セールスフォース・ドットコム、同社のSaaSを用いた銃や火器の販売を全世界的に禁止

2019年6月10日

セールスフォース・ドットコムが、同社のSaaSのサービスポリシーを更新し、銃や火器の販売を全世界的に禁止する条項を加えたことが明らかになりました。

同社のように広く使われているサービスを提供する企業が銃や火器の販売に反対する立場を明確にしたことは米国でも注目されており、第一報を米ワシントンポストが報道すると各社がそれを追いかけて記事にしています。

サービスポリシーが記された実際のドキュメント「Acceptable Use and External-Facing Services Policy」(pdf)から、当該部分を引用しましょう。

ドキュメントの第6条「Prohibited Actions」(禁止事項)には、同社のサービスを用いたスパム送信の禁止やウィルス配布の禁止、マルチレベルマーケティングの禁止、非合法な活動支援の禁止、ギャンブルに関する宣伝の禁止など、多くの禁止事項が並んでいます。ここに下記の文言が追加されました。

Worldwide, customers may not use a Service to transact online sales of any of the following firearms and/or related accessories to private citizens.

全世界において、お客様はこのサービスを用いて以下に示すあらゆる火器あるいは関連する商品を一般市民に販売する処理をしてはなりません。

下記には火器に関する定義が示されています。禁止対象となるのはオートマチックな火器、マガジン付きのセミオートマチックな火器など、一定以上の殺傷能力などを持つもののようです。また、3Dプリンタで作る銃の設計図も対象になっているところは興味深いところですね。

Firearms: automatic firearms; semi-automatic firearms that have the capacity to accept a detachable magazine and any of the following: thumbhole stock, folding or telescoping stock, grenade launcher or flare launcher, flash or sound suppressor, forward pistol grip, pistol grip (in the case of a rifle) or second pistol grip (in the case of a pistol), barrel shroud; semi-automatic firearms with a fixed magazine that can accept more than 10 rounds; ghost guns; 3D printed guns; firearms without serial numbers; .50 BMG rifles; firearms that use .50 BMG ammunition. Firearm Parts: magazines capable of accepting more than 10 rounds; flash or sound suppressors; multi-burst trigger devices; grenade or rocket launchers; 80% or unfinished lower receivers; blueprints for ghost guns; blueprints for 3D printed guns; barrel shrouds; thumbhole stocks; threaded barrels capable of accepting a flash suppressor or sound suppressor.

ワシントンポストによると、米セールスフォース・ドットコムのWebサイトで事例として紹介されているCamping Worldは銃の販売を行っているため、銃販売を止めるか、もしくはセールスフォースの利用をやめるかの決断を迫られているとのことです。

自社サービスの利用範囲に制限を加えることは、ビジネス面だけで考えれば基本的には売り上げ減の要因になり得ます。特に米国において銃は、その所持が国民の権利と考えられている商品の1つです。上記のCamping Worldの例を見るまでもなくその商取引に関わる利用を制限することは、ビジネスに全く影響がないとは考えにくいでしょう。

社会的な責任が拡大するIT大手

一方でIT大手企業は、例えばフェイクニュースの拡散や膨大な個人情報の取り扱い、高度なAI機能の軍事利用など多くの面で社会的な責任が急速に拡大しており、政治的な姿勢を以前よりも明確に打ち出さざるを得ないプレッシャーにさらされています。

そして銃乱射事件が絶えない米国において、ITによって銃火器の販売が効率化され拡大されうる、という状況に対してIT企業がどのような姿勢をとるのか、いずれ問われる日が来るかもしれません。

セールスフォース・ドットコムは以前からNPOやボランティア活動などを積極的に支援する企業として知られています。また同社CEOのマーク・ベニオフ氏は以前から殺傷能力の高い銃火器の販売には批判的な姿勢だったとワシントンポストは報じています。

今回のサービスポリシーの変更はこうした同社CEOの考え方と同社の姿勢が米国の状況と相まって、積極的な銃や火器販売の制限へと動いたのではないでしょうか。

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Junichi Niino(jniino)
IT系の雑誌編集者、オンラインメディア発行人を経て独立。2009年にPublickeyを開始しました。
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