村井純教授。IT戦略は前倒しで実現される。7年先の夢を語ろう! HTML5 Conference 2013招待講演

2013年12月2日

HTML5のコミュニティ「html5j」主催のイベント「HTML Conference 2013」が11月30日、都内で開催されました。イベントへの応募人数が2000人に達するという大規模なものになった今回のイベントの招待講演に登壇したのは、日本のインターネットの父とも呼ばれる村井純氏。

わずか15分という短い講演でしたが、村井氏はエネルギッシュな話しぶりで随所に笑いを織り交ぜながら、インターネットとエンジニアの未来を鼓舞する講演を行っています。その内容をダイジェストで紹介します。

HTML5 Conference招待講演

慶應義塾大学 環境情報学部長・教授 工学博士 村井純氏。

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こんにちは。すごい熱気で大変嬉しいです。こんなにたくさんの若い人たちがソフトウェアを作るために集まるっていいですね。

このあいだ自民党のIT戦略ってところへ行きまして、政治家の人に説明をしました。すべての分野で、既得権のあるところで、インターネットは貢献するんだぞと。世の中変えるにはインターネットだぞと言ってきました。

歴史を振り返ってみると、2000年はアメリカと日本ですべて決めてたんですね。だからIPv6のプロトコルスタックとかはうちでやってました。

その頃、マーケットはアメリカと日本でできてました。何もかも俺たちで責任を持つんだと。IPv6は何のために作るのと言ったときに、誰もがインターネットを使うようになったらどうなるかを考えたわけです。

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全員がインターネットを使っている前提でものを作れるのかというと、もう作れるんですね。いま世界で(インターネット普及率が)30%~40%の国も、私たちのように80%くらいになるのは時間の問題ですよね。だから世界中がインターネットを使うということを前提に考えなければ、というのがインターネットのロジックです。

インターネットをすべての人が使っているという前提の議論になってきたのは歴史の流れで。みなさんがこのWebで何を作って、どんなものができるのかというのは、インターネットを使うのは当たり前で、速くて当たり前で、ということから考えなければいけないんだ、ということですね。

インターネットは、グローバル、ローカル、ソーシャル、モバイル、双方向になりますね、それからビッグデータの時代になりますね、これが当たり前になったのでいろんな変化が起きましたねと。

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IT戦略は必ず前倒しになる

さっきIT戦略の話をしました。僕は13年間IT戦略に関わってきて、1つだけ今年変わったことがあります。IT戦略本部決定って、総理大臣と関係大臣と俺たちで決めていたんですね、IT戦略を。

今年は違うんです、閣議で決めているんです。ということは全部の領域がこのロジックで動かなくてはいけない。だからこの中にはHTML5とか書きました。書いてあるからやらなくちゃいけない、ということはないけれど、書いてあるから(やらないと)しょうがないよね、ということになるよねと(笑)。

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3Dプリンタなんて大昔からあるんだけど、めちゃめちゃ電子部品だから安くなってきて。IT戦略(の実現)は必ず前倒しになります。なんでかって言うと、数年でものすごく安くなって、エクスポネンシャルに広がります。うまくいくと普及がものすごく速くなる。

で、これ、ギプスです。ギプスは個人モノで、プリンタで印刷して、この印刷の知恵は誰が持っているかというと、誰でも持っていてネットワークで印刷できて、かつ、プロの医者が作るよりはるかにいいものができる。

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こんなのがあちこちにできて、ネットワークとこういうのがつながるのが大事なことです。

僕のところではRFIDのAuto-IDラボってのもやってるんだけど、ついにインクの中にRFIDを入れて、シリアル番号なんかを管理できるようになると、物流のコントロールができるだろうとか、医療関係もものすごく大きくなります。

テレビ、これもブロードキャストの電波をどういう風にインターネットで活用するか、いよいよ本当にやらなくてはいけない話になってまいりまして。そういうわけでもう全然時間がないので、もうこの辺でやめますけれども(笑)

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7年先の夢を語ろう

7年先の目標って、実はさっきのIT戦略も2020年なんですけれど、7年先にどのくらいできるかは、だいたい15年、20年先でなにがやりたいかが、さっき言った理屈で7年先でできます。

だから夢を語って、この問題はこうしようと言って、2020年までにこれをやり遂げるぞと、東京オリンピックもありますからきっと忘れないと思います。こういう目標設定をすると必ずできると思いますので、ぜひ今日のHTMLのカンファレンスで、2020年目標で私は何ができるか、考えてくれればいいかなと思います。私もまだ参加しますので、よろしくおねがいします。

HTML5 Conference 2013

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Junichi Niino(jniino)
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