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Rubyのまつもと氏、「気分を害することもある。だからどうか建設的であってほしい」

2019年1月11日


オープンソースソフトウェアの開発においては、コミュニティメンバーからのコードのコントリビュートだけでなく、さまざまな立場の人々から「この機能がほしい」「この動作はバグではないか」といった意見が寄せられます。

有名なオープンソースプロジェクトであるほど、そうした多くの意見やコメントを受け止めつつ開発は進んでいくわけですが、そうした状況は一方でさまざまな気苦労を生むであろうことは容易に想像が付きます。

人気のあるプログラミング言語として知られるPythonの生みの親であるGuido van Rossum氏は2018年7月、Pythonを開発する過程で生ずるさまざまな意思決定の気苦労から離れたいとの理由で、Pythonにおける「優しい終身の独裁者」からの引退を発表しました

ちょうど新バージョン「Ruby 2.6」が登場したばかりのRubyに対しても、米国の掲示板redditで「[whining] Ruby evolution is taking TOO long」([悲報]Rubyの進歩はあまりにも遅すぎる)といった書き込みが行われました。

この書き込みをきっかけにして、Rubyのパパであるまつもとゆきひろ氏は一連のツイートを投稿。もっと建設的な意見交換をすべきではないかと呼びかけます。

オープンソースをリードする立場のまつもと氏からの投げかけは、コミュニティを健全に保ち、その運営の苦労の犠牲になるような人がこれ以上出ないためにどうすべきか、重要なメッセージを含んでいるのではないでしょうか。

(英語でポストされたまつもと氏のツイートに、わざわざ日本語訳を付けるのは大変僭越ではありますが、読者に分かりやすく読んでもらえるようにあえてPublickeyが日本語訳を付けました)

20年以上前、私の意見に賛成できなかった人がRubyのリポジトリをコピーし、著者名を自分の名前に書き換えたことがあった。彼は自分の言語が作りたかったのだろう。これは明らかにライセンス違反ではあったが、成り行きを見守ることにした。彼が何をするか興味があったからだ。しかし何カ月も動きはなく、リポジトリは消えた。

それ以来彼に会ってない。しかし彼は、あらゆる変更に対する全責任を自分が負う立場になって初めて、プログラミング言語がいかに複雑な制約下にあるのかが分かったに違いない。彼のフォークの名前から、私はこれをxrubyシンドロームと名付けた。

Rubyの歴史のなかでは、さまざまな形でxrubyシンドロームが何度も発生してきた。(何の縛りも考えずに)言語に対する不満を述べるのは簡単だし、憂さ晴らしにもなるし、コストもかからない。しかし、それはコミュニティのためにならない。そうしてPythonコミュニティはGuidoを失ったのだ(と私は思う)。

私たちはみんなに黙っていて欲しいわけではない。意見はつねに聞いている。しかし私たちはただの人間であり、気分を害することもある。だからどうか建設的であってほしい。私たちの生活を壊さないで。

(注 2019/11:10 まつもと氏ご本人からの指摘によりいくつか日本語訳を修正しました。最後の「私たちの生活を壊さないで」は、「やや、唐突ですが、Guidoの引退を念頭に置いてます。ただ文句を言う人と違ってフルタイムコミッタは生活かかってます、ということ。」とのことです

このツイートへの反応として「ではどうすることがコアチームの負担を軽くし、より貢献できるのか?」との問いがあり、まつもと氏は具体的な方法として次のように返答しています。



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