インメモリデータベースを巡って、マイクロソフトとオラクルがオンラインバトル

2012年11月22日

オラクルが、「マイクロソフトが発表したHekaton(インメモリデータベース機能)は、ベイパーウェア(蒸発してしまう、要するにハッタリ)だ」と挑発すると、マイクロソフトが「オラクルExadata X3のインメモリデータベースはキャッシュで、Hekatonの本当のインメモリ技術とは違う」と返す。インメモリデータベースを巡って、オラクルとマイクロソフトがネット上で議論を戦わせました。

オラクル「Hekatonはベイパーウェアだ」

最初に口火を開いたのはオラクルでした。Forbesに「Oracle Calls Out Microsoft over Vaporware Fantasy」という記事を11月14日付けで寄稿。この記事はForbesに直接ベンダが記事を書ける、いわばスポンサーコーナーに掲載されました。

記事を書いたのは、オラクルのシニアコミュニケーションVP Bob Evans氏。彼は、マイクロソフトが次バージョンのSQL Serverにインメモリ機能を搭載する、コード名Hekatonについて、この記事タイトルにあるようにベイパーウェアだと評したうえで、このように書いています。

This Hekaton thing appears to be a knee-jerk reaction from Microsoft, which no doubt is under increasing pressure from SQL Server customers to offer some type of vision about how it will exploit the dynamic new highly complex in-memory technology that Oracle and others are delivering to customers today.

このHekatonはマイクロソフトのいつものリアクションだ。つまり、オラクルやほかのベンダが現在提供しているような高度なインメモリテクノロジーはいつ登場するのか。ビジョンをSQL Serverの顧客に提示しなければいけない、というプレッシャーが増加しているためであることは疑いのないことだ。

Evans氏は要するに、マイクロソフトは競合からのプレッシャーに負けて、いつリリースされるかわからない次バージョンのインメモリ技術について、口からでまかせをいっているのだ、と主張しているわけです。

この記事、実はすでにForbesから削除されています。ちょっと筆が滑ったとEvans氏が思ったのかもしれません。ちなみにEvans氏は、元Information Weekのエディトリアルディレクターだったとのこと。

マイクロソフト「すでにインメモリデータベースは出荷している」

マイクロソフトは、このオラクルの指摘に反論します。SQL Server Blogに「Oracle Surprised by the Present」という記事をポスト。

まず、マイクロソフトはすでに2010年の時点でxVelocityと呼ばれるインメモリテクノロジーを利用した製品としてPowerPivotを出荷済みで、すでに150万ユーザーに使われていると指摘。また、Hekatonについても一部の顧客では使われ始めていると反論しています(SQL Serverの次バージョンは、限定リリースが始まっているため)

We’ve already got customers running ‘Hekaton’ today, including online gaming company Bwin, who have seen a 10x gain in performance just by enabling ‘Hekaton’ for an existing SQL Server application.

今日の時点ですでにHekatonを実行している顧客がいる。その1つであるオンラインゲーム企業のBwinでは、既存のSQL Serverアプリケーションの10倍の性能向上をHekatonをオンにするだけで実現した。

そのうえで、Exadataは本当のインメモリテクノロジーではないではないかと、やり返します。

Oracle’s approach to In-memory in Exadata is “cache-centric”, in contrast to which “Hekaton will deliver true in-memory performance”.

オラクルがExadataで行っているインメモリのアプローチは、(フラッシュメモリによる)キャッシュではないか。一方、Hekatonが提供しようとしているのは、インメモリの真のパフォーマンスである。

あいだに割って入るInformationWeek

このオラクルとマイクロソフトの議論に割って入ったのが、InformationWeekの記事「Oracle Spotlights Its Database Memory Gap」。書いたのはエグゼクティブエディターのDoug Henschen氏。

彼は、まずマイクロソフトについて、たしかにまだ製品も出てないし、出荷日もはっきりしないと指摘。

So on Microsoft's side it's true we have only a beta product and fuzzy delivery date,

マイクロソフトについては、たしかにまだ製品はベータだし、出荷日もはっきりしない。

オラクルについても、TimesTenやExalyticsといったインメモリ製品はあるが、Exadata X3はインメモリテクノロジーではないとガートナーのアナリストの発言を引き合いに出して、ばっさり斬ります。

"Flash is not memory, I disagree with Larry Ellison on that totally," Gartner analyst Don Feinberg told InformationWeek last week. "Exadata doesn't give you an in-memory database, it gives you a disk block cache."

「フラッシュはメモリではない、ラリー・エリソン氏には全く同意しかねる」とガートナーのアナリスト、Don Feinberg氏は先週InformationWeekに語った。「Exadataはインメモリデータベースを提供していない。提供しているのはディスクブロックキャッシュだ」

マイクロソフトもオラクルも(そしてSAPやほかのベンダも)、すでにデータ分析分野では先行してインメモリデータベースの展開が始まっています。それらが各社のOLTP向けフラッシップ製品に搭載され本格展開されるタイミングは、いずれにせよもうすぐでしょう。SQL Serverはおそらく2年後となる次のHekatonで、オラクルはフラッシュでないメインメモリでのインメモリーデータベースをTimesTenで展開していますが、フラッグシップ製品群にもいずれ搭載されると推測されます。SAPもHANAをトランザクション向けアプリケーションに徐々に展開中ですから、2~3年後には製品同士の熱い戦いが見られることでしょう。

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タグ : Microsoft , Oracle , インメモリデータベース , リレーショナルデータベース



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