PayPalがVMwareからOpenStackに移行する理由は「可用性を犠牲にすることなくスケーラブル」だから

2013年4月1日

8万台ものサーバを、VMwareの製品で構築されたシステムから、オープンソースのOpenStackベースのプライベートクラウドへ移行すると発表されたPayPalの事例は、OpenStackの勢いとオープンソースのクラウド基盤ソフトウェアの成熟を示すものとして注目されています。

Agility with Stability » OpenStack Open Source Cloud Computing Software

OpenStackのWebサイトで公開された事例では、OpenStackへ移行する理由が次のように説明されています。

A key component of the selection criteria for PayPal’s cloud infrastructure was the ability to scale quickly without compromising availability. For its engineers and developers to be successful, the platform had to support PayPal’s requirement of 99.9999% availability.
(略)
To meet this demand, PayPal decided to build its private cloud infrastructure with OpenStack.

PyaPalのクラウド基盤を選択するもっとも重要となる要素は、可用性に妥協することなくすばやくスケールする能力だ。エンジニアやデベロッパーがこれを成功させるには、プラットフォームがPayPalの要件である99.9999%の可用性をサポートしなければならない。
(略)
この要件を満たすため、PayPalはプライベートクラウド基盤の構築にOpenStackを用いると決断した。

企業がオープンソースを採用する理由の多くで、価格が安いことや技術的にオープンなことが挙げられがちですが、PayPalのOpenStackの採用理由が「可用性に妥協することなく、すばやくスケールする能力」であることは、OpenStackの技術的な成熟を暗に示しています。

オンラインペイメントで世界最大級のインフラと言っていいPayPalがこのような判断を下したことは、OpenStackを検討する多くの企業にとって、そしてVMwareの製品群も検討する多くの企業にとっても大きな意味を持つことでしょう。

PayPalは単にVMwareを置き換えるわけではない

VMwareにとっては不都合なこの事例ですが、同社のCloud Infrastructure Platform担当シニアバイスプレジデントのBogomil Balkansky氏は、この件についてブログに「Partnership, Choice and the Hybrid Cloud」という記事を書いて取り上げました。

この記事の中で、PayPalのPlatform Engineering & Operationsバイスプレジデント、Nat Rajesh Natarajan氏がVMwareに向けた、次のようなコメントが紹介されています。

Our initiative with OpenStack is intended to enable agility, innovation and choice. We’re not interested in a “rip and replace’ approach. In fact, this collaboration will help us utilize robust virtualization technologies such as VMware. They are a valued PayPal partner, and we intend to continue leveraging their core strengths in our cutting edge cloud environment.

私たちのOpenStackへの取り組みは、アジリティとイノベーション、そして選択を目的としています。私たちは“取り去って置き換える”ようなアプローチを採るつもりではありません。

実際のところ、このコラボレーション(訳注:PayPalとOpenStackのことと思われる)は、VMwareのような頑強な仮想環境の活用を助けてくれるでしょうし、私たちは先端的な環境においてはそれらの中核的な強みを活用していくつもりです。

もちろんVMwareへのリップサービスが含まれているとは思いますが、VMwareをOpenStackに単純にざっくりと置き換えるつもりではない、という意図を明確にしています。

VMwareはヘテロな環境へ向かう

VMwareにとって明らかなのは、顧客のクラウド環境がVMwareだけでなく、Hyper-VやXenやKVMといった多様なハイパーバイザ、OpenStackやCloudStackなどの多様な基盤ソフトウェアといった混在環境になっていくことです。

ブログを書いたBogomil Balkanskyもこのことを認識し、VMwareはヘテロな環境のサポートに向かうことを強調しています。

To serve our customers, VMware has made important decisions. We support heterogeneous cloud environments—this is the reality of most of our customers’ environments, and they need to manage and automate this complexity quickly and efficiently.

顧客へ奉仕するために、VMwareは重要な決断を下した。私たちはヘテロジニアスなクラウド環境 ― これが多くの顧客のクラウド環境における現実であり、そして彼らはこの複雑さをすばやく、効果的に管理、自動化が必要だと考えている。

VMwareはすでにOpenStackの支援を表明

実は、VMwareは昨年8月の時点でOpenStackプロジェクトへの参加を正式に表明しており、OpenStackを支援する立場にいます。

参考:VMwareが「Software-Defined Datacenter」の実現を約束。VMworld 2012

また昨年、DynamicOpsを買収したのも、混在環境に対応するためであることを表明していますし、PaaSレイヤで展開している基盤ソフトウェアのCloud Foundryも、AmazonクラウドやCloudStackなど、VMware以外のクラウド環境への対応を進めています。

参考:VMwareがDynamicOps買収。Xen、Hyper-V、Amazonクラウドなど混在環境の対応へ

VMwareにとって、PayPalのような顧客が登場することは想定の範囲内だったはずです。今後、こうした混在環境を採用する顧客の中でどれだけ存在感を示すことができるか、マルチハイパーバイザ対応製品などのリリースは始まっており、今後は相互運用性の事例やどのような組み合わせが良いのかといったベストプラクティスなどの重要性が高まってくるのではないでしょうか。

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タグ : IaaS , OpenStack , VMware



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