巨漢マイクロソフトが見せた「Outlookは壊れてる!」キャンペーンへの素早い対応

2009年6月26日はてなブックマーク del.icio.us Twitter
タグ : IT業界動向 , Office

Outlook's broken-Let's fix it」(Outlookは壊れている、修正してもらおう)というマイクロソフトに対する草の根キャンペーンが現在も続いています。

fig 「Outlook's broken Let's fix it」のキャンペーンWebサイト

6月24日、Outlookは壊れてるキャンペーン開始

このキャンペーンは、Outlook 2000では正しく表示されていたHTMLメールがOutlook 2007では正しく表示されなくなり、次のOutlook 2010でも修正されない見通しであることに、ユーザーが不満を表明するために始まりました。キャンペーンを主催しているのは、Email Standard Projectという団体です。

同団体のブログのエントリ「Microsoft to ignore web standards in Outlook 2010 - enough is enough」の日付によると、このキャンペーンが始まったのが6月24日(時刻は不明)。

キャンペーンの賛同者はTwitterで"fixoutlook.org"を含むつぶやきをするだけで、キャンペーンサイトに自動的に集計されるようになっており、このエントリを執筆している時点で2万以上のつぶやきが集計されています。

6月24日午後8時17分、マイクロソフトが返答

The Power of Word in Outlook

マイクロソフトはその日のうちに、このキャンペーンへの返答をMicrosoft Office Outlook Team Blogのエントリ「The Power of Word in Outlook」で表明しています。

返答によると、キャンペーンが指摘するとおり、Outlook 2010でもOutlook 2007と同様にメールエディタとしてWordが使われるため、同じ現象が起きるとのことです。

Wordをメールエディタに使うことで、リッチなユーザー体験を提供するという理由でOutlook 2010でもメールエディタにはWordが引き続き用いられることになっているとのこと。また、メールクライアントがHTMLのどのサブセットを解釈するのかというコンセンサスはなく、もしもそうしたコンセンサスができればそれに従う予定である、とも書いてあります。

これがもし自分の会社だったら?

これを「またマイクロソフトが反感を買っているのか」と野次馬的な視点から見ることは簡単ですが、それはこのエントリの主旨ではありません。

僕が注目したのは、このキャンペーンが始まったその日の夜には、マイクロソフトがブログで上記のような理由の説明も含む返答を公式にしたことです。しかも、そのエントリの末尾はキャンペーンのお礼とともにバイスプレジデントの署名で結ばれています。

As usual, we appreciate the feedback from our customers, via Twitter or on our Outlook team blog.

-- William Kennedy
Corporate Vice President, Office Communications and Forms Team
Microsoft Corporation

組織が大きいほど判断は遅くなるのが一般的です。しかも多くの組織にとってネット上での巨大なアンチキャンペーンというのはどう対応していいのか分からず、あたふたしてしまったとしても不思議ではありません。

その結果、アンチキャンペーンをわざと無視したり、誰だか分からない「担当者」が「ご意見ありがとうございます」と返答するだけの木で鼻をくくったような対応だったり、といった例を、読者のみなさんもたくさん見てきたと思います。

想像してみてください。もし自分の会社や商品に対してこうしたキャンペーンが起きたら。しかも直接ではなくTwitterのようなあなたの上司には(たぶん)よく理解できないネット空間で行われていたら、組織として責任者を明確にして素早く対応できるでしょうか?

それを、その日のうちにバイスプレジデントの署名入りのエントリとして返答したマイクロソフトの対応は、なかなかマネのできることではない、と思います(今後もそうした真摯な態度が続くのかどうかは分かりませんが)。

技術を使いこなせる組織にするために活躍しよう

昨日のエントリ「次世代エンタープライズアプリケーションの姿が見えてきた」でも書いたように、今後は多くのエンタープライズアプリケーションが、ネットを通じて顧客とコミュニケーションをする機能を提供したり、ネット上の評判を集めて分析するといったマーケティング機能を備えることになるでしょう。

しかし、そうした先進の機能を取り入れたとしても、それを使う組織が、ネットを通じて顧客とコミュニケーションを行うこと、ネット上の評判に素早く対応することのできる柔軟で迅速な判断のできる状態になっていなければ意味がありません。

あるいは今回のマイクロソフトの例で分かるように、ブログのように簡単なツールであっても顧客とのコミュニケーションは十分可能であり、どんな優れたツールよりも使いこなす組織の能力のほうが重要なことは明らかです。

アプリケーションはお金で買えますが、組織をそのような「ネット対応」に変えることは企業のカルチャーを変えることであり、時間もかかり、困難な仕事です。しかもネットのコミュニケーションを理解している人にしかできないでしょう。そしてお気づきのように、ITエンジニアというのはその適切な能力を持っている人が非常に多い職種です。

だとすると、ITエンジニアの仕事は単に先進のエンタープライズアプリケーションを導入するだけでなく、それを使いこなせる組織に会社を変えていく、ということまで含まれているのではないか、そういった分野でITエンジニア(それは別の肩書きかもしれません)が活躍してもいいのではないか、と僕は思っています。

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