という仮説」という記事を書きましたが、イメージはこれに近いのかもしれません。

システム要件ごとの統合

2つ目に指摘するのが、ストレージがほかの要素と切り離せなくなってきている点。

People love to talk about storage as an isolated topic, but that's getting much harder and harder to do. Why? Customers are demanding integration and convergence for all the right reasons -- and in a dizzying number of vectors.

人々はストレージをそれ単体のトピックとして話したがる。しかしそれはますます難しくなってきている。なぜか? 顧客はあらゆる面で統合と収束を求めている、それはめまいがするほど多くの方向性においてだ。

ここで彼が指摘しているのは、仮想化のためのストレージ、セキュリティ管理用のストレージ、グループウェア用のストレージ、データベース用のストレージなど、さまざまな用途に対してそれぞれ最適に統合されたシステムが求められている、ということです。

ストレージを単独で切り出して、それが優れている優れていない、といった話は意味がなく、アプリケーションに対してそのストレージが適切かどうかという、システムとして統合されたものとして語られなければならなくなっているということでしょう。

ストレージのサービス化

3つ目は、ストレージの利用モデルが変わってきている点。

The world is going cloud, and IT is becoming "as a service".

世の中はクラウドへ向かっており、ITは「as a Service」になっていく。

そしてストレージもサービス化が進むため、これに対応できるようになっていなければならないと。

小さなベンダは買収されるしか道はない

こうした時代へと移ろうとする中で、ストレージベンダが成功するには何が必要なのか? Hollis氏はこう分析しています。

it's clear to me that successful vendors will need more than a few products to cover the major bases.

私にとってそれは明確で、成功するベンダは多くの製品によって主要な基本領域をカバーする必要がある。

残念ながらこれができない小さなベンダにとっては、買収されるしか道はない、ともHollis氏は書いています。

もちろんHollis氏はEMCというストレージ業界最大手に所属しているためにそういう見方になったのかもしれませんが、事実、ここ数年で多くのストレージベンダが買収されてきました。3PARはヒューレット・パッカードにアイシロンはEMCにピラーデータはオラクルに、という具合です。

仮想化とクラウドの登場はストレージ市場にもネットワーク市場にも大きな変化をもたらしており、ネットワークではそれがOpenFlowのような技術やSoftware Defined Networkといった概念で表されるようになってきています。アプリケーションの分野でもHTML5やスマートデバイスの登場といった、とても分かりやすい変化が起きています。

ストレージの場合には、こうしたはっきりと変化を先導するような技術や概念がなかなか見えにくく(SSDあたりが目立つところでしょうか)、しかも他に比べると変化のペースがゆっくりとしている中で、Hollis氏があげた3つのポイントはタイトルの通り、ストレージ市場の変化の輪郭を描き出しているように思います。

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カテゴリ サーバ / ストレージ / ネットワーク
タグ  EMC , ストレージ


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