「エコポイント」の申し込み画面はクラウド上に。開発期間わずか1カ月?

2009年7月1日

経済の活性化や地球温暖化対策などの理由で発足した「エコポイント」制度。今日7月1日から、そのポイントの登録や商品交換の申請がネット上で始まりました。そしてその申し込みサイトは、セールスフォース・ドットコムの提供するForce.comで構築されていることが判明しました。

いつも同社をウォッチしているブログ「セールスフォースとクラウド/SaaS」のエントリ「エコポイント申請はクラウドのForce.comで」で指摘されています。

fig エコポイントの申請フォーム。URLがforce.comになっているのが分かる

ご覧の通り、エコポイントの申し込み画面のURLを見ると、明らかにForce.comのURLになっていることが分かります。アイコンも同社のものです。また画面フォームの必須項目としてテキストフィールドの左側に表示されている赤い縦線も、セールスフォース・ドットコムのアプリケーションを使ったことのある方にはお馴染みのものです。

開発期間はわずか1カ月?

エコポイント制度は、5月29日に成立した平成21年度補正予算に盛り込まれたものです。しかし買い控えによる悪影響を避けるために、補正予算成立前の5月15日にはポイントが何に交換できるかもわからないまま制度がスタートしました。

では、今日始まった申請システムの構築はいつ始まったのでしょうか? 資料を基に推測してみましょう。

環境省、経済産業省、総務省から、5月1日に「エコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業 の実施に係る団体の募集について」が公表されています。

この団体は平成21年度補正予算が成立することを前提に、エコポイントを国に代わって管理・運用するための団体です。その役割としてシステム構築も含まれていました。

(6)エコポイント・システムの構築
ア エコポイント・システムとして、市中在庫品を含む対象製品に係るエコポイントの申請・登録・管理システム及び登録エコポイントの指定交換商品等への交換システム(家電購入者及び家電販売事業者等にとって理解が容易で利便性が高く、かつ確実で効率的なものとすること。ただし、パソコン・携帯等を活用するシステムにあっては、パソコン・携帯等を使用しない者も対象とするシステムを併せ持つものとすること。)の設計と構築、運営を行う。

「『エコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業』に係る事務局の募集について(公募要領)」の、「(別添1)『エコポイントの活用によるグリーン家電普及促進事業』事務局設置運営業務の概要」から引用

今日始まったエコポイント申し込みサイトも、この団体が作ったことになるはずです。

5月29日に補正予算が可決。公募の結果この団体が「グリーン家電普及推進コンソーシアム」に決定したのが6月1日でした。ちなみにグリーン家電普及推進コンソーシアムとは、電通、凸版印刷、JPメディアダイレクト、JP物流パートナーズ、ベルシステム24、トランスコスモスの6社によって結成されたものです。

そしてそこから2週間と経たない6月12日には、政府が「7月1日から交換申請の受付をする」と発表。システムの本番運用は発表通りに今日7月1日に開始されました。

つまり杓子定規に考えれば、開発開始から実運用までの期間は約1カ月という、驚くべき超短期です。

もちろん、補正予算審議中から内々に話が進んでいて実際はもっと以前からプロジェクトは始まっていたとも考えられます。一方で、今回使われているWebサイト構築機能であるForce.com Sitesは6月15日に米Salesforce.comが発表した新機能ですから、何にせよスケジュール的にはチャレンジングなシステム構築であったのではないかと想像します。

ちなみに、ドメイン名「eco-points.jp」の保有者は株式会社電通、登録年月日は6月5日になっています。

政府調達システムにクラウド、しかも海外ベンダ

技術的な視点で見ると、今回のシステムは恐らく超短期という制約の中で実現できたこと、そして国民全員が利用する可能性のあるシステムとして負荷の予想が難しかったことに対応したこと、という2つのポイントがあると思います。

従来から、すぐに運用できることとスケーラビリティはクラウドのセールスポイントでしたから、その実力があらためて認められたといえるでしょう。

もう1つ別の視点として政府によるシステム調達という視点で見ると、公募による事務局を通じた間接的な調達とはいえ、政府調達のシステムにクラウドが選択されたこと(史上初めて?)、そしてそのベンダとして国内ベンダではなく海外ベンダが選ばれたことも大事なポイントではないかと思います。

僕の知る限り、ある程度以上のトラフィックに対応したスケーラビリティを持ち、かつ短期間、しかも低価格で開発できるWebサイトのプラットフォームとして、セールスフォース・ドットコムのForce.com Sitesを採用したのは合理的で、これを上回るプラットフォームを短期間かつ低価格で提供することはなかなか難しいのではないかと思います。

しかし多くの国内ベンダはこれによって危機感を感じ始めたはず。あるいは、今回はエコポイントという一回こっきりの使い捨てシステムだったから、国内ベンダが本気を出さなかったのかもしれません。ぜひ今後、海外のクラウドベンダに対抗し、機能や価格や技術力で巻き返した国内ベンダの姿をみたいと思っています。

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タグ : Salesforce.com , クラウド



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